現代のビジネス環境において、データは非常に重要なものとして扱われています。I-Survey によると、18%※の企業が意思決定のために20以上のデータソースを利用しており、また、今後この数は増えていくと予想されています。(※出典: https://bi-survey.com/data-sources)
しかし、データを有効に活用するためには、適切な「データソース」の選定が大切です。データソースとは、データ活用で使用するデータの取得元の事を指します。この記事では、データソースとは何かを具体的に解説します。
この記事の内容を参考に、データのより効率的な活用方法についての理解が深まれば幸いです。
データソースとは
データソースとは、一言で表すと「データの提供」です。データが初めて作成された場所やデジタル化された場所を指します。データソースにはさまざまな種類がありますが、基本的には情報を保存・取得するためのもので、システムが必要とするデータを保管しています。
たとえば、以下のようなものがデータソースの例です。
- データベース
- XMLファイル
- CSVファイル
- Excelファイル
データソースは、システムが読み取ることができるなら、フォーマットは決められていません。
データは内部と外部両方から集積することができます。内部(社内、組織内)から収集したデータを「一次データ」、外部から収集したデータを「二次データ」と呼びます。
データソースの具体例として、ファッションブランドがオンラインショップを運営しているとしましょう。オンラインショップの運営には、Webシステム上で商品の在庫状況を把握する必要があります。この際に、商品の在庫データが格納されたデータベースがデータソースです。
他の例として、物理デバイスからのリアルタイム測定データや、スクレイピングされたWebデータ、インターネット上の膨大な静的データやストリーミングデータサービスもデータソースに含まれます。
データソースの必要性
データソースが必要とされる理由は大きく分けて2点あります。
まず、データソースがあればデータへのアクセスが簡単になるためです。大量のデータから特定の情報を見つける作業は骨が折れますが、データソースがあればスムーズに必要な情報を見つけられます。
また、データの接続情報が一貫して保存されるためです。システムの移行や変更があってもデータ利用が問題なく行えます。
データソースの動作メカニズム
FTP、HTTP、APIなどのプロトコルやインターフェースを用いてデータソースからデータを転送します。以下は、代表的なプロトコル、インターフェースです。
FTP(ファイル転送プロトコル) | FTPは、ファイルを転送するためのプロトコルです。具体的なサービスとして、Adobe Analyticsなどでは、FTPを使ってデータをサーバーにアップロードし、それを分析に利用しています。 |
API(アプリケーションプログラミングインターフェース) | APIは、異なるソフトウェアがデータをやり取りするためのインターフェースです。外部サービスの認証情報を使って別のサービスにログインする場合、APIが使われます。 |
HTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル) | HTTPはWeb上でデータを転送するためのプロトコルで、Webページの表示やデータの送受信に広く使われています。 |
SFTP(SSHファイル転送プロトコル) | セキュアなFTPであり、ユーザー名とパスワードを暗号化して安全にデータを転送します。 |
FTPS(FTPセキュア) | FTPにTLS(トランスポート層セキュリティ)を追加したプロトコルで、データ転送のセキュリティを強化します。 |
SOAP(シンプルオブジェクトアクセスプロトコル) | ネットワーク上で情報を交換するためのプロトコルで、特にWebサービスで使われます。 |
REST(表現状態転移) | RESTはWebサービスで広く使われるアーキテクチャスタイルで、シンプルで柔軟なデータ転送が可能です。 |
WebDAV(Web分散オーサリングおよびバージョニング) | HTTPを拡張して、Web上でファイルを管理・共有するためのプロトコルです。 |
上記のほかにも、多様な技術を通じてデータ転送を行います。
データソースの種類
データソースは、大別してマシンデータソースとファイルデータソースに分けられます。ここでは、データソースの種類について解説します。
マシンデータソース
マシンデータソースは、特定のマシン(コンピュータ)に依存しているデータソースです。ユーザーが指定する名前が付与され、データを取り込むシステム上に存在します。
マシンデータソースはローカル依存性があり、環境変数やデータベース構成オプション、あるいはそのマシン内に保存された接続情報に依存するため、特定のマシン上でのみ利用できます。それゆえに、他のシステムやユーザーと共有がしづらいという課題があります。
また、マシンデータソースには、データに接続するために必要なすべての情報が含まれている点です。たとえば、Oracleデータソースでは、サーバーの場所、使用するドライバー、システムID、ユーザーID、認証情報などが含まれます。
このように、マシンデータソースは、特定のマシンで動作するアプリケーションがデータにアクセスするために使われます。この場合、ユーザーはデータソース名(DSN)を使って接続を呼び出し、データを照会します。
