LINE公式アカウントを起点にCRMを構築し、企業の売上増加に貢献するコミュニケーションプラットフォーム「MicoCloud(ミコクラウド)」を開発、運営するMicoworks株式会社。
99.4%という高い継続率* を誇る「MicoCloud」では、データ活用によるプロダクト価値の向上を目的にデータ分析基盤を構築しており、データの整理、統合に「TROCCO®」を導入している。お取り組みの背景と効果、今後の展望についてお話を伺った。

* 2021年10-12月期

導入のきっかけ

ゴールはお客様のプロダクト利用状況が可視化された状態

プロダクト開発本部 プロダクトマネージャー 村上 悠治 様
「TROCCO®」の導入の背景をお聞かせください。

村上 悠治 様(以下、敬称略):弊社ではデータ活用の基盤を構築しようというプロジェクトが、2021年1月頃からスタートしました。「MicoCloud」がさまざまな業種、さまざまな業態でご利用いただけるようになり、各分野での成功事例が蓄積されてきたため、それらのノウハウや実績をデータとして整理しようと考えたのです。

当時、社内にはデータエンジニアが在籍していなかったため、業務委託としてアサインした社外の方と相談した上でツールの活用を決めました。

プロジェクト開始前のデータ活用はどのような状況だったのでしょうか。

村上:開始前はデータ活用といっても、Googleアナリティクスでプロダクトのどのページがどのくらい閲覧されているか程度しか見れていませんでした。営業における顧客管理は、SFAツールのSalesforceの管理画面を直接確認していたのです。

また、別の課題として新しい施策を実行するための基盤が整っていなかったことが挙げられます。以前、ツール内にレコメンド機能を実装しようとプロジェクトを進めたことがあったのですが、データ分析基盤を整えていなかったためにうまくいかず……。ただ、経営視点でいずれ取り組まなければならない施策だったため、データ分析基盤が整ってから着手することになりました。

今回のプロジェクトにおけるゴールをお聞かせください。

村上:Googleアナリティクスの限られたデータだけで分析していた状態から、BigQueryやGoogle データポータル、Metabaseを活用することでデータを集約し、お客様のプロダクト利用状況が可視化・分析できる状態を目指しました。

また、非エンジニアのビジネスサイドの社員も利用できる状態に整えることも重要でした。

ゴールに向けて重視したポイントをお聞かせください。

村上:まず、エンジニアでなくても誰もが操作できるようにBIツールを導入することにしました。そして、BIツールをうまく活用するためにも、BigQueryにデータを集約させるという判断をしています。

また、このプロジェクトと同時並行で、インフラ環境を大きく変更するプロジェクトも進めていたため、インフラ環境の変更に耐えうる柔軟性を持たせることが重要でした。なぜなら、データ分析基盤を構築し直すことになればコスト的にデメリットが大きいからです。データのつなぎ込みに外部ツールの力を借りることを決めました。

将来的にサービスが大きく成長していくことを見越したプロジェクト設計となっています。

導入・構築について

SalesforceとMySQLのデータを統合。CS担当者がデータを分析できるように

データ基盤構想の図
ツールの比較検討はどのように行われたのでしょうか。

村上:いくつかのツールについて比較し、データエンジニアとも相談してデータ統合の領域であれば「TROCCO®」しかないと判断して導入を決定しました。

いずれは広告系データも集約していきたいので、さまざまなツールからデータを取得できる網羅性、そしてクラウドツールとしての柔軟性という点から「TROCCO®」は魅力だったのです。特に柔軟性は重要な要素でして、成長途中で今後も大きな変更が起きる可能性がある弊社のプロダクトにとって、フルスクラッチよりも圧倒的に安く、データも繋ぎ込みやすいことは高評価でした。

ツールの導入にあたって、社内の合意形成はどのように進められましたか。

村上:データ分析基盤が整っていないことで「現在何ができていないのか」、そして「『TROCCO®』の導入で何ができるようになるか」をストーリーとして語れるように意識していました。

石杉 聡一郎 様(以下、敬称略):具体的な例として、お客様のLINEの友だち数やメルマガの一斉配信の設定頻度を確認できるようになれば、CSからお客様により効果的なサポートができるようになります。

