近年、熱中症対策の重要性が高まる中、環境省が提供する暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)データを活用した意思決定のニーズが増加しています。

建設業では「作業員の安全管理」、イベント運営では「開催可否の判断」、小売業では「熱中症対策商品の需要予測」など、さまざまな業種でWBGTデータの利活用が進んでいます。

一方で、環境省が提供するオープンデータは更新頻度が高く、手動での取得や加工には手間がかかります。

本記事では、クラウドETLサービス「TROCCO」の転送元HTTPコネクタを利用し、暑さ指数(WBGT)予測値・実況値データ連携を実現する手順を具体的に解説します。

暑さ指数(WBGT)とは?

暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として提案された指標です。

人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温の3つを取り入れた指標で、単位は気温と同じ「℃」で示されますが、その値は気温とは異なります。

暑さ指数(WBGT)の危険度ランク

環境省では、暑さ指数に応じて以下の危険度ランクを設定しています。

  • 危険(31以上):高齢者は安静状態でも危険な状態。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する
  • 厳重警戒(28〜30):外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する
  • 警戒(25〜27):運動や激しい作業をする際は定期的に充分な休息を取り入れる
  • 注意(25未満):一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある

詳細は環境省「暑さ指数とは?」を参照してください。

暑さ指数(WBGT)オープンデータの活用が求められる理由

環境省は、熱中症予防情報サイトを通じて、全国約840地点の暑さ指数(WBGT)実況値・予測値をオープンデータとして公開しており、商用利用を含めて自由に活用できます。

熱中症予防情報サイト

これらのデータを自動で取得・格納・可視化する仕組みを整えることで、以下のような効果が期待できます。

  • 作業員・従業員の熱中症リスクの早期検知
  • 屋外作業や屋外イベントの実施可否判断の自動化
  • 熱中症対策商品の需要予測精度向上
  • 安全管理体制の強化とコンプライアンス対応

TROCCOの転送元HTTP・HTTPSコネクタとは?

転送元HTTP・HTTPSコネクタは、TROCCOの公式コネクタがないサービスでも、公開API(REST/JSONやCSVのAPIなど)があればデータの取得ができる機能です。

  • セキュアな認証設定: APIキー、Bearer Token、OAuth等の認証方式に対応
  • 柔軟なパラメータ設定: クエリパラメータ、ヘッダー、リクエストボディの自由な設定
  • ページング設定: 大量データの自動分割取得に対応可
  • スケジュール実行: 定期的な自動データ取得
  • データ変換機能: CSVレスポンスの自動パース・構造化

転送元HTTP・HTTPSコネクタを利用し、暑さ指数(WBGT)実況値データ連携により、東京都内の観測地点の実況値データなどの取得が可能です。

※ 転送元HTTP・HTTPSコネクタは TROCCO の Advanced プラン以上のプランでご利用いただける機能です。

環境省が提供するデータファイルの種類

環境省の暑さ指数予測値等電子情報提供サービスでは、以下の3種類のデータファイルが提供されています。

1. 熱中症特別警戒情報及び熱中症警戒情報のデータ

都道府県や府県予報区等単位で発表される熱中症警戒アラートおよび熱中症特別警戒アラートの発表状況データです。

  • 前日10時頃:熱中症特別警戒情報判定
  • 前日14時頃:熱中症特別警戒情報発表
  • 前日17時頃:熱中症警戒情報発表(17時報)
  • 当日5時頃:熱中症警戒情報発表(5時報)

2. 暑さ指数(WBGT)予測値データファイル

現在時刻以降の暑さ指数の予測値を、当日、翌日、翌々日の3日分格納したファイルです。1時間に1回、30分頃に更新されます。

気象庁の最新の数値予報データを使用して、暑さ指数(WBGT)の予測値を計算しています。 1 時間毎の更新で、最新の実況値を反映し予測値の補正を行っています。

  • 地点別の予測値データファイル(841地点分)
  • 都道府県別の予測値データファイル(47都道府県分)
  • 全地点の予測値データファイル(1ファイル)

