在庫管理業務の効率化と可視化を支援する在庫管理クラウド「zaico」の開発・提供を行う株式会社ZAICO。非連続的な事業成長を見据え、カスタマーサクセス(CS)領域におけるデータ活用の強化に取り組む同社では、データの専門人材が社内に不在であったこと、複数のシステムにデータが分散していたことに課題を抱えていた。

こうした課題を乗り越えるべく同社では、「TROCCO」とprimeNumberの支援サービス「primeSupport」を採用。社内体制を変えずにデータパイプラインやデータマート、ダッシュボードの構築に取り組んだ。本記事では、プロジェクト推進の背景にあった課題、サービス選定のポイント、CS業務への貢献、そして今後の展望について、マーケティング&PR部で部長を務める川島 沙絵様、カスタマーサクセスチームでチームリーダーを務める加藤 由浩様、そして本案件のカスタマーサクセスを担当した深澤 幸祐とともに、これまでの取り組みを振り返りました。

課題・問題

専門人材ゼロからの挑戦。非連続的な成長を目指すため、分散したデータの統合を目指す

株式会社ZAICO マーケティング&PR部 部長 川島 沙絵様

深澤:ZAICO社では、在庫管理が求められるさまざまな現場を中心に、業種・業界問わず累計18万社への導入実績を誇るクラウドサービス「zaico」を開発、運営されています。改めて、データ活用における基本方針と、その推進体制についてお聞かせいただけますか。

川島 沙絵様(以下、敬称略):「データによる意思決定を強化していこう」という方針のもと、データ活用の旗振り役として今回のプロジェクトをリードする立場を担っています。一方、私の主業務はマーケティングとPRであり、新規のお客さまの獲得とサービス認知拡大が本来のミッションです。

現時点では弊社にデータ活用を専門とする部署や専任のアナリスト、エンジニアは社内に在籍していないため、外部パートナーとの連携によるデータ基盤と運用体制の構築を進めています。

加藤 由浩様(以下、敬称略):私はカスタマーサクセス(CS)チームのリーダーを務めており、「zaico」導入後のお客さまの定着支援を主に担当しています。今回のデータ活用プロジェクトでは、経営レベルの課題として挙げられていた「解約率の改善」に取り組みました。

解約率はSaaSビジネスにおいて重要な指標です。そのため、解約リスクが高いお客さまを早期に察知すること、そのためにお客さまの状況や日々のCS活動を可視化し、必要なデータや指標をとりまとめるダッシュボードが必要でした。

深澤:SaaSビジネスにおいて、データの活用は避けては通れない経営課題そのものです。しかし、いざ実行に移すとなると足踏みしてしまうケースは珍しくありません。今回のデータ活用に取り組みは、どのようなきっかけからスタートしたのでしょうか。

川島:2024年11月に資金調達を実施したことが大きな転機です。これにより、非連続的な成長を目指すステージに入り、「意思決定の質とスピードをいかに上げるか」という点が重要になりました。従来はどちらかといえば小さく穏やかに事業を続けてきたのですが、急成長を見据えた経営のあり方にシフトしていく中で、これまでのデータが分散している環境は明らかに障壁となっていたのです。

深澤:本プロジェクト開始前は、具体的にどのような課題や限界を感じていたのでしょうか。

川島:以前の弊社の環境では、複数のシステムにデータがばらばらな状態で管理されていました。お客さまとのやり取りのデータはSFA上に、サービス利用状況のデータは弊社のデータベース上にと、いわゆる“サイロ化”している状態だったのです。そのため、データを分析したくてもまずデータを取りまとめ、なんとか分析できる形に加工するまでに手間がかかっていました。場合によっては時間がかかりすぎてしまい、分析そのものを諦めることもあるのが実態でした。

もうひとつの課題が、社内にデータエンジニアやデータアナリストといったデータに強い専門人材がおらず、データ基盤を構築するノウハウがほとんどなかったことです。そのため、社内でデータ基盤を構築するよりも、外部の専門家に頼ったほうがスピード感が得られ、同時にSaaS領域の知見も得られるのではと判断しました。

