「業界の常識を打ち破るチェンジ・エージェント(改革の推進者)であれ」をミッションに掲げ、積極的なデータ活用、デジタル化を進める株式会社不動産SHOPナカジツ。不動産売買仲介事業、新築住宅事業、リノベーション事業、そして収益不動産売買事業など、幅広い不動産事業を展開する一方で、IT推進とDXに積極的な投資をしており、2020年には社内のデータを整理、統合するために経営戦略・経営企画部門で「TROCCO®」をご導入いただいた。そして2023年、新たにマーケティング部門でも「TROCCO®」をご導入いただいている。マーケティング部門におけるデータ活用のお取り組みの背景と効果、今後の展望についてお話を伺った。

同社のデータ分析基盤の構築・運用についてや株式会社primeNumberのソリューションサービス利用のストーリーについてはこちらをご覧ください。

課題・問題

広告のインハウス化を目指し、より精度の高いマーケティングの効果分析が必要だった

執行役員 経営戦略担当 橋爪 幹人様
2020年に「TROCCO®︎」を導入いただき、どのようにご活用いただいていますか。

橋爪 幹人様(以下、敬称略):前回の取り組みでは、primeNumber社の「ソリューションサービス」を活用し、「TROCCO®︎」を導入したことで経営企画を中心にデータ活用の体制と仕組みを整備しました。各支店長の振り返りの場で営業成績をより細かく深堀りできるようになり、経営会議に必要なデータの集計、報告書の作成が楽になったりと、社内のデータサイエンティストが中心となり、経営に関わるデータを集計、活用できるようになっています。

今回「TROCCO®︎」を導入いただいた、マーケティング部門のミッションを教えてください。

浜田 耕輔様(以下、敬称略):マーケティング部門では現在、新規顧客の集客と名簿(以下、見込み顧客に関する情報)獲得を追っており、同時に広告運用のインハウス化(内製化)を進めています。

内製化の目的は、施策の判断や実行をスピーディーにしたいという考えからです。弊社ではトライアンドエラーを大事にしており、速く動き、速く決断できる環境を求めています。しかし、広告運用を外注すると、コミュニケーションに時間がかかり、運用の成果が分かって修正していくにも時間がかかります。

そのため、アイディアをすぐに実行し、失敗してもすぐに修正できる広告運用を実現するには、内製化は必須でした。また、運用代行手数料の負担が大きいため、手数料を減らして広告費を増やすことができるのも内製化の大きなメリットです。

その他の業務として、MAツール「Adobe Marketo Engage(以下、Marketo)」の導入や施策の実行なども担当しています。

マーケティング部門では、データの活用にどのような課題があったのでしょうか。

浜田:弊社ではFacebook広告やGoogle広告などを運用し、広告効果測定プラットフォームでコンバージョンまでの過程を可視化しています。しかし、より多くの見込み顧客に関する情報を獲得するには、どの媒体でどれだけの新規を獲得できているのか、そしてその後実際の来店やアポ獲得にどの程度貢献しているかを計測する必要がありました。

そこで、直近で導入したMarketoや広告効果測定プラットフォーム、各広告媒体のデータをGoogleのBigQuery(以下、BigQuery)に格納し、その後BIツール「Looker Studio」につなぎこみました。加えて、BigQueryからFTPを介してデータフィードを広告配信に利用することも考えており、そこでのデータ転送のパイプラインも必要でした。

ただ、部署内にデータエンジニアはおらず、私自身もSQLを書ける程度なので、どうデータ分析基盤を構築するかが課題だったのです。

なぜTROCCO®を選んだのか

経営企画からマーケティングへ。社内での成功事例から導入を決断

経営戦略部 Webマーケティング課 浜田 耕輔様
マーケティング部門でも「TROCCO®︎」を導入いただいた理由をお聞かせください。

浜田:私のデスクの近くで「TROCCO®︎」を操作したことがある社員がおり、実際の操作方法や使い勝手を聞いていました。コーディングが必要なく、GUIベースで操作してBigQueryのテーブルとデータソースを紐づけできることや、データをフィード広告に適した形に変換できるなど、使い勝手の良さが非エンジニアのマーケターにとって大きな魅力でした。

