現代社会では、あらゆる作業や活動がデータによって記録される時代です。このデータをビジネス上のアドバンテージに変換したいと多くの人が思っています。しかし、実際にはデータが異なる場所に分散しており、容易にアクセスできないことがしばしばあります。
技術の進歩により、データは集中管理され、世界中のネットワークを通じて協力し合うことが可能になっています。このセミナーでは、SnowflakeとTROCCO®を利用して、組織内のデータの孤立を解消し、外部のデータソースとも連携する、新しい時代のデータ管理基盤について説明されました。
本記事では、2023年12月4日に開催されたセミナーをもとに、近年のトレンドから考えるデータ可視化・分析の必要性にも触れつつ、サードパーティデータと組織内のデータをコラボレーションさせる方法などをご説明します。
以下のようなお悩みをお持ちの方はぜひご覧ください。
- これからデータ分析に力を入れていきたい方
- サードパーティデータの活用に悩まれている方
- 部門間を超えたデータ分析でサイロ化が起きている組織に属する方
なお、当日のセミナーはこちらからご覧いただけます。
※本イベントレポートの内容は2023年12月当時のものです。TROCCO®の利用や接続オプション等の利用の詳細について知りたい方はprimeNumberまでお問い合わせください。
https://trocco®.io/inquiry/new
登壇者紹介
KT 氏
Snowflake合同会社 シニアプロダクトマーケティングマネージャー兼エヴァンジェリスト
人々にデータを届けるため世界のデータをモビライズするグローバルネットワーク「データクラウド」の実現に奔走するデータライブパフォーマー。
プロダクトが掲げるビジョンを伝えるエヴァンジェリスト。文化の源泉であるコミュニティ作りを生業とする。1500人超の卒業生を輩出するDATA Saber制度の創設者。
塚本 翔太
株式会社primeNumber カスタマーサクセス本部 ビジネス開発グループ パートナーアライアンス アカウントエグゼクティブ
吉積情報株式会社入社。Google Cloud 専門のSier としてクラウドエース株式会社の立ち上げとGoogle Cloud の技術を使った『Cmosy』の新規事業立ち上げを経験。
2023年株式会社primeNumberに入社。パートナーアライアンスを専門に担当。
データ分析基盤を支えるTROCCO®とは
SECTION1では、primeNumberの塚本より、TROCCO®の概要とユースケースについてお話ししました。
あらゆるデータを、ビジネスの力に変える
塚本:「本日はデータ分析基盤についてのセミナーです。私が担当させていただくのは、データ分析基盤を支えるTROCCO®についての紹介です。」

塚本:「弊社primeNumberは単にプロダクトを提供する事業会社ではなく、データの整備からビジネスインテリジェンス(BI)の導入まで一貫したデータ分析基盤を構築できるところが強みです。
その中には、TROCCO®というプロダクトも含まれています。TROCCO®では、さまざまなデータのコネクタの追加やリアルタイム処理、データマートの作成ができます。
さらに、CS(カスタマーサポート)も提供しています。このデータ分析基盤を利用したデータの可視化や活用も実施しています。
それらを通じて、ダッシュボードの構築やメンテナンスなどの作業を行い、データ分析や機械学習による後処理の構築を実現しています。
今回のセミナーでは、TROCCO®のデータ連携に焦点を当てて紹介します。」
データ活用のベストプラクティス

塚本:「最近データの量は急増し、2022年から2025年の間にデータ量が約倍増すると予測されています。とくに2025年にはデータ量が175ゼタバイトに達するとまで言われています。
これだけのデータ量増加に伴い、選択肢はさらに広がり、データを活用できる企業はより有意義な立ち位置を獲得できます。データを適切に処理できる企業とそうでない企業との間で、ビジネス上のギャップが広がるでしょう。
データの取得方法についても多くのノウハウが蓄積され、データ取得が容易になってきています。
つまり、データ駆動の組織を構築できるかどうかが、ビジネス上の重要な指標になると思います。」

塚本:「SalesforceJapanが公開した日本の企業を対象としたレポートによると、ビジネスリーダーの84%が意思決定にデータが必要と考えています。
しかし、実際にデータを使う組織は全体の22%と、意思決定層と現場層との間には大きなギャップが存在します。このレポートは、データ分析基盤構築のプロジェクトがとても難しいことを強く認識させるものです。
さまざまなレポートを見ても、データドリブンな組織となっているケースは全体の2-3割ほどほどしかなく、実現は難しいことが再確認できます。」

