データのサイロ化と属人化を解消し、組織全体のデータ活用を活性化 〜「COMETA」のAI機能で実現したサミーネットワークスのデータドリブン促進とは〜

株式会社サミーネットワークス

- 課題
- サービス間での横断的な連携ができておらず、データがサイロ化していた
- 担当者の異動や退職でノウハウが失われ、データを探すには「人に聞く」コストが多くかかっていた
- クエリの品質が担当者によってバラバラで、標準化されていなかった
- 目的
- データの属人化を解消し、誰でもデータを扱うことができる状態をつくること
- 「COMETA」のAI機能を活用した、クエリ品質の標準化と分析業務の効率化
- データに基づいた意思決定を全社的に浸透させること
- 効果
- データマート整備および分析業務の大幅な工数削減を実現
- AI機能の活用によってクエリ品質が向上し、担当者の学習・整備コストが低下
- メタデータ整備が進み、データドリブンな意思決定が組織に浸透
セガサミーグループ傘下で、PCやスマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を担う株式会社サミーネットワークス。同社はセガサミーグループ内でも高いデジタル技術を強みとし、データを積極的に活用した施策を数多く実施している。
2022年8月より「TROCCO」を活用してデータ基盤を再構築し、さらなるデータ活用に取り組む同社は、AIデータプラットフォーム「COMETA」を導入しました。以前はサービスごとにデータが分断され、属人化が進んでいましたが、「COMETA」 を活用することで社内におけるデータの民主化が大きく進展しているといいます。
TROCCO導入事例はこちらよりご覧ください。
本記事では、「COMETA」導入の具体的なプロセスや「COMETA」活用による具体的な成果について、ゲーム事業本部 ゲーム事業分析部 分析課 森 和也様、飯田 留委様にお話を伺いました。
課題・問題
環境の分断がもたらした、データの属人化。活用の土台づくりが急務に

森様(以下、敬称略):弊社は、総合エンタテインメント企業グループであるセガサミーグループの1社として、主にPCやスマートフォン向けへのゲーム関連コンテンツやアプリケーションの企画、開発、運営を手がけています。私はゲーム事業分析部の分析課に所属しており、データ基盤の導入・構築を中心に担当しています。
飯田様(以下、敬称略):私も森と同じく、ゲーム事業分析部の分析課に所属しています。業務としてはBIツールを用いたデータの可視化を担当しております。各事業部が欲しいデータを提供し、データドリブンな意思決定のサポートを行っています。
森:最大の課題は、サービスごとに組織が分断されてしまい、データが属人化していたことでした。
サービスごとに1〜2名のデータ分析の担当者が配置されていますが、サービス間の横断的な連携がほとんどありません。そのため、担当者の異動や退職時にノウハウや情報をうまく引き継げず、把握するまで1ヶ月ほどかかったこともあります。
分析に必要なデータを探す際も「どのテーブルに格納されているのか」、「そのデータの定義は何か」というメタデータ情報を、その都度それぞれの担当者へ確認する必要があり、非効率な状況が続いていました。また、サービス間で密なコミュニケーションが取れていなかったために、知らないうちに仕様変更があり、データのログ形式が変わっていて困ったこともあります。
そのような背景から、他サービスのデータ担当者であっても、ある程度はデータの設定や定義、クエリの見方を説明できる必要があると感じていました。
さらにサービス内の施策担当者にも、データを元にした意思決定を促進したいと考えてはいましたが、当時はデータを使って判断するという文化が根付いていませんでした。
まずは属人化を解消し、データ活用の土台を作ることが急務でした。
飯田:SQLクエリの品質が人によって差があったことも大きな課題の一つでした。私はこれまでデータの可視化をメインで担当していたため、分析に関する専門的な知識はあまり多くありません。独学で学習しながら業務にあたっていましたが、どのように記述するのが最適なのかわからず苦労しているような状態でした。
なぜ「COMETA」を選んだのか
直感的なGUIやBIツール上でのデータ利用状況まで追跡できる点が決め手に

森:「COMETA」の導入を決めた理由は、専門知識がなくてもUI上で直感的に操作できる点です。
弊社はエンジニアリングに特化した人材が多いわけではなく、データの専門家でなくても扱えるツールが必要でした。その点で「COMETA」は非常に適していました。
2つ目は、「TROCCO」との密な連携が取れる点です。すでに弊社では「TROCCO」を軸にデータ基盤の再構築を進めており、primeNumber社が提供している両サービスの連動性の高さを期待できたことも、導入を決めた理由の一つです。
機能面でも、弊社の要件に非常にマッチしていました。特に、BIツール「Tableau」との連携により、どのデータがどの可視化に使われているかまで把握できる点が大きな魅力でした。
単にデータベース上のテーブル構造を可視化するだけでなく、BIツール上でのデータ利用状況まで追跡できる点は、他社ツールにはあまり見られない特長です。こうした“アウトプット視点での可視化”ができるのは、「COMETA」ならではだと感じています。
導入後の効果
誰が見てもどこに何のデータがあるか分かる状態を実現。AIによる分析の伴走でクエリ改善から意思決定までサポート