社内ですでに「TROCCO®︎」を導入していた経営企画部門に確認した結果、今回の課題解決にも「TROCCO®︎」を活用できると判断し、マーケティング部門でも活用することになりました。

導入までのスケジュール・過程

自社開発のCRMツールやMA、広告データを「TROCCO®︎」でBigQueryに転送

「TROCCO®︎」でデータを転送している「CHANPON」と「DANGO」について教えてください。

橋爪:どちらも弊社が自社開発した社内ツールです。「CHANPON」は、SFAとCRMの機能を兼ね備えた顧客管理システムです。顧客情報に加えて、お客さまが購入・売却した契約・物件情報が紐づいており、取り扱っている物件管理もできるのが独自の特徴です。

「DANGO」は、店舗に来店いただいたお客さまのヒアリング情報をまとめている社内ツールです。弊社では、来店いただいたお客さまを対象にヒアリングさせていただいており、物件の希望条件や希望エリア、ご年収などをタブレットに入力し、記録しています。そのデータを活用することで、お客さまに最適な物件情報をご提案できています。

主に利用しているデータソース データウェアハウス(BigQuery)に入っている情報
Adobe Marketo Engage 顧客・リードデータ
Facebook広告 広告配信データ
Google  Ads 広告配信データ
Google BigQuery 各データソースから転送した情報を一元化
CHANPON 顧客データ、物件データ、契約データ※TROCCO®を使用してデータを転送
DANGO (来店のあった)顧客のデータ
「TROCCO®︎」の導入はどのように進行しましたか。

浜田:TROCCO®のカスタマーサクセスの担当者の方から教えていただき、データの転送設定から、エラーがないかのテストまで1日もかからずに完了しています現在、作成したワークフローは3つです。

初期設定以降、「TROCCO®︎」を操作することはほとんどありません。たとえばMarketoで新しいデータフィードができたら「TROCCO®」に反映する程度の作業しか発生しておらず、1ヶ月に1回あるかないかの頻度です。

また、弊社が導入している広告効果測定プラットフォームに関しては、現状CSVを介してデータを連携しています。こちらの更新頻度も1、2ヶ月に1回程度の頻度であり、スムーズに処理できる作業です。

BIツールでは、どのようなダッシュボードを構築していますか。

浜田:お客様ごとに割り振られたIDをもとに、どの媒体から流入したのか、いつ頃に流入が発生したのか、新規か既存か、アポの有無などを集計し、可視化しています。

マーケティング部門ではまず、毎朝出社時にBIツール上で確認し、前日の広告配信の結果を確認し、共有しています。とくに問題がなければ、退勤する前にその日に獲得できたコンバージョン数や獲得経路を確認する、という流れです。

媒体別の会員登録数やCV数をまとめているダッシュボード
地域別集客数のサマリーを可視化しているダッシュボード

導入後の効果

データエンジニアが2週間かかるようなデータ分析基盤の構築を、マーケターが1日で

「TROCCO®︎」の導入によって、どのような成果が得られましたか。

浜田:マーケティング部門で必要な広告系のデータをBigQueryに集約し、広告媒体へ連携することは、コードが書けないマーケターには難しく、データエンジニアの方に任せなければなりません。お任せしたとしても2週間ほどかかるような構築を1日に短縮できたことは、大きな成果だと思います。

また、もし手動でデータを連携する場合、その分の定期的な作業が発生するのでそのためのスケジューリングが必要になり、作業を忘れることできないのが辛いですね。「TROCCO®︎」の導入で自動でデータが連携されるようになり、これらの悩みから解放されました。

MAツールと「TROCCO®︎」の双方向のデータ転送によって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

浜田:Marketoと「TROCCO®︎」のデータを連携しない場合、顧客情報が制限され、施策の実施が限定的になります。そこで、Marketo以外のツールで蓄積してきた顧客データを「TROCCO®︎」経由でMarketoにデータを連携しています。
この方法でMarketo上のデータを拡張し、施策の精度を高めるメリットがあります。