塚本:「企業では、データが色々な場所に散らばっているため、それを集めるのに時間やお金がかかります。このため、データを分析するたびに、エンジニアが作業をしなければならず、さまざまなツールをチェックする必要があります。
これが、データの監視や迅速な意思決定を難しくしています。データが散らばっていると、分析を始める前にデータを集めて整える必要があり、これが時間を取ってしまうのです。
データ活用プロジェクトが失敗する主な原因は3つあります。
第一に、データが散らばっていて集めにくいこと、第二に、必要なときに必要なデータにアクセスできないこと、第三に、これらの問題によってデータの信頼性が低下することです。
分析するデータが間違っている可能性があり、その結果、分析から得られるべき価値を十分に引き出せないことがあります。これらの問題がデータ分析の実施を困難にしています。」

塚本:「データの活用において最良の方法は、信頼性の高いデータを中心的に管理し、常に横断的に活用できる環境を作ることです。
データはさまざまな場所に分散して存在していますが、データ連携を図れば、データ収集、データの蓄積、データ分析、データ活用というプロセスがスムーズになるでしょう。
私たちはデータ分析に長けたプロフェッショナルと自負しており、お客様に対してベストプラクティスを提案しています。
とくにデータ連携に関しては、弊社のプロダクトであるTROCCO®を使ってデータウェアハウスまで自動化し、Snowflakeなどのクラウド系データウェアハウスを活用した分析をおすすめしています。
仕組みを作り上げることで、データを可視化でき、ビジネスの指標改善に寄与できます。」

塚本:「データを活用して成果を上げることに成功した企業の事例をお伝えします。
株式会社AVILENのケースです。
データ分析基盤を使った結果、営業のコンバージョンレートが30%向上しました。また、年間で450万円ものコストを削減できましたし、エンジニアの保守業務にかかっていた時間を年間1000時間も削減できました。」
TROCCO®のご紹介

塚本:「TROCCO®は、データエンジニアリングやModern Data Stackに必要な完全な技術スタックを提供するサービスです。TROCCO®はデータ転送とETL(Extract、Transform、Load)に対応し、複数ソースのデータの統合と加工を、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)で設定し実行できます。
また、SQLだけでデータウェアハウス内のデータを分析に適した形に加工する機能や、ジョブの依存関係やスケジュールを自動化するDAG設定機能も提供しています。
さらには、メタデータを管理し、データの関係性を把握して分析を容易にするデータカタログ機能も含まれています。
データカタログ機能は、メタ情報を持つデータの転送を自動化、ジョブとジョブの連係を自動化、データウェアハウス内のデータをデータマートとしてモデリングするなど、データエンジニアに求められる機能を包括的に提供しています。
興味があればぜひお問い合わせください。」
TROCCO®についてくわしく知りたい方はこちらよりお問い合わせください。

塚本:「データの統合は約18の工程が必要で、とても手間がかかる作業です。しかし、TROCCO®はその中の大部分を自動化できます。
各工程が必要なデータ連携作業は、通常1ヶ月から2ヶ月ほどの時間を要します。TROCCO®を導入すると、各工程の多くが自動化され、データソースを選択しデータの転送するだけで済むようになります。
時間や労力の大幅な削減が可能となるのです。」

塚本:「TROCCO®の利用により、従来のデータ統合における作業工数を大幅に削減できます。
具体的には、一部の煩雑な工程の自動化によって、作業工数を90%以上削減できます。初期開発の工数が480時間だったものが、TROCCO®を用いることで5時間に大幅にカットされます。
また、運用保守の工数も960時間から60時間へと大幅に削減されます。
実際に、自前で開発した場合とTROCCO®を利用した場合で、導入1年間のデータ統合作業工数を比較するとその効果が理解いただけると思います。
TROCCO®のサービスを利用すれば、データ分析に必要な工数を大幅に減らせます。」