なぜ「TROCCO」と「primeSupport」を選んだのか

データ基盤の実装支援とSaaS知見の両輪が決め手に。伴走型の支援でリソース不足を解決

株式会社ZAICO カスタマーサクセスチーム チームリーダー 加藤 由浩様

深澤:これまで欲しいデータを取得するまでに手間や時間がかかっていたとのことでした。課題解決に取り組むにあたって、どのように進められたのでしょうか。

川島:顧客の行動を可視化するため、他社ツールのベンダーさんと数回ミーティングを重ねましたが、扱えるデータの制限や柔軟性の面で私たちの要望を実現するのは難しいと判明しました。MySQLやHubSpotなど、必要なデータが格納されている場所は把握しており、それらのデータをつなぎ合わせれば良さそうだというイメージまではできていたのです。

こうしたタイミングで、イベントで出会ったのが「TROCCO」です。豊富なデータソースからデータを集約してパイプラインを構築できること、そしてサポート体制が充実していることに魅力を感じて問い合わせました。

深澤:弊社では新たにデータ収集にフォーカスし、お客さまの課題に合わせた「TROCCO」を使ったデータパイプラインの構築を支援する「primeSupport」の提供を開始しました。改めて今回の取り組みで「primeSupport」をご契約いただいた理由を教えてください。

川島:「TROCCO」を導入するにあたっては、サービスの導入サポートの有無だけでなく、データパイプライン構築を支援いただけることは、とても大きな要素でした。当時、私も含め、関わる全員が別業務を持ちながらデータ基盤を構築するプロジェクトに取り組む必要がありました。その状況で「primeSupport」による伴走型の支援をご提案いただき、「これならうまくいくかもしれない」とイメージが湧いたのです。データ基盤における過去の支援実績に加え、そもそも「TROCCO」自体がSaaSであることからSaaSビジネスに対する知見が豊富であると社内で評価されました。その結果、社内から信頼が得られたことで「TROCCO」と「primeSupport」の契約を決定しています。

導入までのスケジュール・過程

安心感から始まったプロジェクト。パイプラインやデータマートを構築し、実運用まで支援

株式会社primeNumber カスタマーサクセス本部/COO室 primeSupport 深澤 幸祐

深澤:今回はスピード感を持ってプロジェクトを進めさせていただきました。キックオフ以降の取り組みに対する感想をお聞かせください。

加藤:初回で感じたのは「すごそうな人たちが来たな」という安心感です。実績や知見が豊富で、弊社と同じようなBtoB SaaSの支援経験もあると聞いていたので、「アドバイスに沿っていけば、うまくいくかもしれない」という感触を得ました。特に我々のような成長途中のフェーズでも寄り添って進めてくれるスタンスが伝わってきて、初回から信頼感は強かったですね。

深澤:初期のフェーズでは「zaico」サービス構造とカスタマーサクセスへの理解を深めたうえで、どのような分析観点が価値を生むかを定義することに注力しました。およそ1ヶ月ほど、週2回のペースでミーティングを行い、データの傾向を見ながら可視化する指標をすり合わせ、密に対話を重ねて進めていきましたよね。

川島:キックオフの頃はそもそも入社してから日が浅く、業界用語も社内用語も学んでいる最中でした。そのため、「なんとなく意味は分かるけど、正しい理解か自信がない」と感じることが多く、社内で確認しながら参加していた記憶があります。しかし次第に、たとえば平均利用期間や特定指標の割合などの具体的なアウトプットが示され始めると、一気に理解が進んでいきました。

深澤:ダッシュボードの初期設計は私が担当し、もう一人の担当者がユーザー視点でレビューするというサポート体制を取っていました。普段からお客さまのデータ活用を支援している経験をもとに、実運用での気づきを随時反映しながら使いやすさと実用性を両立できるように進めていきました。

