リモートワークの普及とドキュメント管理の重要性が高まる中、オールインワンドキュメントプラットフォームであるCodaは、多くのチームで採用されています。一方で、Codaのドキュメント、テーブル、プロジェクト管理データなどを他のSaaSや社内システムと連携して分析・可視化したいというニーズも増加しています。本記事では、クラウドETLサービス「TROCCO」のConnector Builderを利用し、ノーコードでCoda API連携・データ連携を実現する手順を具体的に解説します。
Codaの公式インテグレーションではなくETLツールの利用が適している場面
CodaはSlack、Google Drive、Figmaなどとの公式インテグレーションを提供していますが、これらは主にリアルタイム同期や基本的な連携に留まります。一方で、データを継続的に格納し整形する前提がある場合は、ETLツールが適しています。
- Codaドキュメント内のテーブルデータの定期的な分析・監視
- 複数ドキュメントのプロジェクト状況の統合ダッシュボード作成
- タスク管理データと他のプロジェクト管理ツールの連携
- ドキュメントの更新履歴やコラボレーション状況の分析
- ノーコードによる迅速な業務可視化
「TROCCO」はデータ転送だけでなく、データのフィルタリング、フォーマット変換、集計、マージなどの加工処理も一連のワークフローとして自動実行が可能です。
これにより、Codaのデータを最適な形に整えられ、さらに様々な部門向けの分析やレポート作成に活用するデータを作成・転送することができます。
この記事の執筆時点では「TROCCO」に公式のCodaコネクタはありませんが、Connector Builderを利用すれば、CodaのAPIをGUIで設定しながら手軽に自作コネクタを作成することができます。
Connector Builderとは?
ETLツールでは一般的に、2つの異なるインターフェース間の接続を可能にする実装のことを、コネクタと呼びます。
Connector Builderは、ユーザー自身で独自コネクタをノーコードで作成できるTROCCOの機能です。
- OAuth認証(認可コード・クライアントクレデンシャルズ)やAPIキーの設定に対応
- ページネーションや任意のクエリパラメータに対応
- 通常のコネクタと同様にスケジュールによる定期実行が可能
詳細は下記の記事をご参照ください。
Connector Builder(コネクタビルダー)とは
※ Connector BuilderはTROCCOのAdvancedプラン以上のプランでご利用いただける機能です。
【実践編】Coda API連携カスタムコネクタをConnector Builderで作成してみる
Coda APIをTROCCOのカスタムコネクタで実装する方法を紹介します。
STEP1|カスタムコネクタ実装の前に事前準備をする
カスタムコネクタの作成時にはサービス側のAPIドキュメントを参照が必要となるため、事前に準備しておきましょう。
CodaのAPIリファレンスは下記です。
https://coda.io/developers/apis/v1
Coda API認証準備(API Token)
Coda APIではAPIトークン認証を利用してAPIの認証を行います。そのため、カスタムコネクタを作成する前に、認証に必要なAPI Tokenの発行を行います。
- Codaにログインし
- Account settingsのAPI settingsに移動
- “Generate API token”をクリック
- Token名を入力し、”Generate API token”をクリックするとAPI Tokenが生成されます
- 生成されたトークンを安全に保管してください
※API Tokenは一度しか表示されないため、必ず安全に控えておいてください。

STEP2|カスタムコネクタの作成
TROCCOの「カスタムコネクタ」メニューから「新規作成」ボタンを押してカスタムコネクタを作成します。
STEP1: 基本設定
APIドキュメントを確認しながら、各種設定をコネクタ情報・認証情報の設定を行います。
Coda APIの認証方式はAPI Tokenを使用したBearer認証を採用していますので、認証情報の設定にて、認証種別「APIキー」を選択します。

- 基本情報
- 任意の名前をつけてください。(例:Coda Connector)
- コネクタ情報
- ベースURL: https://coda.io/apis
- 認証情報
- 認証種別: APIキー
- 認証ヘッダー名: Authorization
- 認証ヘッダースキーム: Bearer
STEP2: エンドポイントの追加
「エンドポイントを追加」ボタンを押して必要なAPIエンドポイントを追加します。