塚本:「SnowflakeマーケットプレイスとTROCCO®のコラボレーションにより実現するデータ分析基盤について解説します。
このデータ活用のアーキテクチャとTROCCO®では、データソースからデータウェアハウスへのデータ移行、データマートやデータカタログ、ワークフローの管理に加え、最近注目を集めているリバースETLと呼ばれるプロセスも取り扱います。
リバースETLとは、データウェアハウスで分析した結果を各サービスに戻してあげるという流れです。データ連携を自動化するニーズを持つお客様にとても適したサービスです。」
TROCCO®の活用事例

塚本:「AVILEN社の事例では、カスタマーサクセス業務を可視化し、月38万円のコスト削減を実現した会社の例を取り上げています。
カスタマーサクセスのダッシュボードが整備されていなかったため、主に感覚で判断を行っていました。ビジネスの拡大に伴い、全体像を掴むことが難しくなってきたのです。スプレッドシートやExcelを使ってデータを集め、解析を行い、PDCAサイクルを回していました。
しかし、この方法だけではデータのずれや信頼性の問題が出てきたので、データウェアハウスにデータを蓄積し、BIツールを用いてデータを可視化したのです。
その結果、これまで見落としていた改善点が見つかり、月38万円のコスト削減につながりました。
現場の状況をより正確に理解し、迅速な経営判断が可能になるような環境を実現しています。労力と時間をかけずに、信頼性の高いデータ分析基盤を構築できました。」
AVILEN社のTROCCO®導入事例を読む

塚本:「メルカリ社は、サービス運営で、多種多様のデータを扱っています。
改善アイデアの実装に必要なデータ連携は、それぞれのデータソースに対する開発作業となり、貴重なエンジニアリソースが消耗されてしまう課題がありました。
しかし、データ連携の自動化で、エンジニア工数の大幅な削減が可能になり、具体的には3人月分の工数を削減したとのことです。
この取り組みにより、各コネクターの開発が不要となり、ビジネスの進行スピードが大幅に向上したと評価いただいています。」
メルカリ社のTROCCO®導入事例を読む

塚本:「最後にユナイテッドアローズ社の事例を取り上げます。
目標は、データ活用戦略を強化し、現場のユーザーが自らデータを取得、活用し迅速な意思決定を行えるデータ基盤を実現することでした。
既存のオンプレミスのデータウェアハウスをクラウド化することでコスト削減とデータの民主化を進めました。その中でSnowflakeをデータウェアハウスとして、TROCCO®をデータ連携プラットフォームとして活用しました。
効率的なデータ収集、積み上げ、統合が実現し、運用コストの削減と従量課金によるコスト最適化が実現しています。さらに、ユーザー自身がデータの加工から出力までを手掛けられるようになりました。」
ユナイテッドアローズ社のデータ基盤の構築と強化について読む
データ基盤の新時代:コラボレーションを実現するグローバルネットワーク「データクラウド」
本セクションでは、Snowflake合同会社 シニアプロダクトマーケティングマネージャー兼エヴァンジェリストのKT氏より、「コラボレーションで実現するデータ分析基盤」をお話しいただきました。
データ基盤の新時代

KT氏:「今日は私たちのサービス『Snowflake』を紹介します。
Snowflakeはただのデータ保存サービスではなく、『データクラウド』という新しい概念を実現しています。
私たちは技術革新に自信を持ち、技術や最新トレンドを共有することで、皆さんの新しい挑戦を支援したいと考えています。
皆さんと一緒に新しい世界を創造し、データの急速な変化に対応できる柔軟なサービスを提供することが私たちの目標です。」

KT氏:「まず、ディスクライマーとして述べておきます。今日のセミナーで紹介する製品や機能についての導入を検討される際には、現時点で公開されている情報をもとに判断していただくことをお勧めします。
今日の話題は、現在の機能だけでなく未来のビジョンや進行中の開発についても触れていきたいと思っています。
具体的な製品の導入を検討される際には、正式にリリースされている製品や機能についての最新情報をご確認いただくようお願いします。」

