手動プロセスを排除しエラー発生率が大幅減。中小・ベンチャー企業のDXを支援するアンドデジタルが取り組んだ自社の業務改善の裏側
アンドデジタル株式会社
- 課題
- スプレッドシートで数万件のデータを処理する必要があり、処理が遅くなったり止まったりした
- 手作業の工程が発生し、それが原因でデータに不整合がおこることも
- 多くのシステムの連携が必要だった
- 目的
- 作業時間を短くしたい
- データ統合時のエラーを減らしたい
- 処理の自動化を行い、データの更新頻度を上げたい
- 効果
- より多くのサービス提供・サービスの質向上を実現
- エラー発生が大幅減
- ダッシュボードを毎日更新できるようになり、経営者の意思決定が早くなる環境を作れた
中小・ベンチャー企業のデジタル活用と継続的な成長・ビジネス競争力の向上を支援するアンドデジタル株式会社では、データ活用に課題を抱える企業に対し、さまざまなソリューションを提供している。同社のデータインテグレーション事業では、かつてスプレッドシートを活用してデータ分析をしていたが、データが増えるにつれ、処理の停止や手動オペレーションで発生するエラーに頭を抱えていた。業務自動化とスピードアップのためにBigQueryを導入し、さまざまなデータを統合するようになったが、そのツールとして選ばれたのが「TROCCO®」だ。選んだ背景や効果、今後の展望についてお話を伺った。
導入のきっかけ
重いデータ処理と手作業によるミス軽減のため、まずはBigQueryを導入
堀川 工望様(以下、堀川):弊社では、お客様にサービスを提供する以前から、自社で広告のデータ管理を行い、社内でレポーティングしていました。
広告データと一口にいっても、さまざまな要素があります。性別・年代などの属性データ、広告媒体ごとの成果データ、売上・販売管理などのオンプレミスで管理しているデータから、営業活動などのSFAで管理しているデータも含めていました。これらのデータを取得し、データベースに取り込んで広告レポートを作っていました。
このレポートを作成するためにスプレッドシートでデータを管理していましたが、レコード数が万単位になるとデータを貼り付けるだけで処理が重くなったり固まったりすることが課題でした。
また、CSVデータをスプレッドシートに読み込む際にも、手作業ゆえのミスが発生していました。具体的には、データがずれたり数字を格納すべき所に文字列が入ってしまったりしていました。
手動の処理をできるだけ無くすことに加えて、更新の自動化やデータ処理の効率化を考えた時、まずはGoogleが提供するBigQueryを使おう、という考えに至りました。
導入・構築について
コネクタ・パイプラインの充実がTROCCO®導入の決め手
堀川:BigQueryにデータを統合するため、社内のメンバーにETL・ELTのよいツールがないかヒアリングをしていました。その中で、社外に常駐している弊社メンバーから、常駐先でTROCCO®を有効活用している、と聞いたのが最初のきっかけです。
堀川:他社のツールより非エンジニアにとってのハードルが高くない点だと思います。また、価格も予算に見合ったものでした。
堀川:海外のツールだと国産サービスに対応していないケースが多いのですが、Yahoo!広告やkintoneなどのコネクタが充実しており、弊社で使いたいコネクタ・パイプラインにすべて対応していたのが決め手でした。
会社に対しては、大きなデータの取り扱いにかかる苦労が解消されること、他社への支援をする際にSaaSサービスを積極的に利用できるようになることを説明し、導入の承認を得られました。
弊社の事業は労働集約的である側面も強く、業務の効率化ができればその分お客様に早く・安くサービスを提供することができます。地方、中小・ベンチャー企業をご支援している私達にとっては、多くのお客様へのサービス提供につながります。
堀川:対面で話せる距離ではなかったことや、導入のタイミングがコロナ禍だったこともあり、Slackでのやりとりがメインでした。うまくいかないときに解決策を教えていただいたり、コネクタで取得したいデータやAPIのパッケージ化などの要望に対応いただいたりするなど、ニーズを汲んでいただきながら対応していただきました。
導入後の効果
エラー発生やデータの不備が減る。複雑なDWHからすっきりデータを見せるデータマート機能が便利
堀川:これまではHubSpotのデータを取得する際に社内で開発をしなければならなかったのですが、開発そのものが不要になりました。工数の削減になっています。
エンジニア経験のあるスタッフは「こんなに簡単に処理できてしまうなんて、これまでのインフラを構築し、設定をし、コードを書いていた自分の仕事は何だったのだろう」と驚いていたくらいです。
また、データマート機能をとても重宝しています。
広告に関する情報基盤に必要なデータは、各広告媒体、Google Analytics、マーケティングオートメーション、SFA、基幹システムなど、多岐にわたります。それらをすべて集め、IDを付与して結合して、DWHを作ります。
それだけでは使いにくいので、目的に応じてデータを切り出し、データマートを作っています。
データの統合をするにはデータベースの加工をしなければならないケースが増えています。その際、ワークフローやデータマートはなくてはならない機能です。ほかのシステムでもできることですが、TROCCO®を使うことで一元管理ができたり、コストダウンやエンジニアの確保が不要になったりするメリットもあります。これは日ごろの運用をしていただくお客様にも勧めやすいですよ。
堀川:経営レベルの分析や意思決定・人事関連データを扱っているダッシュボードを作るケースがあります。社長が、誰かのフィルターを通さずに作られた、ビジネスに必要なデータを確認できることが大切です。
