ソーシャルメディアマーケティングの重要性が高まる中、Instagram Graph APIを活用したデータ分析・可視化のニーズが増加しています。Instagram APIから取得できるユーザーインサイト、メディアパフォーマンス、フォロワー分析などのデータを他のSaaSや社内システムと連携して分析したい企業が増えています。
本記事では、クラウドETLサービス「TROCCO」の転送元HTTPコネクタを利用し、Instagram Graph API連携・データ連携を実現する手順を具体的に解説します。
Instagramの公式分析ツールではなくETLツールの利用が適している場面
InstagramはMeta Business Suite等の公式分析ツールを提供していますが、これらは主にInstagram内でのデータ確認や基本的なレポート作成に留まります。一方で、データを継続的に格納し整形する前提がある場合は、ETLツールが適しています。
- マルチチャネルマーケティング分析
- Instagram、Facebook、X等のSNSデータ統合分析
- ROI・コンバージョン追跡
- ECサイトやCRMデータとの連携による売上貢献度分析
- 競合他社との比較分析
- ハッシュタグトレンドや業界ベンチマーク作成
- カスタムダッシュボード作成
- 経営層向けのKPI可視化
- データウェアハウス連携
- 企業の統合データ基盤への取り込み
- 定期的な自動レポート生成
- 週次・月次のマーケティングレポート自動化
「TROCCO」はデータ転送だけでなく、データのフィルタリング、フォーマット変換、集計、マージなどの加工処理も一連のワークフローとして自動実行が可能です。
これにより、Instagramデータを最適な形に整えられ、さらに様々な部門向けの分析やレポート作成に活用するデータを作成・転送することができます。
項目 | CircleCI APIを利用した連携 | ETLツールを活用した連携 |
開発工数 | 低い:ノーコードまたは少量コードで設定可能 | 高い:API仕様理解、認証処理、リトライ・エラーハンドリング実装が必要 |
保守性 | 高い:認証更新・スキーマ変更・APIバージョン対応をツール側が吸収 | 低い:API変更時にコード修正が必要。長期運用でメンテナンス負荷増 |
データ更新頻度 | 自動スケジュール(例:毎時・毎日)設定可能 | 手動または自前ジョブでスケジューリング実装が必要 |
接続先の柔軟性 | BigQuery、Snowflake、Redshiftなど複数DWHに容易に対応 | 接続先DWHへのドライバ設定・認証実装が別途必要 |
TROCCOの転送元HTTP・HTTPSコネクタとは?
転送元HTTP・HTTPSコネクタは、TROCCOの公式コネクタがないサービスでも、公開API(REST/JSONやCSVのAPIなど)があればデータの取得ができる機能です。
- セキュアな認証設定: APIキー、Bearer Token、OAuth等の認証方式に対応
- 柔軟なパラメータ設定: クエリパラメータ、ヘッダー、リクエストボディの自由な設定
- ページング設定: 大量データの自動分割取得に対応可
- スケジュール実行: 定期的な自動データ取得
- データ変換機能: JSONレスポンスの自動パース・フラット化
転送元HTTP・HTTPSコネクタを利用し、Instagram Graph API連携により、ユーザーのインサイト、メディアのインサイトなどのデータ取得が可能です。
※ 転送元HTTP・HTTPSコネクタは TROCCO の Advanced プラン以上のプランでご利用いただける機能です。す。
【実践編】Instagram Graph APIと転送元HTTP・HTTPSコネクタでデータ連携を実現
実際にInstagram Graph APIをTROCCOの転送元HTTP・HTTPSコネクタを利用した実装する方法を解説します。
STEP1|作成前に環境の準備をする
Instagram APIの利用には、Meta Developer アカウントでのアプリ作成とアクセストークンの取得が必要です。
Instagram APIのリファレンスは下記です。https://developers.facebook.com/docs/instagram-platform
Instagram API認証準備(Access Token)
Meta社が提供するInstagram APIは大きく分けて2種類あります、
- InstagramグラフAPI
- Instagram基本表示API
このうち Instagram基本表示APIは2024年12月4日をもって提供が終了したため、今回は InstagramグラフAPI を採用します。(URL)
InstagramグラフAPIには2つの認証方式があります。https://developers.facebook.com/docs/instagram-platform?locale=ja_JP
- Instagram用ビジネスログイン付きInstagram API (URL)
- Instagramアカウントで直接認証
- よりシンプルな認証フロー
- Instagram Business/Creatorアカウントが必要
- ビジネス用Facebookログイン付きInstagram API (URL)
- Facebookアカウント経由で認証
- Facebook Pageとの強固な連携
- より広範なFacebook統合機能が利用可能
本記事では、Instagram API with Instagram Login を使用します。理由は以下の通りです。
- シンプルな認証フロー: Instagramアカウントで直接ログインできるため、設定が簡単
- 必要十分な機能:ユーザーインサイトとメディアインサイトの取得に必要な機能をすべて利用可能
- Facebook依存の軽減:Facebook アカウントを持たないInstagram ユーザーでも利用可能
Instagram APIのドキュメントは下記です。
Instagram API with Instagram Login
前提条件:
- Instagram Business または Creator アカウント
- Meta Developer アカウント
手順:
- Meta for Developers にログインし、新しいアプリを作成
- アプリタイプで「Business」を選択
- 「Instagram API with Instagram Login」プロダクトを追加
- App Dashboard の Instagram セクションでアクセストークンを生成
- 生成されたトークンを安全に保管する