KT氏:「企業は、データサイロという問題に直面しています。データが特定の部署や利用者間で孤立していて、他の人や部署がアクセスできない状態を指すものです。
たとえば、ある営業部署とマーケティング部署がデータを共有しているところはあるかもしれませんが、それは一部分に過ぎません。営業現場と製造現場のデータ、それに加えて社内外のデータの連携が必要とされています。
とくに広告業界における広告の効果分析などは、さまざまなプラットフォームから得られるデータが重要です。
しかし、全てのデータにアクセスできている企業は少ないと思います。データは日々変化を続け、追いつくことが困難だからです。
これまでは、パイプラインを作るのに数ヵ月や数年を要することもありましたが、これでは現代のデータの流れについていくことは難しいでしょう。
だからこそ、データを束ねるだけでなく、全てのデータを活用することが求められています。」
SNOWFLAKEの企業理念:世界のデータをモビライズ

KT氏:「Snowflakeの企業理念は、誰もが必要なデータにすぐにアクセスできるようなネットワークを作り出すことです。
これは『モビライズ』という概念に基づいています。モビライズとは、モバイル技術が私たちの生活にもたらした便利さを指します。
たとえば、現在ではスマートフォンがあれば地図を物理的に持つ必要なく、どこへでも行くことができます。それまでの常識であった、目的地を事前に調査し、印刷した地図を持ち歩く必要がなくなりました。
その結果、事前に計画しなかった場所へも自由に移動できるようになったのです。
この便利さを、データの取り扱いにも応用すべきだと我々は考えています。つまり、必要なデータがすぐに手に入る、それがSnowflakeが目指す姿です。」

KT氏:「今、多くの組織が自社システムと他の組織との協力(コラボレーション)を進めています。これは、SnowflakeとTROCCO®を使ってデータを管理することによって実現できます。
Snowflakeでは、ソフトウェア会社がアプリケーションを運営し、使用した分だけお金を払う仕組みを採用しています。
また、特定の供給業者やパートナー、別のビジネス部門ともプライベートに協力しています。
データクラウドネットワークは、複数のSnowflakeアカウントがつながって機能しており、上図はこれらのアカウントがどのように連携しているかを示しています。」

KT氏:「Snowflakeは、データクラウドとして全世界のネットワークに接続し、ユーザーが一つのプラットフォーム上で最も関連性の高いコンテンツにアクセスできる環境を提供しています。
これを実現するためには、技術的なリソースはもちろん、それを活用できる機能の提供が必要です。
ユーザーが希望するデータ使用例は多岐にわたるため、データエンジニアリング、データウェアハウジング、データレイクといった、各種のデータ操作・管理機能を開発・提供してきました。
また、最新の注目トピックであるAIやMLに対応した機能も提供しており、ユーザーがさまざまなデータを自由に活用できる環境を整備しています。
ユーザーがプラットフォームを選ぶ際に重要視するべき点は、幅広い用途に対応できる技術と機能が備わっているかどうかです。」

KT氏:「Snowflakeのシステムは、ユーザーが必要とする機能をしっかり提供できるように作られています。たとえば、大量のデータを速く処理する必要がある時でも、問題なく動くように設計されています。
過去のデータシステムでは、必要な機能がいつも提供されていたわけではありません。たとえば、営業の人が朝9時にレポートを見たい時に、朝7時までにデータが処理されている必要があります。また、多くの人が同時に使うと、システムが遅くなることもあります。
これらの問題をSnowflakeは解決しています。ユーザーはいつでも、どのようなに大きなデータでも、すぐに使えるようになっています。私たちは、世界中のユーザーがどこにいても、必要なデータにすぐアクセスできるような環境を作ることを目指しています。」

KT氏:「これを実現するSnowflakeのアーキテクチャがここに示されています。
Snowflakeの基本構造は大きく3つの層からなっており、それらがネットワーク上で連携し、統合されたデータ分析基盤を形成しています。」

KT氏:「Snowflakeでは、データの保存方法が改善されているため、企業や組織はどのような種類のデータも、どれだけの量でも自由に扱えるようになります。
これにより、大量のデータを簡単に管理でき、データへのアクセスが速く、効率的になります。データを小さく圧縮して保存することや、データの安全を守ることも自動で行われるため、仕事がスムーズになり、コストを削減できます。
また、Snowflakeのデータ管理システムは、データを自社の場所や様々な形式で扱うことができます。これによりユーザーは新しいデータの形式にもすぐに対応でき、特定のサービス提供者に縛られることなくデータを使えるようになります。
結果として、データの量や形式、保存場所を心配することなく、どのようなデータも自由に使うことができます。」

