近年、企業の業務効率化やデータ活用の重要性が高まる中で、複数のSaaS(Software as a Service)を活用する企業が増えています。しかし、SaaS間でデータを連携させるには技術的な課題があり、その連携方法やメリット・デメリットを十分に理解しておく必要があります。

本記事では、SaaS間データ連携の必要性や課題、実現方法について詳しく解説します。

SaaSデータ連携の必要性

SaaSデータ連携の重要性が高まっている背景には、以下の要因があります。

クラウド環境でのデータ基盤構築の促進

クラウド技術の進化に伴い、多くの企業がオンプレミス型のシステムからクラウド型へ移行しています。その結果、ERP(基幹業務システム)、CRM(顧客管理システム)、マーケティングオートメーションなど、多くの業務プロセスがクラウド上で管理されるようになりました。

しかし、それぞれのSaaSが独立して動作している場合、情報が分断されてしまい、業務効率や意思決定に悪影響を及ぼす可能性があります。このような**情報分断(サイロ化)**の現象を解決するためには、複数のSaaS間でデータを統合し、一元的に管理できる仕組みが必要です。

働き方の変革とリモートワークの普及

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、多くの企業でリモートワークが急速に普及しました。

リモートワーク環境では、従業員がどこからでも業務システムにアクセスできることが求められます。そのため、安全かつ効率的に複数のSaaS間でデータ連携を行い、一貫した情報共有と業務遂行を可能にする仕組みが不可欠です。

たとえば、プロジェクト管理ツール(AsanaやTrello)とファイル共有ツール(Google DriveやDropbox)を連携させることで、リモートチーム全体でタスク進捗状況と関連資料へのアクセスを統一できます。このようなシステム間の連携は、リモートワーク環境下でも生産性向上に繋がります。

データドリブン経営への需要の高まり

現代では「データドリブン経営」が注目されています。これは、収集した膨大なデータを分析し、その結果を基に事業の方向性や部門の施策の実施に対して意思決定を行う経営手法です。たとえば、顧客情報やWebサイト訪問履歴などのデータを分析することで、新しい商品開発やマーケティング施策の最適化に活かせます。

しかし、データドリブン経営を行うには正確かつ一貫性のあるデータが必要です。複数のSaaS間で連携されたデータは、それぞれ異なる視点から収集された情報を統合し、高度な分析や予測モデル構築に役立ちます。

そもそもSaaSとは何か

SaaS(Software as a Service)は、インターネット経由で利用できるソフトウェアサービスです。

従来のソフトウェアはユーザー自身がインストール、設定、保守管理を行う必要がありましたが、SaaSではこれらすべてがサービス提供者によって管理されるため、ユーザーはブラウザやアプリケーションを通じて簡単に利用できます。

代表的な例としては以下が挙げられます。

  • Google Workspace(旧G Suite):メール(Gmail)、文書作成(Google Docs)、表計算(Google Sheets)など、ビジネスに必要な一連のツール。
  • Salesforce:顧客関係管理(CRM)ツール。営業活動や顧客サポートを効率化します。
  • Slack:チームコミュニケーションツール。リアルタイムでの情報共有を促進します。

これらは月額料金制または年間契約制で提供されることが多く、小規模から大規模まで幅広い企業に対応しています。

SaaS間のデータ連携で発生する課題

SaaSは便利な一方、SaaS間のデータ連携においてはいくつかの課題も存在します。

API連携における技術的ハードルと時間的コスト

API(Application Programming Interface)は、異なるシステム間でデータ交換や操作指示を可能にする仕組みです。多くの場合、APIは柔軟性と拡張性に優れており、多様なニーズに応じたカスタマイズ連携が可能です。その反面、高度な技術力と時間的コストが求められるため、小規模企業や専門エンジニアが不在の場合にはハードルとなります。

たとえば、「マーケティングオートメーションツール」と「顧客管理システム」のAPI連携では、それぞれ異なる認証方式や仕様変更への対応など技術的課題が生じます。

データの重複と整合性の欠如

異なるサービス間ではデータ形式や内容に差異が発生します。そのため、重複した顧客情報が格納されてしまったり、異なるフォーマットによるデータの整合性の欠如が発生したりする可能性があります。

これらの問題解決には、データのクレンジングやマッピングといった追加作業が必要となり、それに伴う費用が発生する場合があります。

エンジニアの工数増加

SaaS間のデータ連携を実現するためには、しばしばエンジニアの専門的な知識やスキルが必要になります。

たとえば、APIを利用したカスタム連携を行う場合、各サービスのAPI仕様を理解し、プログラムを構築する必要があります。また、サービスごとの認証方式やエラー処理など、細かな部分まで設計・実装する必要があるため、エンジニアリソースが不足している企業では大きな負担となるでしょう。

連携後も仕様変更や障害対応などで継続的なメンテナンスが求められるため、工数が増加し続ける可能性があります。特に中小企業にとっては、このような技術的負担がデータ連携のハードルとなることが多いです。