ファイルデータソース
ファイルデータソースは、単一のコンピュータファイルにすべての接続情報が含まれており、他のコンピュータと簡単に共有できるデータソースです。
ファイルデータソースは、.dsn拡張子を持つファイルなどに保存されているため、他のユーザーやシステムと共有できます。共有クラウド基盤にファイルデータソースを保管すれば、複数のユーザーやシステムが同時にそのデータソースを利用できます。
そして、一般的なコンピュータファイルと同様に編集やコピーが可能なので、データソースの更新や複製がしやすい点もファイルデータソースの特徴です。
たとえばCSVファイルなどの形式で保存されたファイルデータソースは、多様な端末やシステム間で簡単に転送・アクセスできます。
データソースの活用における課題
企業がビジネスで頭角を表すにはデータソースの適切な活用が不可欠ですが、データソースの活用には下記のような課題があります。
データの一貫性の欠如
データの一貫性の欠如は、異なるデータソースから収集されたデータが互いに矛盾している場合に発生します。これは、データの形式や定義が異なるために起こることが多く、データの統合や分析を困難にします。たとえば、データソース内で、同じ数値を含むテーブルを複数用いると、データの一貫性がなくなり煩雑になってしまいます。
データソース内のデータの一貫性を保てるよう、定期的にチェックを行いましょう。
人的エラー
データの入力や処理において、人的エラーが発生することがあります。人的エラーは、データの正確性や完全性に影響を与えるため、データの品質を低下させます。
たとえば、データエントリーの際に誤った数値を入力する、または重要なデータフィールドを見落とすといったことが考えられます。手動でデータソースの管理をしている場合、データ転送や編集の作業で人的エラーが発生しやすいです。このような作業はETLツールを用いることによって自動化ができ、エラーの発生率を下げられます。
レガシーシステムによるトラブル
古いシステムや技術(レガシーシステム)を使用している場合、データの管理や活用においてさまざまなトラブルが発生することがあります。
レガシーシステムは、現代の技術やソフトウェアと互換性がないことが多く、データの移行や統合のハードルが上がります。また、セキュリティの脆弱性を抱えていることがあり、データの保護が難しくなります。さらに、これらのシステムはサポートやメンテナンスが困難であるため、トラブルが発生した際の対応が遅れることがあります。この場合、データの活用が制限され、業務効率が低下してしまうでしょう。
組織内にレガシーシステムが存在している場合は、まず互換性やセキュリティ、運用負担などの問題点を洗い出し、それぞれが業務にどのような影響を及ぼしているかを整理することが大切です。そして可能であれば、システムの更新計画を立て、クラウド移行や段階的なリプレースを検討しましょう。
近年はデータソースの統合が進められている
近年、企業や組織は多様なデータソースを統合することに注力しています。これは、データの断片化を防ぎ、一元化されたデータを活用することで、より正確で包括的な分析を可能にするためです。
データソースの一種であるデータベースはオンプレミスとクラウドの2つの形態があります。その一方で、最近ではオンプレミスとクラウド両方を併せ持つという、データベースの統合が行われている場合もあります。
この合わせ技を用いれば、オンプレミスの持つシステム負荷がかかりづらい特徴とクラウドのリアルタイム性や柔軟性を使い分けて活用できます。また、どちらのデータも参照したデータクレンジングを行えるため、業務効率化が図れます。
データ統合ならTROCCOがおすすめ
データソースの活用にはデータ統合(データインテグレーション)が必要となる場面もありますが、データ統合にはTROCCOを用いることをおすすめします。
TROCCOのETL機能では、ノーコードでデータの抽出、変換、ロードができるため、技術的なスキルが限られている人でも扱えます。基本的なETL機能はノーコードで利用できますが、複雑なデータ処理をしたい場合は、プログラミング言語を使ってカスタマイズしたり、特定のデータを扱いたい際にはデータマート(ELT)機を使ったりできるなど、さまざまなニーズに対応できます。
また、作成した転送設定をジョブとして登録すれば定期的な実行ができます。業務の自動化に貢献するでしょう。
ツールを利用する際に分からないことがあれば、日本語のドキュメントを活用することもできます。
まとめ
今回は、データソースの特徴や必要性、仕組み、課題などについて説明しました。
データソースを活用するために、近年ではデータの統合は重要ですが、データの統合を手作業で行うと多くの工数がかかり、効率的とは言えません。
そこで、データ統合を全面的にサポートするのがTROCCOです。TROCCOを活用することで、多くの作業を自動化でき、データドリブン経営を効率的に実現します。
非エンジニアにも使いやすいETL機能だけでなく、エンジニアチームによるデータマネジメントもトータルでご支援可能です。また、別途ツールを導入することなく、大規模なデータ基盤でも高いレベルのデータマネジメントを実現できます。
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