通信を中心とした販売代理業やMVNO事業、EC/メディア事業、地域振興事業など幅広く事業を手掛けている株式会社ALL CONNECT。事業が成長に伴い急増するデータ量に対応しきれず、自社で開発したデータ分析基盤が成長の足枷となっていたという。データ分析基盤の構造をシンプルにし、また、運用負荷を下げながらもデータの利活用の幅を広げようという目的で導入されたのがsystemN™だ。取り組みの背景にあった課題や効果、データの利活用における今後の展望についてお話を伺った。

導入のきっかけ

TROCCO®導入時からの信頼関係から、データ分析基盤の課題について相談

オペレーション・コンサルティング本部 本部長兼執行役員 前田様(左)、オペレーション・コンサルティング本部 Webイノベーション部 プロダクト・アーキテクト課 河原様(右)
貴社事業概要と、ご担当の職務内容についてご紹介をお願いします。

前田様(以下、敬称略):株式会社オールコネクト、オペレーション・コンサルティング本部 本部長、執行役員の前田です。弊社は通信業界にて販売代理業、MVNO事業を主軸にしています。一般家庭向けのインターネット回線やモバイル回線などを自社ブランドにて販売・運営しています。

河原様(以下、敬称略):前田と同じく、オペレーション・コンサルティング本部 Webイノベーション部 プロダクト・アーキテクト課の河原と申します。ここ数年社内データ分析基盤を担当しており、その中でprimeNumber社とは2〜3年ご一緒させていただいています。

primeNumberとの協働のきっかけを教えてください。

前田:50を超える社内CRMからデータを集めて一元管理したいと考えている時、知人からTROCCO®を勧められて利用を始めたのがprimeNumber社とのお付き合いのきっかけです。4年ほど前にTROCCO®を導入し、データを一元管理できるようになり、顧客情報の管理システムやサービスの申し込み情報等のデータがそれぞれのシステム内に蓄積されていくようになりました。

今回、データエンジニアリングモジュールシステム「systemN™」を導入されることになった課題感をお聞かせください。

前田:弊社では販売チャネルとしてショップ等のリアルチャネルは持っておらず、その代わり、販売のためのWebサイトを70〜80個ほど運用しています。リスティング広告から販売サイトに訪問したお客様がフォームから申し込み内容を送信したあとは、コンタクトセンターでのサポートを経てお客様にご契約いただくというのがサービスご提供までの一連の流れとなっています。

そのため、お客様のWebサイトへの訪問経路やページの閲覧ログ、どのように契約に至ったかという情報のトラッキングが非常に大事になってきます。一般的なWeb上でのトラッキングだけでなく、コンタクトセンターでのやりとりに関するデータも含めて紐付ける必要があるため、これまでは社内で独自システムを構築して運用していました。

河原:この独自システムはもともと、データ分析基盤としてはごく小規模なところから始まって、扱っているサイト数も今ほど多くありませんでした。ところが事業が拡大するにつれて、商材も増え、データの利用用途やデータを利用するユーザーも増え、システムそのものが肥大化し続ける一方でした。

私は実際に運用保守をする中で、開発当時である8年前のデータ管理の仕組みやメンテナンス方法というのが、もう通じなくなってきたという実感がありました。修正やアップデートについても、何かひとつ修正したことで障害が起きないかと恐る恐る対応するということが度々ありました。

前田:この独自システムとサービスのWebサイトは常にお客様のページアクセスについて通信している状態となっています。そのためシステム負荷が増大するとWebサイト上のレスポンスが悪くなり、また、独自システムにエラーや障害が起きると運用しているページが全て落ちるという状況が度々発生していました。

この状況をなんとかしたいという思いがあり、TROCCO®の提供元であったprimeNumber社に相談したところ、まずはTROCCO®の「Web行動ログ収集SDK」を利用することをご提案いただきました。ただ、弊社としては、特定の経路で遷移してきたお客様にはキャンペーンバナーを表示したい、などの希望があり、個別の作り込みが必要になりそうだということが分りました。

そこで、カスタマイズ前提の「systemN™」導入事例のお話を伺ったところ、これであれば全ての商材に対応でき、弊社のやりたいことを実現できそうだということがわかり、導入を決めました。TROCCO®導入で既にデータ分析基盤の整備をしていたので、systemN™はそこにアドオンするだけという状態であったことも決め手のひとつになりました。

導入・構築について

primeNumberエンジニアの支援により、独自の要求に対し適切な構成で構築

systemN™の導入が決まった後、具体的にどのような内容が検討されたのか教えてください。

前田:弊社の場合、コールセンターは単なる受付ではありません。お客様に対して回線の利用用途や利用される立地などをヒアリングし、そこからさまざまなご提案をする営業的な役割も担っています。たとえば光回線をご希望でも、お住まいの地域や建物によっては案内や提供が出来かねる場合があります。そのような場合、当初お客様が希望されていた内容とは異なるものを代わりにご提案することがあり、結果としてオンライン上でのお客様の動きとは全く違うクロージングとなることがあります。そのため、オンライン、オフラインどちらのデータも吸い上げることが必要なのです。

河原:オンライン、オフライン、この両側のデータにどこか見落としがあると、データ分析も見当違いの結果が出てきてしまいます。また、弊社はさまざまな媒体に広告を出稿しているので、弊社を通じて回線を契約されるお客様の動きをトラッキングし、広告の費用対効果を可視化することも重要です。