新規SaaS導入時の連携検討の必要性

新しいSaaSを導入する際には、そのサービスが既存のシステムとどの程度連携可能かを事前に検討する必要があります。

たとえば、「このサービスはAPIを提供しているか」「既存のツールとのデータ形式の互換性はどうか」といった点を確認しなければなりません。新規導入したSaaSが他のツールと連携できない場合、手動でデータを移行・統合する必要が生じることもあります。このような非効率的な運用は、業務プロセス全体に悪影響を及ぼす可能性があるため、新しいツールを選定する段階からデータ連携について慎重に検討することが重要です。

SaaS間のデータ連携で組織に発生するメリット

SaaS間のデータ連携を行うことで、企業や部署の組織に様々なメリットがもたらされます。それぞれのメリットについて紹介します。

部門間の情報連携による顧客情報の解像度向上

複数のSaaS間でデータを連携させることで、部門間で情報共有がスムーズになり、顧客情報の解像度が向上します。

たとえば、営業部門がCRMで顧客情報を管理し、マーケティング部門が別のツールでキャンペーン顧客データを管理している場合、これらのデータを連携させることで顧客行動をより深く理解し、営業戦略やマーケティング施策に活かすことができます。

これにより、「どの顧客にどのようなアプローチをすべきか」を明確化できるため、営業活動やマーケティング施策の精度が向上し、顧客満足度や売上アップに繋がる可能性があります。

データの高解像度化による事業戦略への活用

データ連携によって得られる高解像度なデータは、経営戦略や事業計画にも大きく貢献します。

たとえば、複数部門から集約されたデータを分析することで、市場動向や顧客ニーズを的確に把握できるようになります。その結果、新製品開発やサービス改善などの意思決定プロセスを強化できます。

さらに、これらのデータはAIや機械学習モデルへの入力としても活用可能です。これにより、高度な予測分析や自動化された意思決定プロセスを実現し、競争優位性を確立できます。

場所に関わらずデータへの接続が可能に

クラウドベースでデータ連携環境を構築すれば、従業員はオフィス内外問わず必要な情報へアクセスできます。特にリモートワーク環境では、このメリットは非常に大きいです。営業担当者が外出先からスマートフォン経由でCRMシステムにアクセスし、その場で最新の顧客情報を確認できれば、商談成功率も向上するでしょう。

一部SaaSでの全体管理によるコスト削減

複数ツール間でデータ連携を行うことで、一部のSaaS上で全体管理が可能になる場合があります。

たとえば、「BI(ビジネスインテリジェンス)ツール」を活用すれば、各部門から集約されたデータを一元的に可視化できます。このような仕組みは業務効率化だけでなく、不必要なツール利用コスト削減にも繋がります。

SaaS間のデータ連携の際に発生する懸念事項

SaaS間のデータ連携の際には、データの分断やセキュリティへの懸念など、注意すべき事象も発生し得ます。それぞれの懸念について解説します。

連携失敗によるデータの分断(サイロ化)

複数システム間でうまくデータ連携できない場合、「サイロ化」と呼ばれる問題が発生します。サイロ化とは、一部のシステム内だけで情報が閉じ込められ、他部門との共有や活用が困難になる状態です。

このような状態では意思決定プロセスが遅れたり、不正確な判断に繋がったりするリスクがあります。

一部のSaaSにおけるAPI連携不足による制約

SaaS間のデータ連携を実現する上で、API(Application Programming Interface)の存在は欠かせません。一部のSaaSではAPIが提供されていなかったり、提供されていてもAPIの内容自体が汎用性が低い場合があります。このような状況は、連携構築において大きな制約となります。

たとえば、特定のSaaSが独自仕様のAPIを採用している場合、他のサービスと連携するために必要な機能を十分に備えていないことがあります。また、APIが提供されていても、連携可能な範囲が限定的であったり、利用頻度やデータ量に厳しい制限が設けられているケースも少なくありません。これにより、連携を試みてもエラーが頻発したり、期待通りのデータ交換ができないという問題が発生します。

セキュリティリスクの増大

データ連携は情報共有を促進する一方で、セキュリティリスクを増大させる可能性もはらんでいます。連携するSaaSが増えるほど、各サービス間の認証・認可の管理、データ転送経路の暗号化、アクセスログの監視などが複雑になります。連携先のSaaSのセキュリティレベルが低い場合、そこがシステムの脆弱性となり、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まる可能性があります。

したがって、データ連携を行う際には、連携先のSaaSが適切なセキュリティ対策を講じているか、自社のセキュリティポリシーに準拠しているかを事前に確認し、必要に応じて多要素認証やアクセス制限などの対策を強化することが不可欠です。

SaaSデータ連携を実現する方法

SaaS間のデータ連携を実現するには、いくつかの方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、自社のニーズやリソースに応じて最適な選択をすることが重要です。以下では、代表的な3つの方法について詳しく解説します。