森:「COMETA」の導入によってデータマートを整備する業務が大幅に効率化されましたね。個人的な体感として、少なくとも月に8時間ほどは削減できていると思います。
分析業務全体で見ても、大幅な時間短縮が実現しました。1つの分析にかかる時間が体感で2〜3時間ほどに時間が短縮しています。
現在、「COMETA」に登録されているメタデータ数は約26,000を超えています。これにより、「誰が見ても何がどこにあるか分かる状態」が実現できました。以前は担当者しかわからなかったデータが、今では担当外のサービスでも「COMETA」を参照すれば定義を確認して集計ができるようになりました。横断的な業務ができるようになったのは大きな進歩だと考えています。
飯田:以前はデータを探したり、エンジニアに仕様を確認したりするコミュニケーションコストが発生していました。データが整備されたことで、そのような工数が大幅に少なくなりました。創出された時間で、分析結果をどのように次の施策に繋げるかというアウトプットに時間を使えるようになっています。
実際に、Tableauのワークブックは460個を超えています。数字で振り返ってみても、社内のデータ活用に対して大きな成果があったと感じています。

飯田:今では「COMETA」がなければ業務が成り立たないほど、欠かせない存在です。実は半年前に部署を移動してきたばかりで、以前はテーブルの中身などデータ基盤の詳細をほとんど知らない状態でした。
AI機能を使えば「この内容が分かるテーブルはどれですか」と聞くだけで回答が返ってくるので、日々の業務にほとんど支障がなくなり、本当に助かっています。
自分では複雑なクエリは書けませんが、ざっくりとした質問でも高品質なクエリを出力してもらえるのは非常にありがたいです。「今あるクエリにこの条件を追加してほしい」といった要望にもAI側が即座に返してくれるため、使い勝手が非常に良いですね。
AIが能動的に提案してくれる点も魅力です。例えば、指定したテーブルからデータが見つからない場合でも、「次はこちらから探しますね」と別の場所を提案してくれるので、データ探索が非常にスムーズになりました。
また、サービスの施策担当者にも「COMETA」が浸透してきました。実際にアプリ施策やサブスクリプション登録の分析など、使い方を覚えれば自分たちでデータを見られるようになった点は、大きな変化だと感じています。
森:「COMETA」のAI機能を使うことで、自分のクエリを簡単に改善できるようになりました。
これまでは1つのサービスに1人の担当者しかおらず、自分のクエリを見直したり、フィードバックを受けたりする機会がほとんどありませんでした。「COMETA」のAI機能を使い始めてからは、AIから「一般的に良いとされる書き方」を提案してもらえます。メンバーからも「人から指摘を受けるよりもAIに言われた方が良い」と言われるなど、心理的負担が少なく、品質改善に大きく貢献しています。
さらに、意思決定のプロセスも明確に変わりました。弊社ではサービスの施策担当者が自分のプロジェクトをデータで振り返り、分析力の向上を目指す「KPI定例会議」を毎週行っています。
この取り組みを通じて、各メンバーがBIツールのダッシュボードを見て、実施したイベント施策の結果などを数字で振り返る習慣も根付いてきましたね。データドリブンな意思決定をする意識が全社的に醸成されてきており、社員がデータに触れる回数も格段に増えたと感じています。
今後の展望
データ分析をさらに「日常的なもの」へ。他部門への横展開にも期待

森:「COMETA」によってデータ活用のハードルは下がりました。今後は、データ分析をより日常的なものにしていきたいと考えています。現在は我々のチームが中心となってデータ分析をリードしていますが、今後は全社的に拡大し、各サービスの事業運営メンバーが自分たちでデータを分析できる状態にしていくことが目標です。
例えば、「どのような施策を打つか」「どういうプロモーションを行うか」といった意思決定の場面で、メンバー自身がデータを活用して知見を蓄積できる状態を目指しています。
飯田:さらに、最近ではサービス運用だけでなく、社内のさまざまな領域にもデータ活用が広がりつつあります。例えば人事部門では、社内の採用管理ツールと連携させる形で、採用の進捗をTableauで可視化し管理しています。データ活用の考え方が、少しずつ全社に広がってきていると感じています。
飯田:データ活用にこれから取り組みたいと考えている企業には「メタデータをしっかり入力すること」が最も重要だということをお伝えしたいです。メタデータさえしっかり整備されていれば、あとは「COMETA」が助けてくれます。
以前は「どのテーブルを見ればいいか」と迷うことが多かったのですが、今は「COMETA AI」に聞けばすぐに答えが返ってくるので、活用のハードルがグッと下がったと感じています。データ活用を進めたいと思っているなら、まずはデータカタログを導入してメタデータの整備から始めることを強くお勧めします。
森:他社のデータカタログの活用事例を見ると、すでにデータ活用の土台となる基盤がしっかり整備されていて、自社に落とし込みにくいと感じていました。しかし、少ないリソースの中でも「TROCCO」や「COMETA」を活用することで、データ連携の土台を整えることができています。
弊社のように専任のデータエンジニアがいない体制でも、適切なツールを活用すればデータ活用のスタートラインに立つことは可能だと思います。リソースに不安を感じていても、まずは第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
編集後記
サミーネットワークス社の分析チームはGoogle BigQueryとTROCCO、COMETAを活用したデータ基盤の構築・運営からデータを元にした課題抽出や分析方法の提案、BIツールによる可視化など社内のデータ活用推進に幅広く携わられています。
各メンバーがデータに関わる業務に横断的に取り組む環境にご関心のある方は、ぜひ募集要項ページをご覧ください。

株式会社サミーネットワークス
| 業種 | IT業界 |
|---|---|
| 設立 | 2000年3月1日 |
| 従業員数 | 169名(2025年4月1日現在) |
| 事業内容 | PC・スマートフォンへのゲーム関連コンテンツの企画・開発・運営 |