今回は、指定したドキュメントのテーブル一覧とテーブル内の行データを取得できるエンドポイントを追加します。
エンドポイント1: テーブル一覧の取得
- 名前: Tables
- パス: /v1/docs/{docId}/tables
- パスパラメータ:docId
- 例:AbCDeFGH
- docIdは Coda ドキュメントのURLから取得できます。(形式:https://coda.io/d/<ドキュメント名>_<docId>)
- HTTPメソッド: GET
- HTTPヘッダ: 設定しない
- JSONPathルート: $.items[*]
- レスポンスを確認してデータの行が格納されている配列形式のキー名をJSONPath記法で記述してください。
- ページング設定: 無効
- 今回はページング設定は行いませんが、ページベース、オフセットベース、カーソルベースのページングの設定が行えます。
- ステータスコード設定: デフォルト設定のまま

エンドポイント2: テーブル行データの取得
- 名前: Table Rows
- パス: /v1/docs/{docId}/tables/{tableIdOrName}/rows
- パスパラメータ:
- docId
- 例:AbCDeFGH
- docIdは Coda ドキュメントのURLから取得できます。(形式:https://coda.io/d/<ドキュメント名>_<docId>)
- tableIdOrName
- 例:Agenda(Codaドキュメント内に存在するテーブル名)
- テーブルのIDまたは名前を指定します。テーブル名はユーザーによって変更されやすいため、使用は推奨されていません。そのため、今回はテーブル一覧エンドポイントを利用してテーブルIDを取得し利用します。
テーブル名を使用する場合は、必ずURIエンコードしてください。
- docId
- HTTPメソッド: GET
- HTTPヘッダ: 設定しない
- JSONPathルート: $.items[*]
- レスポンスを確認してデータの行が格納されている配列形式のキー名をJSONPath記法で記述してください。
- ページング設定: 無効
- 今回はページング設定は行いませんが、ページベース、オフセットベース、カーソルベースのページングの設定が行えます。
- データが多い場合は、カーソルベースを選択し limit と pageToken を使って続きの行を取得できるように設定してください。
- ステータスコード設定: デフォルト設定のまま

ここまで設定し、エンドポイントを保存し、さらにカスタムコネクタを保存すればカスタムコネクタの作成は完了です。
STEP3|Coda APIの接続設定の作成
「接続情報」メニューをクリックし、接続情報一覧画面の右上の「新規接続情報作成」ボタンを押して接続情報を作成します。
カスタムコネクタは「その他」のタブの中にあります。

- 接続設定を作成したいカスタムコネクタを選択します。

- 「接続情報」画面で以下の項目を入力します
- 名前: 接続設定の名前
- リソースグループ: 接続を共有するグループがあれば選択します。
- APIキー: 事前準備で発行したAPI Tokenの値を入力します。
- 「保存」を押して接続情報を保存します。

これで接続設定の作成は完了です。
STEP4|データ取得のための転送設定の作成
それでは早速、先ほど作ったカスタムコネクタを利用して、Codaのテーブルデータを取得してみます。
「データ転送」→ 「転送設定」をクリックし、「新規転送設定作成」ボタンを押します。
STEP0: 転送元・転送先の選択
転送元と転送先を選択する画面が表示されますので、転送元をクリック、カスタムコネクタを選択します。
カスタムコネクタは「その他」のタブの中にあります。
今回は転送先にGoogle Spreadsheetsを指定します。
STEP1: 転送元・転送先の設定
先ほど作ったCodaの「カスタムコネクタ」、「カスタムコネクタ接続設定」、「取得対象」を選択します。
転送元の設定:
- カスタムコネクタ: 作成したCodaのカスタムコネクタ
- 接続設定: 作成したCoda接続設定
- 取得対象: Table – Rows
- パラメータ設定:
- docId: 例)AbCDeFGH(CodaドキュメントのID)
- tableIdOrName: 例)table-name(テーブル名)

