Zapierは、数千ものWebアプリケーションやサービスを接続し、自動化されたワークフローである「Zap」を作成するためのプラットフォームです。 各アプリケーションが提供するAPI(Application Programming Interface)を利用することで広範な接続性が実現されており、コードを書くことなく複雑な自動化を構築できます。

本記事では、Zapier Workflow APIの概要やできることを紹介し、具体的な活用例を解説します。 APIによってZapierの活用価値を最大化し、ビジネスの自動化と効率性をより一層向上させましょう。

Zapierとは

Zapier(ザピアー)は、多種多様なWebサービスやアプリケーション間の連携をノーコードで実現する、自動化ツールです。 GmailやSlack、Googleスプレッドシートなど、5000種類以上のサービスと接続し、日常的に発生する定型作業を自動化できます。プログラミング作業なしで誰でも簡単に自動化ワークフロー(Zap)を構築でき、業務効率を大幅に向上させられます。

Zapierの最大の魅力は、コードを書かずに複雑な業務自動化アプリを作成できる点です。直感的なインターフェースで、異なるベンダーのWebサービスを自由に連携させ、情報の一元化やタスクの自動実行を実現します。

また、ユーザーの利用環境に合わせて柔軟にカスタマイズでき、既存サービスをそのまま活かせる点も強みです。 これにより、新たなサービスの導入コストを抑えつつ、定型業務の効率化を実現できます。

Zapier APIとは

Zapierが提供する唯一のAPIである「Zapier Workflow API」についてご紹介します。

Zapier Workflow APIとは

Zapier Workflow APIは、Zapierプラットフォーム自身の機能を外部アプリケーションからプログラム的に操作・連携するためのAPIです。

Zapier Workflow APIの主な目的は、開発者が自身のアプリケーション内にZapierの自動化機能(Powered by Zapier)を組み込んだり、特定のZapierアカウントやZapを外部から管理したりすることにあります。従来の「Zapierの管理画面へリンクで遷移させる方式」とは異なり、ユーザーは画面から離れずにトリガーやアクションを設定・実行できます。

Zapier Workflow APIでできること

Zapier Workflow APIで実行できる主な操作は以下の通りです。

  • Zapierで利用可能なアプリの一覧表示
  • Zapierエディターの埋め込み
  • 独自ワークフローの構築
  • Zapテンプレートの取得
  • Zapの事前入力・入力フィールドの定義

たとえば、これらの機能を活用することで、自社のSaaS製品のUI内にZapierの自動化機能を直接組み込むことが可能です。これにより、ユーザーが自社製品から離れることなく、Zapierを通じて他の数千ものアプリケーションと連携を設定・管理できるようになります。ユーザーは使い慣れたアプリケーション内で自動化を設定できるため、よりシームレスで直感的なユーザー体験を提供できます。

Zapier Workflow APIについての詳細はこちら

Zapier Workflow APIを利用する際の注意点

Zapier Workflow APIは非常に便利なツールですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。ここでは、主な注意点を4つご説明します。

APIを利用できるのはZapier Partner Tierのみである

Zapier Workflow APIを利用できるのは、Zapier Developer Platformで「パブリック統合」(公開アプリ)をリリース済みの開発者(=Zapier Partner Tier)のみです。 一般ユーザーや「Private App」しか持たない開発者アカウントでは呼び出せません。

この制限により、ZapierはAPI経由での自動化作成・運用権限を信頼できるユーザーに限定し、セキュリティとサポート品質を確保しています。

レートリミットに注意する

Zapier Workflow APIには、レートリミットが設けられています。これは、APIへのアクセスが集中しすぎないようにするための仕組みであり、この制限を超えると一時的にAPIの利用ができなくなります。

具体的には、以下の2つのいずれかの条件に達するとレートリミットが適用されます。

  • 同じIPアドレスからのリクエスト上限:1分間に60回
  • パートナー全体でのリクエスト上限:1分間に150回

もしレートリミットに達してしまった場合、APIからは「429 Too Many Requests」のエラーレスポンスが返されます。このエラーを受け取った場合、そこから60秒間はAPIへのリクエストを控える必要があります。このクールダウン期間が過ぎると、再度リクエストが可能になります。

APIの利用にあたっては、レートリミットに達しないよう、バッチ処理を適用したり、キャッシュを活用したりしましょう。また、レートリミットに達した際にも影響を最小限に抑えられるようにリトライ処理を実装するなど、適切なエラーハンドリングを行うことが重要です。

適切な認証方式を選択する

Zapier Workflow APIを呼び出すには、Zapier Partner Tierで発行される認証情報を使い、適切な認証方式でリクエストを署名する必要があります。

選択できる認証方式は、OAuth 2.0かServer-to-Server Tokenのどちらかです。OAuth 2.0はユーザー主体のZap作成やEmbed UIに利用され、Server-to-Server Tokenはバックエンドで大量Zapを自動発行・監視するケースで利用されます。

TROCCOを用いたデータ連携

Zapier Workflow APIは非常に強力ですが、全てのデータ連携のニーズに応えられるわけではありません。特に大量データの処理やDWHへの連携においては、専門的なツールが有効です。ここでは、そのような課題を解決するクラウドETLツール「TROCCO」をご紹介します。

Zapierが提供するAPIはZapier Workflow APIのみですが、他のサービスでは外部システムとのデータ連携を目的に提供されているAPIも存在します。一方、一般的なAPI連携では、それらのAPIを用いてサービス間を連携する場合、APIに関する専門的な知識やプログラミングスキルが必要となるケースが多いです。 また、APIエラーの原因特定やログ分析の際にも、専門知識が求められます。

一方、クラウドETLツールである「TROCCO」を利用すれば、APIに関する専門的な知識や高度なプログラミングスキルがなくても、GUI上の操作のみでデータ連携を設定可能です。 また、エラー通知や詳細なログ管理の機能を備えており、エラーの原因特定やログ分析も容易に行えます。

まとめ

Zapier Workflow APIを利用することで、自社のアプリケーション内にZapierの自動化機能を組み込んだり、特定のZapierアカウントやZapを外部から管理したりできます。自社製品に自動化機能を組み込みたいと考えている方や、社内の複数のZapierアカウントやワークフローを一元管理したいと考えている方は、APIの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、大量データを処理したい場合やDWH(データウェアハウス)へシームレスに連携したい場合は、ETLツールの活用も有効です。ETLツールは、データの抽出・加工・DWHの書き出しを担うため、煩雑なデータの整形作業を自動化できます。また、基本的な操作はGUI上で完結するため、API連携よりも少ないコーディングでデータ連携を実装できます。

TROCCO ライター

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