KT氏:「Snowflakeは一つのエンジンであらゆるワークロードに対応します。その結果、複雑なパイプライン、分析、データサイエンス、双方向アプリケーション等のアーキテクチャがシンプルになり、同時に最高レベルの性能と並行性を提供します。
実際には、すべてのユーザーやジョブに対して調整や競合なしに、迅速で信頼性の高いパフォーマンスを提供します。
さらに、SQL、Python、Javaなどで作業し、お好きなツールやライブラリをデータ移動なしでSnowflakeのSnowparkで直接実行できます。
データに対して、アクセスできるCPUやメモリは固定されています。これは一般的なサーバーやパソコンと同じです。しかし、たとえ高性能なCPUやメモリを持つリソースであっても、同時に増えるタスクを処理しようとすると、どうしてもパフォーマンスが低下します。
そこでSnowflakeでは、同じストレージにアクセスできるコンピュータリソースを無制限にするという特徴を持たせました。これはとても画期的で、一般的なPCの使用体験と似ており、個々のタスクに対して独立したCPUとメモリーを動かすことが可能です。
したがって、営業の人が朝9時にレポートを見たい時に、朝7時までにデータを入力する必要はありません。ETL作業のためのCPUリソースと、BI可視化のためのリソースとを分けて用意すれば良いのです。
全体として同じデータを参照でき、データを入力しながらデータサイエンスを行ったり、他のタスクを実行できます。
分割されたコンピュータリソースはお互いの作業に干渉しませんので、ワークロードが分散されパフォーマンスが向上します。
さらに、多くのコンピュータリソースを扱うことで、従来のリソースマネージメントから解放され、リソースの管理を気にする必要がなくなります。
そして、必要に応じてコンピュータリソースのスイッチをオン/オフすることで、コストを効率的に管理できます。
Snowflakeは一つのエンジンでさまざまなワークロードを管理し、最高のパフォーマンスと同時性を提供できるので、多くのお客様が私たちを選んでいます。」
SnowFlakeのスケーラビリティの力

KT氏:「Snowflakeのスケーラビリティは驚異的です。
2023年4月1日から4月30日の間に1分間で実行された高大クエリ数は2.9B、全体で実行されたクエリ数は50T以上、1日あたりの平均クエリ数は160K以上にまで達しました。これはすべて、独特のアーキテクチャ、即ちストレージと計算リソースの分離によって可能になりました。
数字の大きさに圧倒されて理解しきれない方もいるかもしれません。私が強調したいのは、これからの世界では、パフォーマンスやリソースにとらわれる時代は終わったということです。
Snowflakeのような製品が増える中、皆様に重きを置いてほしいのは、何を成し遂げたいのか、どのデータを使ってどう処理したいのか、その結果を通じてどうビジネス変革を進めていきたいのかということです。」
継続的な経済価値の最大化

KT氏:「私たちは製品を常にアップデートして、性能を向上させ、コストを下げています。これらの改善はリアルタイムで価格に反映されるので、コスト削減はすぐに実感できます。
たとえば、データを小さく保存したり、コンピューターの速さを上げたりして、使う分だけの料金でより良いサービスを提供しています。
このように性能が良くなると、お客様の支払う費用が減ることもあります。
私たちは、お客様が性能向上の恩恵を受けられるように努めており、すべてのアップデートはお客様の利益になるように設計されています。
私たちのチームは優秀な人材で構成されており、最高の機能と性能を提供して、お客様にコスト削減のメリットを提供しています。
私たちの製品は、お客様のために、お客様の利益を考えて作られています。」
Snowpark

KT氏:「Snowparkについて説明します。
SnowparkはSnowflakeの一部で、SQL、Python、Java、Scalaなどさまざまなプログラミング言語をネイティブにサポートするプラットフォームです。皆さんが各自得意とする言語で作業が可能となります。
運用面では、このプラットフォームはガバナンスのトレードオフなしに使用でき、高速かつ低コストのパイプラインを提供します。
実際、Forbes Global 2000に名を連ねる500以上の企業が既に信頼を寄せており、Sparkベースのパイプラインから移行したお客様の中には、運用速度が最大で2-3倍速くなり、コストが30-50%削減されるとの報告例もあります。
Snowparkを使うことで、エンジニアがそれぞれのスキルを活かし、最適なコードで効率的に処理できます。SnowparkはSnowflakeの一部として提供されるため、別途購入する必要はありません。」
多くのワークロードをサポート