ドキュメントIDの取得方法:
ドキュメントIDはCodaのURLから取得可能です(例:https://coda.io/d/<ドキュメント名>_<docId>)
テーブルIDの取得方法:
- まず、Tablesエンドポイントを使用してテーブル一覧を取得します
- レスポンスから必要なテーブルのidを確認します
転送先の設定:
転送先の設定は次のドキュメントを参照して設定してください。
STEP2: スキーママッピング
「次のSTEPへ」ボタンを押すと、スキーマのカラムマッピングが自動的に実行されます。
カスタムコネクタが正しく作成されていれば、取得予定のCodaテーブルデータサンプルがプレビューに表示されます。

カラムの型推論とマッピング設定は自動的に行われますが、転送先のカラム名やデータ型はGUI上で任意に編集できます。
注意事項:
- Codaのテーブル構造によっては、ネストされたJSONデータが含まれる場合があります
- valuesフィールドは各列のデータを含むオブジェクトとして返されます
- 必要に応じてJSONカラムを展開して個別のカラムとしてマッピングできます

STEP3: 設定の確認
設定内容に問題なければ「保存して適用」を押します。
これで転送設定の作成は完了です。
STEP5|転送ジョブの実行
それでは、作成した転送設定を利用し実際にデータを転送してみましょう。
作成した転送設定の画面の右上にある「実行」ボタンを押します。

ジョブの実行時に指定できる項目がありますが、今回は特に変更せず、そのまま実行をクリックしてください。
ジョブの実行ログ画面に切り替わり転送が開始されます。ジョブが正常終了するとステータスが「SUCCESS」に変更になります。

GoogleスプレッドシートにCodaのテーブルデータが転送できました!

いかがでしょうか?
TROCCOのConnector Builderを利用すると、最小限の設定でAPI連携ができるカスタムコネクタの作成やデータの転送までできることがおわかりいただけたかと思います。
Coda API連携を活用したConnector Builderのユースケース
- プロジェクト進捗管理: Codaで管理しているタスクやプロジェクトデータの定期的な分析とレポート作成
- チームコラボレーション分析: ドキュメントの更新頻度や共同編集状況の可視化
- データ統合ダッシュボード: 複数のCodaドキュメントからデータを集約し、統合ビューを作成
- KPI監視: Codaテーブルに記録された各種指標の継続的なモニタリング
- レポート自動化: 週次・月次でのプロジェクト状況レポートの自動生成
- SaaS横断分析: Notion、Asana、Jiraなどの他のプロジェクト管理ツールとの統合分析
- データバックアップ: Codaドキュメントの定期的なバックアップと履歴管理
よくある質問(FAQ)
Q. ノーコードでカスタムコネクタを作成・運用できますか?
A. GUIで直感的にコネクタを作成でき、さらにAPIドキュメントをもとに設定に必要な情報を自動で読み取り、最適な内容を提案するAIサポート機能を搭載しています。コネクタ作成時にはAPIやAccess Token理解などの基礎知識が必要となりますので、以下の記事もご参照ください。
非エンジニアでもわかる!Connector Builderを使うための3つのポイント
Q. Codaの複数ドキュメントのデータを一度に取得できますか?
A. はい、複数ドキュメントのデータを一括で取得することは可能です。まず、Docsエンドポイントを使ってドキュメント一覧を取得し、その後、各ドキュメントごとにテーブルデータを取得することで対応できます。TROCCOのワークフロー機能を活用すれば、この一連の処理を自動化することも可能です。
Q. Coda APIの制限はありますか?
A. Coda APIにはRate Limit(API呼び出し制限)があります。
詳細はCodaのAPI公式ドキュメントをご確認ください。
まとめ
Connector Builderは、TROCCOの新機能として、コード不要のGUIでコネクタを素早く作成し、DWH・クラウドアプリ・Googleスプレッドシートとの連携を設定ベースで構築できます。
作成したコネクタは再利用でき、専門的なAPI実装を前提とせず現場主導でデータ連携や運用自動化を進められるため、設計〜保守の負担を大幅に削減します。
公式コネクタ同等の性能・セキュリティに加え、ワークフロー/通知も利用可能で、内製に比べ低コストで導入できます。
無料トライアルで、その使いやすさをお試しください。※Connector Builderは、TROCCOのAdvancedプラン以上でご利用いただけます。
※本機能は2025年7月1日に正式リリースされました。技術仕様についてはお問い合わせください。