3. 暑さ指数(WBGT)実況値データファイル

各月毎に暑さ指数(WBGT)の実況値を格納したファイルです。令和7年度の提供期間は4月23日から10月22日までです。年度により期間は変動します。1時間に2回(25分頃と45分頃)更新されます。

  • 地点別の実況値データファイル(各月毎、841地点分)
  • 都道府県別の実況値データファイル(各月毎、47都道府県分)
  • 全地点の実況値データファイル(各月毎)
  • 実測地点別の実測値データファイル(各月毎、47地点分)

本記事では「実況値データ」を利用した実装方法を解説します。

ドキュメントURL

熱中症予防情報サイト:https://www.wbgt.env.go.jp/

暑さ指数(WBGT)予測値等 電子情報提供サービス:https://www.wbgt.env.go.jp/data_service.php

電子情報提供サービス・データ提供に関する説明書:
上記サイトの最下部「電子情報提供サービスを利用する」にて、利用規約確認の「確認しました」をチェックして送信ボタンを押すと説明書pdfのリンクが表示されます。
夏期間のみ更新を行っているため、冬期間になると利用案内ページへの導線が表示されなくなるため、説明書pdfのURLは手元に控えておきましょう。

実況値データの仕様

ファイル構造と命名規則

実況値データは月単位でCSVファイルが提供されます。都道府県ごと、地点ごと、または全地点まとめてのファイルが選択できます。

都道府県別の実況値データ:

https://www.wbgt.env.go.jp/est15WG/dl/wbgt_{都道府県名}_{年月}.csv

例:東京都、2025年9月 → https://www.wbgt.env.go.jp/est15WG/dl/wbgt_tokyo_202509.csv

都道府県名は小文字のアルファベット表記です(例:tokyo、osaka、hokkaido)。

取得できるデータ項目

実況値データファイルは、1行目に要素名(Date, Time)と地点番号、2行目以降に時刻とその時刻の暑さ指数実況値データが格納されます。

  • Date(日付:年/月/日形式)
  • Time(時刻:時:分形式)
  • 各地点の暑さ指数(WBGT)実況値(℃、小数点第1位まで)

【例】 

Date,Time,43056
2025/9/1,1:00,25.3
2025/9/1,2:00,24.8

実況値データは危険度ランクは含まれず、WBGT値のみが格納されます。

更新頻度

暑さ指数(WBGT)実況値は1時間に2回更新されます。

  • 1回目:毎時25分頃
  • 2回目:毎時45分頃

ほぼ全地点のデータが1回目の更新で反映されますが、通信状況等の影響で2回目の更新時に反映される場合もあります。

【事前準備】利用時の注意事項

環境省のオープンデータは、APIキーや認証なしで誰でも利用できます。ただし、以下の点を確認しておきましょう。

  • 出典表記:データ利用時は「出典:環境省熱中症予防情報サイト」と明記してください。詳細は「熱中症予防情報サイト利用規約」を参照
  • アクセス頻度:サーバー負荷を避けるため、更新時刻直後のアクセスは避け、1時間間隔程度のスケジュール設定を推奨します
  • データ形式:CSVファイルは文字コードUTF-8、カンマ区切り、改行コードLFの標準的なCSV形式です

詳細は、環境省「暑さ指数(WBGT)予測値等 電子情報提供サービス」を参照してください。

【実践編】暑さ指数(WBGT)実況値データと転送元HTTP・HTTPSコネクタでデータ連携を実現

ここからは、TROCCOの転送元HTTP・HTTPSコネクタを利用して、環境省が公開する暑さ指数データを自動取得・転送する設定手順を解説します。

サンプルとして「東京都の実況値データ(当月分)」をGoogle Spreadsheetsに連携する構成を例に進めます。

STEP1:転送元・転送先の設定

  1. TROCCOのメニューから [データ転送] → [転送設定] を開きます。
  2. [新規転送設定作成] ボタンをクリック。
  3. 「転送元」で HTTP・HTTPS を選択します。
  4. 「転送先」では今回は Google Spreadsheets を選択します。

