総合エンタテインメント企業グループであるセガサミーグループの1社として、主にPCやスマートフォン向けへのゲーム関連コンテンツやアプリケーションの企画から開発、運営を手掛ける株式会社サミーネットワークス。

セガサミーグループ内でも高いデジタル技術という強みを持ち、データを積極的に活用してサービス運営や経営に活かしている。このデータ活用をさらに効率的にするため、データ基盤のリニューアルの実施を決めた。その際に「TROCCO®」をご導入いただいた。取り組みの背景にあった課題や効果、データ活用における今後の展望について、ご担当者様にお話を伺った。

課題・問題

属人化でデータ転送に手間と時間がかかっており、サービス運営の意思決定に支障がでていた

貴社のサービス内容とデータ活用の目的についてお聞かせください。

和也様(以下、敬称略):弊社は、総合エンタテインメント企業グループであるセガサミーグループの1社であり、主にぱちんこやパチスロといった遊技機シミュレーションアプリケーションをはじめ、ぱちんこやパチスロの実店舗ホールの予約抽選ができるアプリケーションの開発、サービス提供を手掛けています。

私たちが所属するマーケティング部では、主にアプリケーションユーザーのログイン継続率や課金額、アクティブユーザー数、新規登録者数といった事業全体のKPIに関わる数字やデータを取得し、サービスを運営するチームにお伝えすること、そして事業の意思決定をサポートすることが主なミッションです。

「TROCCO®」を導入いただく前のデータ基盤についてお聞かせください。

森:もともとアプリケーションのインフラチームでTreasure Dataを使用しており、そこから必要なデータをインフラエンジニアに流してもらい、2016年頃に導入されたBIツールでデータ分析を行っていました。そのBIツール自体にデータウェアハウスのような機能が実装されており、Treasure DataとBIツールを直接つなげていたのですが、少々複雑な構造でした。

サービス全体の意思決定を担うサービス運営部門から、当時データを管理していたインフラチームに「〇〇の施策に使う、〜〜のデータがほしい」といったリクエストが送られるのですが、インフラチームのメイン業務外の対応となるため、繁忙期は後回しにせざるを得ませんでした。

当時のデータ基盤について、どのような悩みや課題を抱えていましたか。

森:インフラチームがTreasure Dataの管理やデータの整形などを担当していたため、繁忙期によってはデータのリクエストからデータの共有までに3ヶ月ものリードタイムが必要になることもありました。これは技術的な課題というよりも、業務が属人化しているがゆえの問題でした。

データを即時に確認できないことで、キャンペーンの企画や結果の分析に支障がでていました。さらにサービス規模の拡大に比例して扱うデータ量が大きくなり、これまでのデータ基盤では対応が難しくなり始めていました。

小林 克樹様(以下、敬称略):当時のデータ基盤では、Treasure Dataで管理していないデータをBIツールに反映できないことも課題でした。広告関連のデータやアプリストアのデータは、それぞれの管理画面から直接CSVデータをダウンロードして分析しなければならなかったのです。それだと手間も時間もかかり、非効率です。

こうした状況を改善し、サービス運営部門の担当者でもBIツールを確認できることを目標としました。加えて、必要になればすぐにでも目的のデータを入手して迅速な判断を下すことができる状態を目指すことになりました。

なぜ「TROCCO®」を選んだのか

データ基盤の運用を脱属人化させるため、GUIベースで誰でも操作できる点を評価

データ基盤のリニューアルはどのように進めましたか。

森:私たちマーケティング部が分析に必要なデータ転送業務を担うことになってから、新たなデータ基盤の構築に取り掛かりました。「エンジニア経験のないデータアナリストでも操作しやすいこと」を第一に意識し、データウェアハウスにGoogle BigQueryを、BIツールにTableauを選定しました。当時は片っ端から導入事例からを調べて、自分たちの状況に近く、かつ成功した事例を探していましたね。

「TROCCO®」はどのようなきっかけで検討し始めたのでしょうか?