Access Tokenは60日間有効で、定期的な更新が必要です。必ず安全に控えておいてください。
STEP2|Instagram Graph APIデータ取得の流れ
Instagram Businessアカウントのインサイトや投稿のインサイトを取得したい場合、以下の流れでデータを取得します。
ユーザーインサイトを取得する場合:
- アカウントのユーザーIDを取得
- 取得したユーザーIDを使ってインサイトを取得
投稿のインサイトを取得する場合:
取得したメディアIDを使って各投稿のインサイトを取得です。
ユーザーが投稿したメディアのID一覧を取得
STEP3|転送設定の作成
それでは、転送元HTTP・HTTPSコネクタを利用してInstagramのデータを取得してみます。
[データ転送] → [転送設定] をクリックし、[新規転送設定作成] ボタンを押します。STEP0: 転送元・転送先の選択
転送元で「HTTP・HTTPS」を選択し、転送先は今回「Google BigQuery」を選択します。


STEP1: 転送元・転送先の設定
以下、3つのパターンの設定例を紹介します。
パターン1: ユーザー情報の取得
APIリファレンスのリンクhttps://developers.facebook.com/docs/instagram-platform/reference/me
- URL: https://graph.instagram.com/v23.0/me
- HTTPメソッド: GET
- 入力ファイル形式: JSONPath
- JSONPath: $
- クエリパラメータ:
- access_token: 事前準備で発行したInstagram Access Token
- 必ずマスキングにチェックを入れてください。マスキングを選択した項目は、画面上やGit連携に出力する際に`*****`で表示され、機密情報が露出しません。これにより、Access Tokenなどの認証情報を安全に管理できます。
- fields: user_id,username,name,account_type,profile_picture_url,followers_count,follows_count,media_count
- access_token: 事前準備で発行したInstagram Access Token

取得できるデータ例:

パターン2: ユーザーのメディア一覧の取得
カスタム変数の設定:
- 変数名: $user_id$
- データ型: 文字列
- 値: パターン1で取得したuser_id
- URL: https://graph.instagram.com/v23.0/$user_id$/media
- HTTPメソッド: GET
- 入力ファイル形式: JSONPath
- JSONPath: $.data[*]
- クエリパラメータ:
- access_token: 事前準備で発行したInstagram Access Token
- 必ずマスキングにチェックを入れてください。マスキングを選択した項目は、画面上やGit連携に出力する際に`*****`で表示され、機密情報が露出しません。これにより、Access Tokenなどの認証情報を安全に管理できます。
- access_token: 事前準備で発行したInstagram Access Token