マーケティングの施策に関連して、ほかにどのような効果が得られましたか。

浜田:BigQueryに蓄積されたオーディエンス情報を広告の施策に利用することで、広告の配信金額を以前の3倍近くまで引き上げることができました。結果としてCPAが多少上がった程度に抑えた状態で、より多くのCVを確保することができました。

さらに、「TROCCO®︎」の導入前後でインハウスによる広告運用に切り替えたことで、広告配信金額の10〜20%という高額な代理店手数料を削減できました。浮いた代理店手数料は、広告の配信費に回しています。

「TROCCO®︎」の操作してのご感想をお聞かせください。

浜田:とても操作しやすいというのが最初の感想でした。非エンジニアの私でも、データ転送の設定ができたのは驚きでしたね。マーケティングの部門だけでデータ分析を完結できるようになったことで、分析と施策のスピードが上がっています。社内のエンジニアに依頼するにしても、オリエンテーションの時間や確認作業で時間を使ってしまうので、自分自身で構築できるのは非常に助かります。
運用においては、もしエラーがあった場合もSlack上に通知されるため、見逃すことがなく、エラー対応も簡単でした。

データ分析基盤の構築・リプレイスやダッシュボード作成についてお悩みの方はこちらよりご相談ください。

今後の展望

お客さまに最適なタイミングで、最適なご提案ができる環境を整えていきたい

今後のデータ活用の展望についてお聞かせください。

橋爪:正直なところ、データ活用は、まだまだ道半ばです。不動産の売買は現場の営業担当者とお客さまの直接的なやり取りが中心のため、そのお客さまの温度感をデータで可視化するのはなかなか難しいです。

弊社は自社開発のツールを含め、MAやBI、広告効果測定プラットフォームなど、さまざまなSaaSを導入するというフェーズは乗り越えられました。そして現在、導入したSaaSの良いところを抽出し、データの一貫性を担保しながら横並びのデータつなぎ合わせ、大きなシステムを構築している最中です。

お客さまに最適なタイミングで、最適なご提案ができる環境を整えるため、引き続きシステム全体の最適化を進めていきます。

データ活用に悩んでいる読者の方へアドバイスをお願いします。

橋爪:データ活用は、どこからでも良いと思うので「始めること」が大事です。私が入社し、初めてのデジタル化として着手したのが、ビジネスチャットツールの導入でした。しかし今では、CRMの内製や「TROCCO®︎」によるデータ分析基盤の構築までできるようになりました。

一足飛びにデジタル化を実現する方法はありません。業務が少し便利になっている実感を得ながら、積み重ねていくようにデジタル化していき、データ活用まで進められればと思います。

「TROCCO®︎」は、どのような企業におすすめできるでしょうか。

橋爪:不動産業界で5〜7店舗以上を経営するのであれば、社長や経営層は現場のことを直接把握するのが難しくなってくるでしょう。そうすると、KPIの設定で現場を管理することになります。そのKPIを達成できているかどうか、できていないのであればなぜかを把握するために、SaaS導入によるデジタル化とデータ活用は必要不可欠です。

複数のSaaSを活用したり、複数の広告媒体に出稿したり、とにかく増えてしまったデータを統合したい、まとめたいというニーズに応えるツールが「TROCCO®︎」だと思いますので、不動産業界の企業で5〜7店舗以上の運営しているのであれば、一度検討してみてはいかがでしょうか。

データ分析基盤の構築・運用は
TROCCO®️におまかせ。

ETL/ELTパイプライン構築やワークフローなどを、SaaS上で実現。データエンジニアの工数を削減して、分析やクリエイティブな業務に集中しましょう。

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株式会社不動産SHOP ナカジツ

https://nakajitsu.co.jp/

業種不動産業界
設立2006年6月
従業員数---
事業内容不動産コンサルタント事業(不動産仲介事業)、 不動産リノベーション事業(中古再生事業)、新築分譲注文事業、 不動産買取事業、住宅・店舗リフォーム事業、 建物インスペクション事業、生保・損害保険代理事業 投資用不動産(アセットマネジメント)事業