今月の売上がどうだったか、よかったとして何がどうよかったのか。そうした分析をすることで、素早く正確な意思決定をできるようになっています。
堀川:取り扱っているデータは、在籍年数・雇用形態・労働時間などです。たとえば新卒で入社した社員が1年目から5年目の間に担当する顧客数や売上が増えているかなどを確認できるようになっています。
人事関連ではカオナビというタレント管理ツールと、AKASHIという勤怠管理のツールと連携させています。
そこにはコネクタがないので、直接APIを叩くなど何かしらの手段を用いてBigQueryにデータをインポートし、その中でのデータ加工や整形でTROCCO®のデータマート機能を使っています。
APIがあればAPIを叩いたり、場合によっては手動でのインポートで対応したり、とにかくデータをすべて集めようと思っています。データを集約したあとに管理する部分を自動でできるのがTROCCO®の便利なところですね。
人事部門では、採用に関する情報や社員のコンディションに関するアンケートなどさまざまなデータがあり、こうしたデータも管理していきたいと考えています。
堀川:スプレッドシートで処理していたときと比べ、データのエラーが大幅に減りました。これだけ改善すると日頃サービス提供をおこなうコンサルタントやオペレーターにも余裕が生まれます。その時間を使って、お客様により高度なサービスをより早く提供できるようになりました。
たとえば、今まで50時間かけて作っていたサービスを30時間で作れるようになりました。その分開発にかけられる時間も増えていきます。
それまでできなかったことができるようになり、サービスの価値が上がれば単価も上がります。
また、弊社ではオプション機能であるAPI機能を契約しており、それを活用してスプレッドシートのデータをボタンのクリック一回で取り込めるようにしています。
データを貼り付けてボタンを押すとTROCCO®のワークフローが動き、データが反映されるような処理を行っています。
たとえば、朝5時のバッチ処理で使用する会議用ダッシュボードのデータを更新していますが、会議が9時に始まる直前にデータを更新するスタッフがいると、そのデータは反映されないままになってしまいます。
せっかく更新したデータが反映されていないということを防ぐため、スプレッドシートでボタンが押された時にデータが反映されるようなワークフローを構築しています。そのため、ダッシュボードを利用するメンバーには、データを更新した場合にはそのボタンをクリックするように伝えています。
更新された瞬間に自動的にワークフローが動くという処理は大変なので、オンデマンド的に処理しています。
私のイメージでは、ビジネスにとってデータ管理は日々の生活を支える「インフラ」です。データを管理したり適切に加工したりできるTROCCO®が、転送元・転送先コネクタ数の制限がないスタンダードプランで月額30万円(※2023年5月時点)なのは、費用対効果が高いと思います。
今後の展望
TROCCO®がないとビジネスができない
堀川:転送元・転送先コネクタ数が増えることを期待しています。バージョンのアップデートなど、引き続き開発いただければと思います。
また、現在だとTROCCO®を利用するにはSQLを書けることが前提にあるので、ChatGPTなどのSQLをアウトプットするのが得意なAIサービスを利用するのも発想としてはいいと思います。
たとえば、「こういうことがやりたい」という指示を出して生成されたSQLをもとに、データマートが作れるプラグインがあれば嬉しいですね。
堀川:自社内でデータの加工処理の開発をし、担当者が自分でインポートするデータ運用をしている企業であればぜひ紹介したいです。パイプライン管理で悩まれている方が多いのではないでしょうか。
また、リバースETLの処理として、TROCCO®の転送元をDWHに、転送先をサービスにすることもできることを伝えたいです。たとえばDWHからの加工データをHubSpotに渡すような処理も実現できます。とにかく早く正確にデータを見たい、という現場の人に向いたサービスです。
堀川:これがないと、ビジネスができないレベルの存在です。社内のデータを利用する時も、お客様の支援をする際に利用する時も、無くてはならない存在です。
実装されている機能やパフォーマンスは、「よいツールを作ろうとしている」誠実さが生み出したものではないでしょうか。私は日頃primeNumber社のエンジニアブログを読んでいるのですが、そうした気持ちを感じ取っています。そのような方々が構築したツールだと思うからこそ安心して使えています。
堀川:私たちもprimeNumber社と同じ志でお客様を支援していきたいと考えています。
数々のお客様を見ていると、SQLを駆使してダッシュボードを構築するにも、「やりたいこと」と「できること」のギャップがあると実感しています。また、データを活用する体制を整えても、ダッシュボードの運用における悩みや困りごとはどうしても出てくるものです。
私たちはそうした課題を解決することに強みを持っているので、TROCCO®の導入だけでなく、ビジネスに活かせるような運用の支援を重点的に行いたいと考えています。
アンドデジタル株式会社
業種 | IT業界 |
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設立 | 2015年3月 |
従業員数 | 51名(2021年7月現在) |
事業内容 | 有料職業紹介事業(許可番号 13-ユ-307169) 、労働者派遣事業(許可番号 派13-313909)、 中小・ベンチャー企業向けデジタル活用支援 |