前田:このような社内独自の事情をprimeNumberの方にご相談し、オフライン側のトラッキングデータはTROCCO®で吸い上げ、systemN™ではオンライン側のトラッキングを担ってもらうことにしました。データ分析基盤としては全部つながっている状態をつくることができました。

また、煩雑なAPIの仕様をデータ利用者に説明する必要があった独自システムを、systemN™ではなるべくシンプルなコンセプトに変えたいという希望の実現についてもご支援いただきました。結果、今はWebサイトにタグを貼るだけという非常にシンプルな構造になりました。

独自システムからsystemN™への移行は、どのようなスケジュールで行われたのでしょうか。

河原:初期構築には3〜4ヶ月かかり、この段階で移行したのは1つの商材データのみです。ただ、その際、将来的に構成を横展開しやすいように構築を行っておきました。primeNumberにご支援いただいたのはここまでで、その後は準備ができ次第、我々が作業を行っています。一気に移行するのが難しく、月に3〜4サイトずつ移行しています。

移行作業は部署の他のメンバーも行えるよう引き継ぎをしたので、移行のスピードは上がっています。先日私自らが作業をした際は、1商材の移行を半日程度で完了させられました。むしろ社内調整の方が時間がかかっていたかもしれません。おかげさまで、現在までにほとんどのサイトの移行が完了しています。

導入後の効果

データシステムに関する運用トラブルが激減、誰もがデータ分析を気軽に行う社内文化に

「systemN™」導入で、どのような成果が得られましたか。

河原:年に1回程度起こっていた、全サイトを巻き込むような運用トラブルというのが無くなりました。これは本当に大きな成果だと思います。ただ、システム運用をしていると「何もない」ということは当たり前だと思われることもあり、「成果」としては目立ちにくいと感じています。エンジニアにとっては、「成果」への理解を得ることが難しいということはよくある経験かもしれません。

あとはETL処理が非常に早くなったというのも大きな変化です。systemN™切り替え前は、退社時にスタートした処理が出勤時間にまだ終わっていなかったり、エラーが出て止まってしまったりしてしまうことが頻発していました。しかし、systemN™導入後の今は1回の処理が30分弱で終わるので、その後データ処理が必要な場合も負担無く行うことができるようになりました。

前田:運用がシンプルになって負荷が軽減されました。新しく人が入ってきた時にも独自システムのインターフェースやAPI仕様について説明するなどの手間が減ったりということも導入の効果としてだと実感しています。

河原:これまでは、独自システムの処理がうまくいかずやむなくエンジニアが手動でデータを抽出していたらそれだけで1日が終わってしまう、ということもありました。しかし、社内で分析ユーザーがデータを利用したい時、利用したいデータをすぐに利用できるような環境が整いました。TROCCO®導入でデータ分析基盤が整い、systemN™を導入して運用負荷やメンテナンス負荷が下がったことで、BIツールを使う人が増えたり、脱Excel化が加速したりしていると感じています。

今後の展望

社内の課題に応え続けるために、データ分析基盤整備は今後も不可欠

データ分析基盤の整備という観点で、今後の展望についてお聞かせください。

前田:弊社にとって、広告に関するデータ分析が非常に重要であるというお話をしましたが、今後はこの精度を上げていくことが求められています。また、データをもとに繁忙期の予測の精度を上げることで、コールセンターのオペレーター配置の最適化を図りたいというリクエストも出ています。このような要求に応えるには、やはりデータ分析基盤の整備が不可欠だと思っています。

弊社エンジニアによる支援を受けてのご感想をお聞かせください。

前田:primeNumber社はエンジニア集団だというイメージを持っています。コンサルティングをしてくださった方はもちろんですが、サポート窓口の方もエンジニアで、とにかく話が通じやすく、ヒアリングしていただいてから非常にスムーズにプロジェクトを進められました。

河原:対応してくださるprimeNumber社の皆さんが、「やりたいことをプロダクトに落とし込む」というスキルを持っている方であるように思います。だからこそ、出てくる方全員がエンジニアなのだなと感じます。エンジニアによるエンジニアのための会社、エンジニアのためのサービス、という印象を受けました。

今回の取り組みを振り返って、弊社のデータエンジニアリングソリューションサービスはどのような企業におすすめできるでしょうか。

河原:データ分析基盤の構築支援ツールは世の中に多くありますし、また、独自システムを構築している企業も多いと思いますが、使っているデータ分析基盤では物足りなくなってきた企業はprimeNumber社に相談するといいかもしれません。システムの導入支援だけでなく構築の支援まで受けられるので、エンジニアとしても心強いです。

前田:primeNumberのエンジニアの方は、なかなか出会えないくらい広い領域をカバーされていると思っています。「データが分散していてうまく活用できない」「データの利活用をどう進めていいのか分からない」という課題感をお持ちの企業は、まずは相談するところから始めるのが良いと思います。

systemN™・ソリューションサービスの利用を相談する

株式会社ALL CONNECT

https://all-connect.jp/

業種情報・通信
設立2005年4月21日
従業員数602人(グループ連結)(2023年2月現在)
事業内容販売代理業、MVNO事業、EC/メディア事業、地域振興事業