KT氏:「Snowflakeはとても多くのワークロードをサポートするデータ分析基盤です。データウェアハウスはもちろん、非構造化データを取り扱うことも可能なため、データレイクとしても利用可能です。
さらに、AIや機械学習を用いた分析も実施できます。たとえば、サイバーセキュリティの視点からデータを用いてセキュリティを強化するといったアナリティクスも可能です。
さらに弊社は、トランザクションデータと分析データを同時に扱える新しいワークロード、ユニストアを提供します。これは、分析業界が長年夢見てきた情報系システムと機関系システムの融合を一歩前進させるものです。
我々はこれをハイブリッドテーブルと呼んでおり、今後さらに拡張していく予定です。
Snowflakeは皆さんが行いたい分析を多岐にわたりサポートし、組織内でのデータ分析上の課題を解決する手助けをします。」
グローバル展開
KT氏:「グローバルなビジネス展開を考えている方にとって、自社が世界に進出するだけでなく、他の企業とのコラボレーションも一つの手段でしょう。
Snowflakeでは、AWS、Azure、GCPといった3つのパブリッククラウドを利用し、全世界のリージョンで使用可能な環境を提供しています。
グローバルに展開された環境の中で、データ分析の基盤を確立できます。」

KT氏:「データを安全に使いながら自由に分析するためには、管理(ガバナンス)が必要です。
現在では、データを慎重に扱い、適切に管理することがとくに重要です。そうしないと、データが漏れて組織の信頼を失うかもしれません。
Snowflakeでは、グローバルに展開された環境の中でも、データの安全を守りながら、皆で協力してデータを使うことができます。これには、自動でデータの種類を分けたり、誰がデータを見られるかを決めたり、データを安全に見せる方法(ダイナミックデータマスキング)などがあります。
誰がデータをどう使っているかを一目でわかるようにし、必要に応じてデータの提供方法を変えたり保護を強化したりできます。
Snowflakeの特長は、これら全てを一つの場所でできることです。」
Snowgridがデータコラボレーションを実現

KT氏:「私たちが『スノーグリッド(Snowgrid)』と呼んでいるものは、クロスクラウドの真髄です。
Snowgridは、どのようなパブリッククラウドやクラウドリージョンでもデータをコラボレーションできるものです。
マルチクラウドとは異なり、クロスクラウドではどこにあるデータでもコラボレーションでき、一元化されたガバナンスを適用できます。
さらに、一部のアベイラビリティゾーンがダウンしても、Snowflakeでは問題なく事業が継続できるように設計されています。
最近は地震などの自然災害も心配されますが、海外や日本国内の影響を受けない拠点においてビジネスを継続できます。
この特性により、Snowflakeを安心して利用でき、安全なコラボレーションが可能となります。」

KT氏:「Snowflakeを使うと、他の組織とのデータ共有がスムーズにできます。
これまでデータの共有は、ファイル転送やプログラミングインターフェースを通じて行われることが多かったですが、Snowflakeでは違います。
Snowflakeでは、データが一か所にあっても、それを必要とする人が自分のコンピューターを使ってアクセスできるようになっています。
これにより、データの持ち主はデータを送る必要がなく、見せたい人は安全にデータを見ることができます。データは安全に保護されており、特定の人だけがアクセスできるように設定できます。
この方法で、データの複製や紛失の心配なく、簡単にデータ共有ができます。
さらに、Snowflakeではデータを使ったアプリケーションも動かせるので、より便利にデータを活用できます。」
データクラウドでのアプリ開発

KT氏:「先ほど、データクラウドでアプリケーションを開発できるようになったと話しました。
具体的な例として、『Streamlit』というツールがあります。Streamlitは最近私たちが買収したもので、Pythonというプログラミング言語を使って、簡単にウェブアプリケーションを作れるようにするものです。
StreamlitはSnowflake上で動き、Snowflakeに保存されているデータにもアクセスできます。これにより、アプリ制作が簡単になるとともに、データ活用も容易になります。」
Snowflakeマーケットプレイス

