株式会社CARTA HOLDINGSのグループ会社である株式会社サイバー・コミュニケーションズは、日本のインターネット広告誕生の1996年に設立。デジタルマーケティング全般のサービスを展開、数百の媒体社・広告会社との取引と共に、業界を牽引しています。「革新的で信頼あるインタラクティブコミュニケーションサービスの提供を通じて、より豊かな情報社会の一翼を担う」という理念を掲げ、メディアと共にユーザーへの価値を提供し、最先端のマーケティングサービスを通じて、クライアントと ユーザーのコミュニケーションを実現しています。

同社が提供するデータコンサルティングサービス「DataCurrent」において、マーケティングシステムおよびデータ分析基盤構築をテーマに2019年8月より、分析基盤向けデータ統合サービス「TROCCO®(トロッコ)」との協業をスタート。データ基盤構築やデータ処理業務に同サービスを活用することで、コスト削減と業務効率化を実現しました。

データコンサルティングサービスで同社が抱えていた課題とツール導入の過程について、データソリューションディビジョンの佐藤 将樹氏にお話を伺いました。(聞き手:株式会社primeNumber 山本 健太)

CCIのDataCurrent

データソリューションディビジョンの体制

貴社事業「DataCurrent」の概要を教えてください。

佐藤 将樹 氏(以下、敬称略):DataCurrent(データカレント)は媒体社および広告主向けのデータコンサルティングサービスです。お客様がお持ちのデータ資産とCCIが保有する2nd Party Data/3rd Party Dataを組み合わせ、お客様の様々なマーケティング課題をデータ活用により解決しビジネスに貢献することが大きなミッションとなります。主なサービスとして以下の取り組みを行っています。

  • データ基盤の構築
  • 広告配信、運用、効果検証までのコミュニケーションプランニング
  • 機械学習や深層学習を活用したデータ解析
  • CCI保有データを活用した会員顧客の理解、コミュニケーション活用
  • サイト解析、ソーシャルリスニング、大規模データ分析といったデータアナリティクス
  • オンラインプライバシー管理サービスの提供
データ・ソリューション・ディビジョンの体制と佐藤様の業務についてお聞かせください。

佐藤:データ・ソリューション・ディビジョンは全体で100名ほどです。DataCurrent以外にサイト構築やタイアップコンテンツ制作、SNS運用などを行うクリエイティブサービス、コンテンツを基軸としたデジタル領域でのビジネス開発を行うコンテンツビジネスサービス、企業の安全安心な広告コミュニケーションをフルスタックでサポートするサービス「SAFE for Quality Ads」、デジタルマーケティング推進に必要なシステム開発を行うテクノロジーサービスを提供しております。

私の業務としては、デジタルマーケティング周辺領域におけるデータ基盤およびデータ活用商品の企画、仕入、開発および運用支援を主に担っております。

株式会社サイバー・コミュニケーションズ 佐藤様

DataCurrentの事業戦略

膨大なデータを抱えるパブリッシャーのデータ活用を支える

DataCurrentの主要顧客について教えてください。

佐藤:媒体社様と広告主様にサービス提供していますが、その中でも、出版社やテレビ局といった媒体社様へのサービス提供が進んでいます。いずれケースも蓄積したデータの利活用でお悩みを持たれていることが多く、我々が保有する2nd Party Data/3rd Party Dataを活用したデータアナリティクスやその分析結果に基づくコミュニケーションプランニングに力を入れています。

DataCurrentのお客様はどのようなデータを活用しているのでしょうか。

佐藤:お客様の会員データやサイトアクセスデータ、広告配信ログが中心になります。これらのデータソースを用いて、広告配信結果や自社サイトを閲覧する生活者のペルソナや興味・関心を可視化し、その結果をデジタルマーケティング施策に活かしています。

DataCurrentのお客様は、データ活用でどのような課題をお持ちなのでしょうか。

佐藤:データが分散して統合管理ができていないケースが多いです。例としては、特定の課題を解決するためにスクラッチで構築されたシステムや個別担当者が管理するExcelファイルなどにデータが分散してしまい、他の目的にはデータが利活用できないという課題が挙げられます。

一昔であればそれでも問題がなかったのですが、技術の進歩によって取得できるデータの種類やボリュームが飛躍的に大きくなりました。いわゆる「ビッグデータ」ですね。そうなると、これまで通用してきたデータ管理・分析の型にはハマらないですし、ましてやExcelでは到底管理できない世界になってきます。

我々の提供サービスでは、当たり前のようにSQLを使ってログレベルのデータから必要な情報を抽出しますが、これは一昔前だと信じられません。これからの時代は、データを統合管理し、様々なツールを的確に組み合わせ、使いたいデータを使いたい形でアウトプットし、スピーディにビジネスに活用していくことが必須になっていくと考えています。

データ活用の課題と背景

エンジニアリソースをより価値の高い業務に投下したい

データ・ソリューション・ディビジョンにおけるデータエンジニアの具体的な業務について教えてください。

佐藤:データ分析基盤、外部連携、データ集計などの関連ツールの設計、開発および運用と機械学習などのテクノロジーによる付加価値創出が中心ですが、突発的発生する「このデータをすぐにあの分析環境に入れたい」というアドホックな業務も発生します。既存の開発タスクもある中で割り込み対応してもらうことも少なくありません。