取得できるデータ例:

パターン3: メディアインサイトの取得
パターン2で取得したメディアIDを使って、各投稿のインサイトを取得します。
カスタム変数の設定:
- 変数名: $media_id$
- データ型: 文字列
- 値:パターン2で取得したメディアID
- URL: https://graph.instagram.com/v23.0/$media_id$/insights
- HTTPメソッド: GET
- 入力ファイル形式: JSONPath
- JSONPath: $.data[*]
- クエリパラメータ:
- access_token: 事前準備で発行したInstagram Access Token
- metric: comments,follows,likes,profile_activity,reach,saved,shares,total_interactions,views

転送先の設定(Google BigQuery):
転送先の設定は次のドキュメントを参照して設定してください。
STEP2: スキーママッピング
[プレビュー実行] ボタンを押すと、Instagram APIからのレスポンスサンプルが表示されます。
カラムの型推論とマッピング設定は自動的に行われますが、転送先のカラム名やデータ型はGUI上で任意に編集できます。(例:JSONカラムを展開)
STEP3: 設定の確認・保存
設定内容に問題なければ [保存して適用] を押します。
これで転送設定の作成は完了です。

3. 転送ジョブの実行
作成した転送設定の画面の右上にある [実行] ボタンを押します。

ジョブの実行ログ画面に切り替わり転送が開始されます。ジョブが正常終了するとステータスが [SUCCESS] に変更になります。

Google BigQueryにInstagramのデータが転送できました!
4. 定期実行の設定
マーケティングデータは定期的に取得することで、トレンド分析や継続的な監視が可能になります。
[スケジュール] タブから定期実行を設定します。
Instagram Insightsデータは最大で48時間の遅延があるため、リアルタイムデータが必要な場合は他の指標との組み合わせを検討してください。Instagram Graph API連携を活用したConnector Builderのユースケース
実装方法を解説してきましたが、他にも以下のようなユースケースの利用が可能になります。興味があるものは一度実装をお試しください。
- ソーシャルメディアROI分析: リーチ、エンゲージメント、フォロワー成長率の継続的な監視とROI計算
- コンテンツパフォーマンス分析: 投稿種別、時間帯、ハッシュタグ別のエンゲージメント分析
- 競合分析とベンチマーキング: 業界平均との比較や競合他社との差分分析
- インフルエンサーマーケティング効果測定: コラボレーション投稿やキャンペーンの効果測定
- オーディエンス分析: フォロワーデモグラフィックや行動パターンの分析
- 統合マーケティングダッシュボード: Google Analytics、Meta Ads等との統合分析
よくある質問(FAQ)
Q. Instagramのすべてのメディアデータを効率的に取得するには?
A. TROCCOのワークフロー機能を利用すると以下のようなデータ取得の手順を自動化することが可能です。
- /{user_id}/media エンドポイントで全メディアIDを取得
- 取得したメディアIDリストをもとに、各メディアのインサイトを並列取得
- TROCCOのワークフロー機能で一連の処理を自動化
大量のメディアがある場合は、並列実行の設定も可能です。
Q. Instagram Graph APIの制限はありますか?
A. Instagram Graph APIには Rate Limit(API呼び出し制限)があります。
詳細はInstagram Graph APIの公式ドキュメントをご確認ください。
まとめ
TROCCOの転送元HTTP・HTTPSコネクタを利用することで、Instagram Graph APIを利用した安全で効率的なデータ連携が実現できます。
一度設定すれば、Instagramマーケティングの効果測定・分析・レポート作成が自動化され、マーケティングチームの生産性向上に大きく貢献します。データドリブンなソーシャルメディアマーケティングを実現したい方は、ぜひTROCCOの無料トライアルをお試しください。
※転送元HTTP・HTTPSコネクタは、TROCCO の Advanced プラン以上のプランでご利用いただける機能です。
注意点:Instagram Graph APIの利用には、Meta Developer アカウントと Business/Creator アカウントが必要です。
