創業以来一貫して「個別指導」にこだわり、全国47都道府県すべてに学習塾「明光義塾」を展開している株式会社明光ネットワークジャパン(以下、明光義塾)。データを企業の資源として活用することを目的に策定された「明光DX戦略ロードマップ」を前進させるため、導入されたのが「TROCCO®」だ。取り組みの背景にあった課題や効果、データ活用における今後の展望についてお話を伺った。

導入のきっかけ

明光DX戦略の実現に向け、データをセキュアかつシームレスに連携させたい

取締役 DX戦略本部長 谷口 康忠 様
貴社のDX戦略の概要について、お聞かせください。

谷口 康忠 様(以下、敬称略):現在、事業戦略の核となっているのが、中期経営計画である「ファン・イノベーション Fan・Fun Innovation」です。生徒/保護者、教室長、講師の方をはじめ、明光義塾に携わる全ての方を対象とする「Fan」と、「楽しむ」の意味である「Fun」をInnovationによって繋げることで、持続的な企業価値の向上と成長を目指しています。

特に、明光DX戦略ロードマップにおいては、DXの推進と明光ブランドの深化と探索により、新たなファンを創出していくことを、基本方針として掲げています。
そのための具体的な取り組みとして、①基幹システムのフルクラウド化とデータ整備、②各種データのシームレスな連携、③データを用いた連携アプリの展開、というように3つのStepを3カ年計画のDX戦略として策定しました。

教育業界全体のDXについて、貴社ではどのように受け止めていますか。

谷口:ここ数年において、コロナ禍の影響もあり、文科省主導のGIGAスクール構想も急速に進みました。各学習塾でもオンライン授業の展開が急速に整備されたりと、教育業界全体のデジタル化が一気に進んだようにも見えます。加えて、内閣府のデータによると今や中学生のスマートフォンの所有率は91.1%、高校生に至っては99.3%(参照:内閣府『令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査』)で、生徒のほぼ全員が自分専用のスマートフォンを所有しています。「ファン・イノベーション Fan・Fun Innovation」を推進していく中で、データを活用して、生徒/保護者さまとのエンゲージメントを強化し、新たな業務改革に繋げていくことが、DX戦略を推進していく一つのゴールであると考えました。

DX戦略を推進していくにあたっての課題はあったのでしょうか?

谷口:データを活用して連携アプリを展開していくにあたり、安全かつシームレスにデータを流通させるためにはどうすればいいか?という点において悩みました。

既に基幹システムのフルクラウド化とデータ整備は着手しつつ、アプリケーション戦略まで検討に入っていたものの、APIを実装していない基幹システムのデータをどうやってシームレスに連携させるか、また、個人情報の流出や情報漏洩を起こさないデータ連携の仕組みをどうするかについて、具体的な方法を模索し始めました。

関谷 昌ニ 様(以下、敬称略):以前は開発ベンダーにデータの抽出、連携を依頼していたのですが、データの特定から抽出までの一連の作業をすべて各開発ベンダーに依頼することで、膨大な期間とコストが掛かっていました。

導入・構築について

「ひとりDX推進室」を支えた「TROCCO®︎」。使い勝手とコストが採用の決め手に

情報システム部 課長代理 関谷 昌二 様
「TROCCO®︎」をお知りになったきっかけをお聞かせください。

谷口:前職からの関係もあり、primeNumber社の下坂さんより「TROCCO®︎」のお話をお伺いしたことがきっかけです。ちょうどその頃、私はDX推進室長として、中期経営計画におけるDX戦略を検討している段階でした。とはいえ、当時はまだDX推進室にメンバーはおらず、孤軍奮闘しているなか、下坂さんとのディスカッションを重ねていく中で、「TROCCO®︎」のETLという技術を用いて具体的なプラットフォームの要件を固めていきました。

他社ツールとの比較検討はどのように進められたのでしょうか。

谷口:ETLツールという点で重要視したのはUIによる運用面での操作性とセキュリティです。特に「TROCCO®︎」のUIは、他社のETLツールよりもかなりシンプルで分かりやすく、導入しても問題ないと判断しました。また、データ転送時に暗号化を施すセキュリティ面やログの管理も充実していました。

関谷:特に分かりやすいと感じているのが、ワークフロー(ジョブ管理)の画面です。ジョブ間のつながりや、どこまで正常に終了しているのか、逆に異常終了している箇所はあるか、リランの操作など、直感的でシンプルだと思います。
おそらくシステム経験のないユーザーが見て分かるのではないでしょうか。

谷口:また、コスト面においても非常に魅力的でした。他のETLツールも比較調査してみたのですが、コスト面で圧倒的な差があったこと、カスタマーサクセス面でのprimeNumber社の直接サポートがあったこと、そして、将来的な開発スケジュールやデータ連携に可能性を感じました。大型の資金調達ニュースもあり、さらに優秀な開発人材の採用も期待できましたね。

「TROCCO®︎」の導入で、社内合意を得るために工夫されたことがあればお聞かせください。

谷口:まず試験的なPoCを実施することで、データを抽出する方法と、基幹システムのデータをBIツールへ表示させることで、「TROCCO®︎」の運用面と安全性を評価しました。また、経営陣に対して、データの抽出から可視化までをシームレスに実行できることを示しただけでなく、同時に情報システム部のメンバーにも「TROCCO®︎」を理解してもらうことができました。