加藤:ダッシュボードの改善要望にもスピーディに対応いただき、直感的に使えるレイアウトにしていただきました。またダッシュボードの支援だけでなく、CS向けの勉強会を開催いただき、ダッシュボードの操作手順をレクチャーいただきました。メンバーが実際にダッシュボードに触れ、学ぶことができる貴重な機会だったと思います。

深澤:「zaico」はトライアルやサービスプランなど契約形態が多様なサービスであり、扱うデータの粒度や対象を精緻に設定する必要がありました。CTOやエンジニアの皆さまのご協力により、二人三脚で進めることができました。Slackでのやりとりも含め、とても密度が高いプロジェクトになったと感じています。

導入後の効果

解約予兆への早期対応が可能に。データ活用が社内文化に浸透し、意思決定にも貢献

深澤:初回のキックオフ実施から7ヶ月が経った現在、「TROCCO」の導入によって業務にどのような変化がありましたか。

加藤:パイプラインとダッシュボードの構築で、解約リスクが高いと判断される前の段階でお客さまにアプローチができるようになりました。これまでは解約リスクが顕在化してからでないと動けなかったのですが、今ではより早期に行動できる体制が整いつつあります。その結果、解約を防げたケースや、逆にアップセルにつながったケースも出てきており、手応えは感じています。

また、お客さまの行動履歴がダッシュボードで可視化され、「特定のページをよく閲覧しているから、このようなニーズがあるのでは」といった仮説をもとに提案できるようになりました。以前は見えなかった情報が見えるようになったことが、サポートの内容をより個別最適化することにつながっています。

川島:データに基づいた会話が社内で自然に生まれるようになり、「次に注目すべき指標は何か」「他部署でも応用できるか」といった、経営陣まで巻き込むような議論も活発化しました。特定部署にとどまらず、全社的にデータを見る意識が高まったのは大きな変化です。

深澤:私が今回のプロジェクトで感じたのは、ZAICOの皆さんが「より多くのユーザーに『zaico』に使ってもらいたい」という思いを持たれており、それが回を重ねるごとに強く伝わってきたことです。UI/UX改善や機能開発の方向性など、今回のプロジェクト以外の領域でも、ユーザー目線の意思決定がなされているように感じ、それがとても印象的でした。

今後の展望

お客さまの声とデータを起点に、さらなる成長へ。外部パートナーとの連携を最大限に活用

深澤:今回の取り組みを経て、今後のデータ活用や事業全体の展望についてもお聞かせください。

川島:弊社はまだまだ小さな会社ですが、今後の成長のためにもデータの活用とお客さまの声、この両軸をしっかり押さえたうえで、サービスや事業を伸ばしていきたいと考えています。

たとえば、お客さまへのインタビューで得られる定性情報に加え、定量データを掛け合わせて製品開発や営業戦略に活かすといった取り組みを、今後さらに強化していくつもりです。今使ってくださっているお客さまからのフィードバックは何より貴重ですし、そこに真摯に向き合うことが、結果的にサービスの成長にもつながると信じています。

そのためにも、今回のプロジェクトにおけるprimeNumberのようなプロフェッショナルの力をお借りすることは重要だと考えています。今後も外部パートナーの皆さんと協働しながら、事業成長を図っていきたいですね。

加藤:これまでのようなお客さまとの会話ベースの情報に加えて、定量的なデータも取れるようになった今、それらを組み合わせてより価値あるプロダクトにしていきたい。そういう想いが強くなっています。

深澤:最後に、弊社への期待やご要望があればお聞かせください。

川島:今回のプロジェクトを振り返って、単にデータを整えたり分析したりするだけでなく、目指す方向性や目標に対してそのデータが何を意味するのかまで踏み込んで支援いただけることに大きな価値があったと感じています。今後も変わらず、伴走していただけると嬉しいですね。

深澤:私たちがご支援できるケイパビリティも日々広がっており、今後またお力添えできることがあれば嬉しいです。ありがとうございました!


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業種情報・通信
設立2016年10月18日
従業員数---
事業内容情報通信業