こうした導入後をイメージさせる企画書を経営陣に提出しました。経営陣も今後のサービス成長のためにデータへの投資は必須であると認識していたため、「TROCCO®」の導入についてはスムーズに合意を得ることができています。

「TROCCO®」の導入はどのように進められましたか。

石杉:BigQueryにデータを流し込む段階までで、およそ1ヶ月ほどでした。急ぎではなかったのですが、スピーディに完了することができ、社内にいち早く成果を示すことができたのはよかったですね。

社内で勉強会を開催しながら、CS担当者がダッシュボードを分析できるようにプロジェクトを進めました。「MicoCloud」のタグ情報のタイトルをルール化し、データを出力してメルマガやメッセージを配信しました。

同時並行で、クライアントのヘルススコアを一覧で確認できるダッシュボードを整備しました。データエンジニアが制作した仕様書をもとに、現場の状況に落とし込んだ形式に整えて可視化しています。

その際に苦労したポイントが、顧客データとSalesforceのデータが紐付けられていないことでした。そこでクライアントが「MicoCloud」を契約したときに発行されるカンパニーIDをSalesforceにつなぐことで、データ連携がうまくいくように設定しています。その他にMySQLを「TROCCO®」につないでいます。

導入後の効果

データ分析から、クライアントの満足度向上につながる施策へ。
さらなる価値提供を目指して

MicoCloud事業本部 Customer Success Manager 石杉 聡一郎 様
お取り組み後の成果をお聞かせください。

石杉:「TROCCO®」導入のおかげで、社内にデータエンジニアが在籍していなくても、業務委託の方と協力することでデータ分析基盤を構築することができました。

データ分析基盤が整った現在では、解約リスクを下げるための施策を検討するだけでなく、エンタープライズ向けに個別でダッシュボードを提供することも少しずつ始めています。また、より高度な分析ができるダッシュボードを一部商品化することによるARPA向上も生まれています。

チャーンを防ぐためには、クライアントの事業に貢献し、満足していただくことが重要です。そうした意味で「TROCCO®」の導入で事業的な価値も生まれていると感じています。

クライアントからの声では、今まで手動でなんとかデータを出していたものが、より簡略にデータ分析できるようになったとの感想がありました。自社のLINE施策の成果を振り返れるようになり、社内で報告しやすくなったとの声もいただいています。

定量的な計測こそ難しいのですが、こうしたお客様満足度の向上で解約率を下げることはできているはずです。事実、ダッシュボード機能をご提供した企業からの解約は発生していません。

村上:今回のプロジェクトは大きく2つの価値があったと思っています。

さまざまな施策を実施するためにはデータ分析基盤を整える必要があると社内に啓蒙できたことがまず1つ。そして、弊社のプロダクト内でクライアントの周辺情報を格納していたタグに関するデータに光をあて、今後の事業拡大のボトルネックになりそうな課題にメスを入れたことも、大きな成果です。

今後の展望

『TROCCO®』は『第2のデータエンジニア』のような存在

今後の展望をお聞かせください。

村上:「MicoCloud」のプロダクト価値は、BtoCの事業者さんの売り上げに貢献することです。BtoC事業者さんの先にいるユーザーの体験をいかに一貫して押さえていくか、それがプロダクトにとっての次のステップになります。

そのためには、コンバージョンデータとユーザーの属性データを掛け算しながら予測の精度を上げていくことが、今後のプロダクト価値の向上にとって重要なポイントになってくるでしょう。

「MicoCloud」にとって「TROCCO®」はどのような存在でしょうか。

村上:データ活用に関わるエンジニアのリソースをまるっと受け持ってくれる「第2のデータエンジニア」のような存在です。費用もエンジニア1名を採用するよりはずっと安いことも魅力ですね。データ分析基盤の構築から保守運用を含め担ってくれる、頼りになるパートナーだと思います。

村上様、石杉様、ありがとうございました。

Micoworks株式会社

https://micoworks.jp/

業種IT業界
設立 2017年10月30日
従業員数 49名(2021年12月末時点)
事業内容マーケティングツール「MicoCloud」の企画・開発・販売