転送元の設定

環境省の暑さ指数実況値データは、CSV形式で以下のようなURL構造を持っています。

https://www.wbgt.env.go.jp/est15WG/dl/wbgt_tokyo_202509.csv

これは「東京都の2025年9月の実況値データ」です。
このURLをHTTPコネクタのリクエスト設定として登録します。

設定例:

項目
URLhttps://www.wbgt.env.go.jp/est15WG/dl/wbgt_tokyo_202509.csv
HTTPメソッドGET
文字エンコーディングUTF-8
入力ファイル形式CSV/TSV
パラメータ / HTTPヘッダ不要(環境省オープンデータは認証不要)

月が変わるたびにファイル名が変わるため、TROCCOの「カスタム変数」機能を使って年月部分を自動展開することを推奨します。

 例:URL内の「202509」を「$YYYYMM$」のような変数に置き換えることで、毎月自動的に最新データを取得できます。

その場合の設定例はこちらです。

カスタム変数

項目変数名データ型
カスタム変数(都道府県名)$prefecture$文字列tokyo
カスタム変数(年月)$YYYYMM$文字列202509

URL
https://www.wbgt.env.go.jp/est15WG/dl/wbgt_$prefecture$_$YYYYMM$.csv

詳しくはヘルプドキュメントのカスタム変数についてを参照してください。

注意事項
レスポンスのCSV列名が地点番号の数字となっており、自動データ設定を行ってもうまくカラム名の推論がされないため、個別でカラム設定をする必要があります。

GUI上で全カラムの設定を行うのは手間なので、STEP1の「自動データ設定・カラム定義の再読み込みで使用するファイル」に「別のファイルを指定」を選択し、カラム名を数字のみではない名称へ修正したCSVファイルをアップロードして読み込ませます。

一度該当CSVファイルをダウンロードし、ChatGPTなどのAIツールでカラム名を変換したファイルを、アップロードしてご利用ください。

この際に文字コードがデータソースと同じではないと転送時に文字化けしてしまうため、データソースと同じ文字コードになるようご注意ください。

自動データ設定後、STEP2の「入力オプション」の「文字エンコーディング」も確認してください。

転送先の設定(Google Spreadsheets)

転送先の設定は次のドキュメントを参照して設定してください。

設定後、 [次のSTEPへ] ボタンをクリックします。

[自動データ設定の選択] [自動データ設定を実行] を選択し [決定して次へ進む] をクリックします。

STEP2:スキーママッピング

  1. STEP1でアップロードした「カラム名を数字のみではない名称へ修正したCSVファイル」のデータのプレビューが表示されます。
  2. アップロードしたファイルを利用し、TROCCOが自動的にカラム名・データ型を推論します。
  3. 必要に応じてカラム名を変更したり、日付フォーマットを統一したりなどの設定を行ってください。

STEP3:設定の確認・保存

  1. 入力内容を確認したら、画面右下の [確認画面へ] をクリックします。
  2. 設定内容が表示されるので、問題がなければ画面右下の [保存して適用] をクリックして設定を保存します。

これで転送設定の作成は完了です。

転送ジョブの実行

それでは、作成した転送設定を利用し実際にデータを転送してみましょう。

  1. 作成した転送設定の画面の右上にある [実行] ボタンを押します。
  2. ジョブの実行時に指定できる項目がありますが、今回は特に変更せず、そのまま実行をクリックしてください。

ジョブの実行ログ画面に切り替わり転送が開始されます。ジョブのログ画面でステータスが「SUCCESS」になれば、データ転送が正常に完了しています。


Google Spreadsheetsに暑さ指数データが転送できました!