KT氏:「Snowflakeマーケットプレイスは、データ製品を販売・配布できる場所です。
Snowflakeマーケットプレイスでは、データやデータを使ったアプリケーションを置いて、新しいビジネスを始めることができます。
Snowflakeマーケットプレイスを利用すれば、製品を広めたり、収益化もできます。」

KT氏:「Snowflakeマーケットプレイスでは、既に390以上の業者が自分たちのデータやアプリケーションを提供しています。
Snowflakeマーケットプレイスを利用することで、既にあるデータやアプリを自分で一から作る必要がなくなり、時間や労力の無駄を省けます。
今は『シェアリングエコノミー』と呼ばれる時代で、他人の作ったものを共有して無駄を避けることが大切です。
Snowflakeマーケットプレイスを使うことで、既存のものを活用しつつ、新しいアイデアやビジネスに集中できるようになります。」
データクラウドの成長
KT氏:「2014年、Snowflakeはオンプレミス環境の固定容量という制約を打ち破りました。データをTROCCO®などを使ってデータクラウドに集め、集めたデータを柔軟に活用できるようになりました。大規模なデータや、さまざまな形式のデータも利用できます。そのデータは、他の組織のデータとも連携し、一体化できます。
2018年にデータクラウドが登場しました。クラウドプロバイダーや地域に関係なくすべてのデータを一元的につなげる機能です。データを必要とする作業が可能になり、データに対する働きかけが現実のものとなりました。私たちはこれをデータクラウドの世界と呼んでいます。
データクラウドは、どのクラウドサービスや場所にも関わらず、全てのデータを繋げることができるサービスです。データ量が増加し、新しい技術も次々と出てきて、データの使い方も変わってきています。ですので、データをどれだけ早く使えるようにするかが大切です。
Pythonのようなプログラミング言語や、TROCCO®のようなツールを使って、データを整理して使うことができます。
データを活用し、機械学習やウェブアプリケーションなどを開発できます。私たちの目標は、こうした技術やアプリケーションが広がって、多くの人に使用していただくことです。
データクラウドの成長は著しいものがあります。2020年4月にはまだ少なかったコラボレーションが、2023年10月現在では大幅に増え、多くの企業が連携して一緒に作業を進めています。
このような状況の中、早いうちからこの流れに乗っていることが重要で、遅れると取り残されてしまう可能性があります。
コラボレーションをする際にはもちろん、データのセキュリティ等の問題があります。
しかしSnowflakeでは創業者自身が最初に採用したのがセキュリティの専門家だったほど、セキュリティには最初から力を入れています。
今日は時間の関係上、すべてを紹介できませんでしたが、もし興味がある方は別の機会に説明いたします。」

KT氏:「私たちは、データを使うことは一つの製品だけに依存することではないと考えています。
多様な製品やサービスが集まるエコシステムが大切です。これにより、ユーザーは自社に最適なものを自由に選べ、より良い体験ができます。
Snowflakeもこのエコシステムの一部であり、他の素晴らしい製品、たとえばPrimeNumberのTROCCO®などと一緒に、豊かなデータ分析の世界を作っていきたいと思っています。」
まとめ
本セミナーでは、SnowflakeとTROCCO®のコラボレーションを通じて、データのサイロ化を超え、組織内外のデータを連携させる新しいデータ分析基盤の構築について解説しました。
データの活用は単一の製品に依存するものではなく、幅広い製品やサービスが集まるエコシステムが重要です。SnowflakeとTROCCO®を組み合わせることで、データの統合、分析、活用がスムーズになり、ビジネスの意思決定を迅速かつ効率的に行うことが可能となります。
データ量の増加と技術革新により、データの取り扱い方は進化を続けています。この変化に対応するためには、データパイプラインの迅速な構築が欠かせません。TROCCO®を利用することで、データ連携の自動化やデータマートの作成が容易になり、データドリブンな意思決定をサポートします。
データの活用に関心がある方、とくにサードパーティデータの活用や組織内のデータ分析のサイロ化に悩んでいる方には、本セミナーの内容が参考になるはずです。さらに深く知りたい方のために、TROCCO®に関する詳細な資料をご用意しております。データの統合や分析を効率的に進めたい方は、ぜひ以下より資料をダウンロードしてください。