データ・ソリューション・ディビジョンの事業課題についてお聞かせください。

佐藤:お客様の課題をスピーディに解決していく上で、エンジニアリソースに限界があったことが課題でした。大量なデータを扱うとなると、エンジニアのリソースを稼働して、必要なデータを、必要な場所に、適切なタイミングで取り込んでいくというステップは避けられません。かといって、エンジニアの人数を増やすのも容易なことではありません。

また、現場のデータエンジニアにとってアドホックな業務は大きな負担でした。決まったフォーマットで定期的にデータを漏れなく取り込み、ビジネスを円滑に回すことは大切なことです。しかし、エンジニアからすると、決まったことを繰り返すだけのときめかない仕事だと感じられます。これは現場のモチベーションにも関わってきますし、私も自社のエンジニアにはもっと価値の高い業務にリソースを割いてほしいと感じていたのです。

業務の効率化を進めていく意味でも、データのインポート・エクスポートに関わる業務をツールで置き換えていくことは、データ・ソリューション・ディビジョンにとって急務でした。

トライアルと比較検討

エンジニアでない担当者でもデータを扱うことができた

「TROCCO®」の導入を検討されたいきさつをお聞かせください。

佐藤:貴社の代表より「TROCCO®」をご紹介いただき、最初はテスト用のアカウントでトライアルさせていただきました。どういう機能が実装されているか確認し、データ・ソリューション・ディビジョンの業務でどのように活用できるか確かめさせていただいたのですが、扱っているデータの種類が多すぎたこともあり、トライアルには3ヶ月ほどかかってしまいました。

その期間は様々なチームに一通り触ってもらい、実際に今のプロジェクトの、どういうシーンにこのツールを適用していけるか慎重かつ丁寧に検証していきました。その結果、「エンジニアリソースを使わず、セールスやコンサルティング担当者でもデータのインポートやエクスポートが簡単にできそうだ」という感触が得られたので、正式に導入させていただくことになりました。

他社ツールとの比較検討は行われたのでしょうか。

佐藤:我々の業務課題を解決できるツールは他に存在していませんでした。現場ではDigdagというワークフローエンジンを動かしていたのですが、そこにかかるエンジニアリソースとの比較はしています。エンジニアリソースを使ってDigdagのシステムを使って様々なデータに対応していくのか、「TROCCO®」を活用していくのかを比較したとき、やはりツールを使うべきという結論に至りました。

「TROCCO®」導入について

データエンジニア3名分のリソースを空けることに成功

「TROCCO®」を一番活用している業務を教えてください。

佐藤:「TROCCO®」はデータ活用基盤の構築から分析、効果検証の領域で主に活用しています。様々なデータソースを分析基盤にインポートする部分、分析結果をデジタルマーケティングツールなどにエクスポートする際に活用しており、ツールとツールのハブとして機能しているイメージです。

具体的には、BigQueryやTreasure DataといったDWHやGoogle Cloud StorageやAmazon S3といったファイルストレージにデータをインポート・エクスポートする業務で活用しています。これらの業務を、データエンジニアの手を借りずに担当者でも行うことができるようになり、おおよそデータエンジニア3名分くらいのリソースをツールに置き換えることができたのは大きな成果ですね。

実際のTROCCO®︎の画面
「TROCCO®」の導入で、最も評価されたポイントを教えて下さい。

佐藤:データコンサルティングで発生する大半のアドホック対応がスピーディに対応できるようになったことが一番大きいポイントでした。現場で日々発生する「今すぐこのデータの中身が見たい」「今すぐこの環境にデータを入れたい」といった困りごとに、データエンジニアでなくても対応できるようになったのです。

また、弊社にはテクノロジー・ディビジョンというシステム開発を専門に扱う部門があり、そこでもエンジニアリソースを割いてデータ活用の仕組みを構築していましたが、現在は順次「TROCCO®」に置き換えています。

今後の展望

データ活用でお客様の課題に向き合っていく

DataCurrentでは今後どのような展開をされていくのでしょうか。

佐藤:データ利活用の領域は変化が激しく、GDPRやCCPA、個人情報保護法改正も考慮したデータ活用は急務です。また、広告領域もアドフラウド・ブランドセーフティ・ビューアビリティ等の課題が顕在化しています。

これらの課題を解決するツールも多岐に渡りますので、様々なツールにスピーディに対応していき、お客様の課題に応じて最適化した安心・安全なデジタルマーケティングサービスを提供していきたいと考えています。

今後の展望において、「TROCCO®」に求める役割や期待することをお聞かせください。

佐藤:今ご提供いただいている機能で我々のビジネス要件を十分満たしています。敢えて挙げるとすれば、POSレジとの連携機能があるとオン・オフのデータ統合という点で嬉しいですね。レジメーカーさんごとにAPIの仕様が異なっているそうなので相当大変なことだとは思うのですが……。

今後も「TROCCO®」の活用を通して、データエンジニアの負担を減らしつつ、よりスピーディかつ効率的にお客様のデータ活用における課題を解決していければと考えています。

株式会社サイバー・コミュニケーションズ

https://www.cci.co.jp/

業種広告・情報サービス
設立1996年6月5日
従業員数934名 ※2021年7月1日時点
事業内容①パートナーセールス事業(メディアレップ、広告販売、ソリューション提供 等)、 ②アドプラットフォーム事業(自社商材を中心としたアドプラットフォームの開発・提供等)