ERP再構築を機にデータウェアハウスをクラウドへ。Snowflake × TROCCOで日本電子が進める「データ民主化」と「内製化」

日本電子株式会社

- 課題
- ビジネスサイドでのデータ加工が個人所有のExcelによる二次・三次加工に依存しており、IT部門のリソース不足も相まって、データ提供依頼に迅速に対応できていなかった
- 既存のデータベースの容量が逼迫し、レスポンス速度が低下していた。
- 複数のシステムにデータが分散しており、各ツールのデータを掛け合わせる柔軟なデータ活用が困難だった
- 目的
- 今後活用したいデータソースを一元的に管理でき、拡張性がある基盤の構築
- データ参照時のレスポンスを向上させるとともに、将来的なAIや機械学習の活用を見据えた柔軟な基盤の構築
- 教育コストが低く、誰でも容易に扱えるツールを選定し、限られたIT部門のリソースでも対応できる体制の確立
- 効果
- 複数のデータが一つに集約される環境が整い、データ活用への第一歩を踏み出すことができた
- 手作業によるデータ準備からの脱却が期待され、今後は経営層へのフィードバックや改善提案に繋がるデータ分析が可能に
日本電子株式会社は、ERP再構築を契機にデータ基盤の刷新に着手しました。分散していたデータソースの一元化と、参照レスポンスの改善を目的に、クラウドデータウェアハウスとしてSnowflake、ETLツールとしてTROCCOを採用。限られたITリソースでも運用できる使いやすさと拡張性を両立し、データ民主化と内製化に向けた第一歩を踏み出しています。本記事では、システム開発部の山口様、佐野様に、再構築の背景、ツール選定の決め手、支援体制、今後の展望を伺いました。
課題・目的
ERP再構築を機に、遅延・分散・属人化を解消し“誰もが使える基盤”へ

山口様(以下、敬称略): 現在、ERPミドルウェアのサービス終了がきっかけとなり、基幹システムのERP再構築という大型プロジェクトに取り組んでいます。今回、データウェアハウスの再構築の取り組みも併せて実施する事になりました。
当時からデータを活用したいという要望は現場のメンバーからも上がっていました。しかし、実際はERPのデータをコピーしているだけで、SalesforceやNotesなどの他の重要データが集約されていません。
そこで、全てのデータソースを管理できるデータウェアハウスを構築する必要性がありました。
山口: 以前の環境はデータ量が増えたことがきっかけで、レスポンスが非常に悪く、参照に時間がかかっていました。また、現場では必要なデータを得るために、提供されたCSVデータを基にExcelやAccessで二次加工、三次加工をせざるを得ない状況でした。これは、限られたITリソースでデータソースを用意しきれず、その手作業からの脱却が難しかったためです。
佐野様(以下、敬称略):現場のユーザーは、マクロでは対応しきれない複雑な加工を手作業で行う必要があり、日々の業務に大きな負担となっていました。
山口: 目的は、データの民主化、つまり誰でもデータが扱える基盤を作ることです。様々なデータソースからデータを一つに集約し、取り出せるような状況にしたいと思っていました。また、レスポンスの改善はもちろん、将来的にAIや機械学習といった分野にも対応していけるよう、柔軟性の高い基盤が必要だと考えました。
なぜ「TROCCO」を選んだのか
大量データが処理でき、教育コストが低い。GUIで操作可能なETLツール選定

山口: 既存のデータ連携ツールが大量データ処理に向いていなかったため、大量データに対応できることが最大の要件でした。一度に100万、200万件のデータは発生するので、タイムロスなく連携できることが重要でした。
佐野: 私としては、教育コストが低いことがポイントでした。今後、新しい人が入ってきたとしても、すぐに習得し使えるようなツールが良かったからです。
佐野: 他社製品と比較した際、他の製品と操作性は全く違うという印象です。TROCCOはGUI上のマウスクリックで設定できるのがありがたいと感じました。
また一部処理では、明らかに差が出て処理時間がほぼ半分になりました。特に差分データを持ってくる処理をGUIで作成した場合、TROCCOは裏で性能を考慮した実装がされているため、性能差が出たと思われます。
山口: IT部門は開発系で約15名、今回のプロジェクトに注力できるメンバーも限られる体制で運用していきます。そのため、使いやすさや性能面で優れているTROCCOが我々の要件に合致していると判断しました。
導入までのスケジュール・過程
移行期のつまずきも迅速に解決

山口: 2023年5月から準備フェーズとして情報収集を開始し、7月からデータウェアハウスの検討に入りました。ベンダー選定を経て、2024年10月からデータウェアハウスの構築フェーズに入っています。現在(2025年9月時点)は検証フェーズに入っており、ベンダーさんのサポートもあって順調に進捗しています。最終的なERPのカットオーバーは2026年5月のゴールデンウィークを予定しており、それに合わせてデータウェアハウスも稼働させる予定です。
佐野: 構築の初期段階で、S3への大量データ転送時にTROCCOで転送ができないという事象が発生しました。ベンダー経由でご依頼いただいたところ、迅速に対応してもらえたことです。そんなに早く解決できるのかと、驚きと感動がありました。
導入後の効果
手作業でのデータ準備を脱却、分析と提案に時間を使える体制へ

山口: 今回の取り組みで複数のデータソースを集約し、データを一元化することができました。次に重要になるのは、ユーザーに対し、いかに良いデータを提供できるかです。まずはデータ活用を進めるための社内人材育成が課題となるので、これから取り組んでいきたいです。
佐野: 今の現状は集計作業が多いため、経営層にアピールできるような「こういう改善のデータがあるのではないか」という示唆を得られるようなデータ分析ができるようになれば良いと思っています。
今後の展望
営業・生産から全社展開へ、人材育成とAI活用で内製化を加速

山口: まずは影響が分かりやすい営業部門や生産部門から進めていくのが現実的だと考えています。数字に直結する部分になるため、まずは成果を出していきたいです。長期的には、AIを活用してデータ提供を自動化できれば最も良いと思っています。
佐野: 今後、本番実装に入った時に何か問題が出た際にも、引き続き迅速に対応していただくことを期待しています。
山口:より活用を進めていくためにも、今後の様々なコネクタ開発の進展に期待しています。
TROCCOに興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