TROCCO の転送元HTTP・HTTPSコネクタを利用すると、最小限の設定で暑さ指数が取得できることがおわかりいただけたかと思います。

定期実行の設定

暑さ指数データは1時間に2回更新されるため、定期ジョブ化することでデータを常に最新状態に保てます。

転送設定画面の [スケジュール設定] タブから定期実行を設定します。

  • 毎時30分または50分を推奨(更新時刻から少し時間をずらす)

また、実行完了の通知をSlack/メールへしておくと運用がスムーズです。

暑さ指数データの実践的な活用ユースケース

TROCCOを用いて環境省の暑さ指数データを蓄積すると、社内のさまざまなデータと掛け合わせた分析・自動化が実現します。興味があるものがあれば実際にお試しください。

  • 建設・製造業:作業員の安全管理ダッシュボード
    • WBGT実況値が31以上(危険レベル)に達した際に、作業中止・休憩時間の延長を現場責任者が判断
  • イベント・スポーツ運営:開催可否の判断支援
    • 屋外イベントやスポーツ大会の実施可否を、WBGT値と気象予報を組み合わせて自動スコアリングし可否判断へ活用
  • 小売・EC:熱中症対策商品の需要予測
    • WBGT値と売上データを組み合わせて、冷却商品・飲料・日焼け止め等の需要を予測

よくある質問(FAQ)

Q1. 気象庁オープンデータの利用に制限はありますか?

A. ありません。商用利用を含め自由に活用できますが、「出典:環境省熱中症予防情報サイト」など、出典元の明記が必要です。また、大量アクセスや高頻度取得はサーバ負荷を避けるため控えめに設定してください。

Q2. データ取得の更新タイミングはどのくらいですか?

A. 実況値データは1時間ごとに更新され、毎時00分の観測値が30分過ぎに公開されます。これらの更新タイミングに合わせて、定期ジョブのスケジュール設定を行ってください。毎時35分頃に設定すると安定してデータを取得できます。

Q3. 複数の都道府県データを一括取得できますか?

A. 可能です。TROCCOのワークフロー機能を活用すれば、複数の都道府県コード(01〜47)を順次取得する処理を自動化できます。カスタム変数を使って都道府県コードを動的に変更することも可能です。

Q4. どんなDWHに転送できますか?
A. BigQuery、Snowflake、Redshift、Databricks、Azure Synapse Analyticsなど主要DWHに対応しています。HTTPコネクタの設定は共通で、出力先を切り替えるだけで転送可能です。

Q5. 予測値データと実況値データはどう使い分けるべきですか?

A. 予測値データは事前の計画立案(翌日の作業可否判断、イベント開催判断など)に、実況値データはリアルタイムの意思決定(作業中断判断、緊急アラートなど)に適しています。両方を組み合わせることで、計画と実行の両面で精度の高い熱中症対策が可能になります。

まとめ

環境省の暑さ指数(WBGT)オープンデータは信頼性が高く、熱中症対策や安全管理など幅広い業務で活用できます。 一方で、データの更新頻度が高いため、継続的に運用・分析に活かすには一定の手間がかかります。

TROCCOのHTTP・HTTPSコネクタを利用すれば、こうした環境省のデータをノーコードで自動取得し、Google Spreadsheetsへ転送できます。
さらに、ワークフロー機能を組み合わせることで、SQLによるデータ加工や集計など、一連のデータ整備を自動化することも可能です。

暑さ指数データをリアルタイムに可視化し、データドリブンな熱中症対策・安全管理を支える仕組みを、TROCCOで構築してみるのはいかがでしょうか。 暑さ指数データの活用をご検討の方は、ぜひ TROCCOの無料トライアル をお試しください。

※転送元HTTP・HTTPSコネクタは、TROCCO の Advanced プラン以上のプランでご利用いただける機能です。

primeNumber編集長

primeNumberのブログを担当している編集長