小林:マーケティング部の中で私がプログラミングを得意としていたため、データウェアハウスやBIツールの設定を担当しました。その一環でアプリストアのデータや広告媒体のデータを手動で取り込む業務も担当しており、毎回手動で作業していたために面倒だと感じていました。結局新しいデータ基盤にしても属人化の問題は解決できていないのではと気づき、ETLツールの必要性を感じたのです。

森:個人的にデータ分析や統計、機械学習といった領域が好きなこともあって、SNSでよく情報収集をしています。その中で、データエンジニアの方々が登壇している「Data Engineering Study」にたどり着き、その運営元のprimeNumber社が提供しているETLサービスとして「TROCCO®」を初めて知りました。

「TROCCO®」導入の決め手をお聞かせください。

森:データ基盤の運用を属人化させないためにも、GUIベースで誰でも操作できることが最も重要なポイントでした。本当に操作が簡単かどうかは、実際にトライアルの中で確かめました。

もう1つ大きなポイントは、対応するコネクタがとても豊富だったことです。特にX Ads(旧Twitter Ads)のAPI連携は自力では無理だと判断していたので、助かりました。

TROCCO®選定のポイント

導入までのスケジュール・過程

手厚いサポートでスムーズに「TROCCO®」を導入。データカタログ機能の活用では成功事例も

「TROCCO®」の導入はどのように進行しましたか

森:2022年の8月から「TROCCO®」を活用したデータ基盤に移行しており、マーケティング部を中心に10名ほどが活用しています。導入時の狙い通り、操作が分かりやすかったこともあって勉強会の実施はありませんでした。

小林:トライアル期間を含め、「TROCCO®」導入時のサポートは印象に残っています。とくに、弊社からの質問に対する、primeNumber社のカスタマーサクセスの方の応答がとても速く、1営業日以内に一次回答が返ってくることに驚きました。

導入初期は、データの転送設定やAPIの設定、CSVファイルの形式などで悩んでいたのですが、カスタマーサクセスの方に迅速に解決策を提示いただき、頭が上がらないです。弊社では他社のSaaSも業務で使用していますが、他社SaaSのカスタマーサクセスにはない手厚いサポートだと思います。

TROCCO®導入までの流れ
「TROCCO®」で現在使用している対応コネクタをお聞かせください。

小林:現在弊社で使用している「TROCCO®」の対応コネクタは、5つです

利用しているコネクタ入っている情報
Google BigQuery、Google Cloud Storage自社サービスのデータ
App Store Connect API、Google Playアプリストアのデータ
X Ads (旧Twitter Ads)X(旧Twitter)の広告データ
「TROCCO®」の導入で業務にどのような変化がありましたか。

小林:「TROCCO®」を導入する以前は、Google BigQueryのスケジュールクエリを使用していたのですが、仕様上、誰がどのような動かし方をしているのか分かりませんでした。しかしワークフロー機能で可視化できるようになり、チーム内でディスカッションして修正できるようになりました。

データ基盤の構成の変化
「TROCCO®」のデータカタログ機能はどのように活用いただいていますか。

森:弊社では複数のアプリケーションサービスを運用しており、各サービスごとにデータ担当者を1、2名置いています。サービスをまたいだ担当者同士でコミュニケーションする機会が少なく、ここでも属人化しやすいという問題がありました。

そこで他サービスのデータ担当者であっても、ある程度はデータの設定や定義、クエリの見方を説明できる必要があると感じ、「TROCCO®」でデータカタログを作成することになりました。

今までデータ基盤をアプリケーションの開発部門と共有するという考えすらなかった状態から、データカタログ機能を介してマーケティング部と開発部門でデータに関する会話ができるようになりました。

また私が担当しているサービスでは、知らないうちに仕様変更によってデータのログ形式が変更になり困ったことがありました。

当初は、アプリの開発メンバーとGoogle BigQueryのデータをそのまま確認しようと話していたのですが、「TROCCO®」でデータカタログを作成し、データリネージを確認、作業してもらうほうが理解が早いと思いつきました。実際、想定通りスムーズに進行したため、今では成功事例としてデータカタログを社内に広める際に各担当者へ伝えています。