「TROCCO®︎」の導入プロジェクトはどのように進行しましたか。

関谷:最初のプロジェクトは、「明光義塾アプリ塾生証」の実現に向けた基幹システムとのデータ連携でした。プロジェクトでは、DX戦略本部として必要なデータの連携項目を決定し、情報システム部が「TROCCO®︎」で特定・抽出する実務を担いました。

primeNumberの方とは密にコミュニケーションさせていただき、課題や進捗確認をしてくださったおかげで、大きなトラブルもなくプロジェクトを進めることができました。

結果として、当初の計画通りに明光義塾の各教室への「アプリ塾生証」を展開することができています。現在の「アプリ塾生証」は、QRコードをかざすことで入退室管理ができたり、授業のスケジュール管理ができたりする、生徒/保護者さまとのエンゲージメントを高めるシステムとなっています。

導入後の効果

ツールによるデータ連携でコスト削減!データ分析のスピードも向上

CX部 課長
小野 洋平 様
「TROCCO®︎」導入のプロジェクトを振り返ってのご感想をお聞かせください。

関谷:プロジェクト全体を通して、「TROCCO®︎」に関してはトラブルらしいトラブルは起きていません。一度だけ、夜間に走っている「アプリ塾生証」とのデータ連携にエラーが起きたことがあったのですが、primeNumberの担当者に連絡したところ、すぐにユーザー画面からリランできることを教えていただきました。こうしたご対応のスピード感にも満足しています。

小野 洋平様 (以下、敬称略):私自身、これまでSIerの立場でSQL(データベース)を含めた提案を行ってはいたものの、「SQLならこんな事が出来るよね」程度の知識しかありませんでした。そんな私でも「TROCCO®︎」なら何度かクリックしていくだけでパイプライン構築が出来ましたし、シンプルで理解し易いUIが気に入っています。

その後、他社のETLツールを操作する機会があったのですが、どこに何の設定があるのか、理解が難しいところがありました。それだけでなく、エラーが起きて数日間一切データが転送されないと言ったトラブルもあったのです。
「TROCCO®︎」はUIだけでなく、データ転送の速度や安定性についても非常に優れているなと感じました。

「TROCCO®︎」の導入で、どのような成果が得られましたか。

関谷:今回のプロジェクトをきっかけに、情報システム部内でデータの保管場所やルールを理解してもらい、「TROCCO®︎」によって作業を効率化したことで、2人日かかっていたデータ特定作業がなくなりました。

経営判断におけるデータ活用に変化はありましたか。

谷口:「明光義塾アプリ塾生証」のアプリ連携に加えて、経営に関わる教室の入会数や問い合わせデータなどを「TROCCO®︎」を活用してBIツールにデータ連携させています。

以前はRPA経由でデータを取得していたため、データをBIツールに連携させるのにエラーが発生したり、不安定なことも多々ありました。今回「TROCCO®︎」の導入によって、安定的にデータを連携できるようになり、ほぼリアルタイムで経営に関わる数字を確認できるようになりました。

今後の展望

DX戦略に基づくCX(顧客体験価値)へ。バックオフィスのデータも活用していきたい

「明光DX戦略ロードマップ」は今後どのように展開されていくのでしょうか。

谷口:もともと3カ年計画で予定していたDX戦略も、「TROCCO®︎」の活用により、2年目でStep3まで到達することが出来ました。

特にデータを活用した連携アプリへの展開の核となる「明光義塾アプリ塾生証」は、「TROCCO®︎」経由によるセキュアかつシームレスなデータ連携を実現することで、教室業務の事務作業軽減および業務変革を実現させました。また、教室外においても生徒/保護者さまとのエンゲージメントが強化され、実際に便利になったとの声をたくさんいただいています。これらのDXの取り組みが、生徒/保護者さまのCX(顧客体験価値)の向上につながっていくものだと考えています。そして、次のDX戦略においては、「TROCCO®︎」を活用し、社内オペレーション業務のDX化に着手していきたいと思います。

「TROCCO®︎」はどのような企業におすすめできるでしょうか。

小野:近年のデータ連携にはよくAPIが活用されていると思いますが、APIが実装されていない等の理由でどうしても繋げないデータは存在します。こうしたデータ連携の隙間を埋める便利な存在としても「TROCCO®︎」は活躍の場を広げていくのではないでしょうか。

谷口:経済産業省のDXレポートで、2025年には21年以上稼働している基幹系システムが全体の6割を占めると予測しています。さらに2025年以降、老朽化や複雑化、ブラックボックス化している既存システム(レガシーシステム)に起因するリスクに伴う経済損失額は年間で約12兆円と推定しています(参照:経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(本文)』pp. 26-27)。

そのためにも、単にシステムを更改するだけではなく、データに基づき、デジタルを活用することでDXを推進していくことが企業にとって重要な使命であると思います。

今回のプロジェクトでも「TROCCO®︎」はブラックボックス化するシステムをDX推進するうえで非常に有効なツールだったように、我々と同様の課題を持つ企業においても役立てるツールだと思いますね。

株式会社明光ネットワークジャパン

https://www.meikonet.co.jp/ja/index.html

業種教育
設立1984年(昭和59年) 9月
従業員数920名(連結)(2021年8月末)
事業内容学習塾事業、幼児・学童・スポーツ事業、人材事業