小林:データカタログは「いざという時にあると便利なもの」という保険的な発想しかなかったのですが、日常的な情報共有やデータのサイロ化を防ぐ意味でも有効であることを、メンバーも学ぶことができたと思いますね。

導入後の効果

3ヶ月かかっていたデータ提供が1週間に。社内からは表彰を受け、グループ会社への貢献も

「TROCCO®」の導入によって、どのような成果を得ることができましたか。

森:以前はサービス運営部門からリクエストされたデータを取り出し、整形し、分析できる状態として渡すまでに3ヶ月かかっていたものが、遅くとも1週間ほどに短縮できていることが1番の成果だと思います。データ取得までのリードタイムが短くなったことで、分析業務や施策の企画といった本来時間を割くべき業務にしっかり取り組めています

特に分析業務のアウトプットには質の変化が見られており、以前であればデータの前後比較で手いっぱいだったところ、今では統計的な効果測定手法を活用してより深い気付きを得ることに成功したり、機械学習を組み込むことができたりといった改善がありました。

また、「TROCCO®」でアカウントを持っているユーザーであれば、担当者でなくとも簡単にデータを転送できるようになったため、属人化の課題を解決しつつデータに対するリテラシー向上にも寄与しています。

セガサミーグループ全体では何か変化はありましたか。

森:弊社のデータ処理はセガサミーグループ内でも評価いただいており、グループ会社からデータ処理の依頼を受けることも増えてきました。グループ会社内のデータを弊社に共有いただき、整形処理をして、BIツールのダッシュボードに展開して納品するという流れです。

グループ会社同士なので互いに自由が効きやすく、セキュリティも安心という大きなメリットがあります。データ活用を通して、さまざまなシーンでセガサミーグループに貢献できています。

今回の取り組みに対して、社内からはどのような評価をいただいていますか。

森:実は「TROCCO®」の導入を含む今回のデータ基盤のリニューアルとBIツールの全社展開は、2023年に全社総会の場で本部長賞に選ばれ、表彰していただいています。社内から評価されていたことを実感して、とても嬉しく感じました。

今後の展望

もっと広い範囲で「データの民主化」を進め、データドリブンな意思決定を支援したい

今回の取り組みを受けて、今後のデータ活用の展望をお聞かせください。

森:弊社全体の展望として、ユーザー満足度を高めるコンテンツをこれまで以上に展開していきたいと考えています。それに伴い、取り扱うデータの種類も量も増えていくと思いますが、それでも現在と変わらずにデータ分析のアウトプットの質を向上させていきたいと考えています。

また、もっと広い範囲で「データの民主化」を進めていきたいですね。社内の現場でどのようなデータが求められているのか、事業を成長させるためにどのようなデータが必要かを把握し、もっと多くの業務でデータドリブンな意思決定ができる支援をしていきたいです。

データ基盤の構築、再構築に課題を感じている方へ、メッセージをお願いします。

小林:データ収集、活用に課題を感じているのであれば、少しでも早い時期に「TROCCO®」のフリープランやトライアルで試してみるといいのではないかと思います。

データ活用の課題は、データの種類と量が増えれば増えるほど、将来の負債として積み重なっていきます。だからこそ、その解決策を早い段階で知り、その効果を感じていくべきだと思っています。

初めてETLツールを触る人は「難しそう」と思われるかもしれませんが、「TROCCO®」はGUIベースで非常に操作がシンプルで分かりやすく、エンジニアでなくとも問題なく動かせるサービスだと思うので、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

データ分析基盤の構築・運用は
TROCCO®️におまかせ。

ETL/ELTパイプライン構築やワークフローなどを、SaaS上で実現。データエンジニアの工数を削減して、分析やクリエイティブな業務に集中しましょう。

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株式会社サミーネットワークス

https://www.sammy-net.jp/

業種情報・通信
設立2000年3月1日
従業員数165名(2023年4月1日現在)
事業内容PC・スマートフォンへのゲーム関連コンテンツの企画・開発・運営