1. APIを活用したデータ連携

API(Application Programming Interface)を活用する方法は、最も一般的で柔軟性の高い手法です。多くのSaaSは標準的なAPIを提供しており、提供されたAPIを利用して他のシステムとデータをやり取りできます。

APIを活用したデータ連携には、以下のメリットがあります。

  • 柔軟性が高く、カスタマイズ性に優れている
  • リアルタイムでデータの同期が可能
  • 既存のAPIドキュメントを活用すれば開発コストが抑えられる。

一方、APIを活用したデータ連携には、以下のデメリットがあります。

  • 開発にはエンジニアリングスキルが必要
  • API仕様変更への対応やメンテナンスが必要。
  • 複数システム間での連携では複雑化しやすい。

2. スクラッチ開発によるカスタム連携

スクラッチ開発とは、自社専用のプログラムをゼロから作成してシステム間連携を実現する方法です。このアプローチは、高度なカスタマイズが求められる場合や、市販ツールでは対応できない特殊な要件がある場合に適しています。

スクラッチ開発によるカスタム連携には、以下のメリットがあります。

  • 自社特有の要件に完全に適合可能
  • 他社依存がなく、自社で完全にコントロールできる。

スクラッチ開発によるカスタム連携には、以下のようなデメリットがあります。

  • 開発コストと時間が非常に高い
  • 保守・運用負担が大きく、属人化しやすい。
  • 新しいサービス導入時に再開発が必要になる場合が多い。

3. データ連携ツール(iPaaS・ETL)の活用

iPaaS(Integration Platform as a Service)は、ノーコードまたはローコードで複数のSaaS間連携を簡単に実現できるツールです。

iPaaSのメリットとして、ノーコードで直感的な操作ができ、事前に多くのテンプレートやコネクタが用意されているので、迅速に導入することができます。また、メンテナンスや更新作業もベンダー側でサポートされることが多いです。

たとえば、マーケティングオートメーションツールとCRMをiPaaSで連携させることで、顧客情報とキャンペーンデータをリアルタイムで同期できます。これにより、営業・マーケティング部門間で最新情報を共有しながら迅速な意思決定が可能になります。

ETL(Extract, Transform, Load)は、「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(格納)」という3つのプロセスから成るデータ処理技術またはツールです。企業内外に散在するデータを統合的に管理し、分析や意思決定に活用できる形へ変換することがETLの目的です。

たとえば、複数店舗の売上データを統合し、BIツールでダッシュボード化する際にはETLが活躍します。店舗ごとに異なるフォーマットで保存された売上情報を抽出し、一貫性ある形式へ変換して格納することで、全体の売上状況を可視化できます。ETLは特に、大規模なデータウェアハウス構築や複数システム間で整合性あるデータ統合が必要な企業に適しています。

項目iPaaSETL
目的システム間連携とリアルタイム同期データの抽出・変換・格納
導入形態クラウドクラウドまたはオンプレミス
操作性ノーコード/ローコード対応技術力が必要な場合がある
主な用途SaaS同士の連携データウェアハウス構築

SaaSデータ連携を実施するために検討すべきポイント

SaaS間のデータ連携を成功させるためには、事前準備が非常に重要です。特に、連携対象となるサービスやシステムの要件を明確にし、必要なコストや体制を十分に検討することで、スムーズな導入と運用が可能になります。以下では、具体的な検討ポイントについて詳しく解説します。

1. データ連携を行うSaaSサービスの要件を洗い出す

最初に行うべきステップは、データ連携を行う対象となるSaaSサービスの要件を洗い出すことです。これには、以下のような項目が含まれます。

連携するデータの種類と形式

各SaaSが扱うデータ形式(JSON、CSV、XMLなど)や、必要なデータ項目(顧客情報、売上データ、在庫情報など)を明確化します。たとえば、CRMツールから顧客情報を取得し、取得した情報をマーケティングツールで活用する場合は、両システムで共通するフィールド(名前、メールアドレスなど)を特定する必要があります。

連携頻度とタイミング

データ連携の頻度(リアルタイムかバッチ処理か)やタイミング(1日1回、1時間ごとなど)を定義します。リアルタイム連携が必要な場合は、高速かつ安定した接続が求められます。

セキュリティ要件

データの暗号化や認証方式(OAuth 2.0など)、アクセス制御の仕組みなどを確認します。特に個人情報や機密情報を扱う場合は、GDPRやCCPAといった法規制への準拠も考慮が必要です。

既存システムとの互換性

既存のシステムや他のSaaSとの互換性も重要です。たとえば、新しいツールが既存のAPI仕様に対応しているかどうかを事前に確認しましょう。

これらの要件を洗い出すことで、後続の設計・開発フェーズで無駄な手戻りを防ぎます。

2. 連携時に必要な開発コストなどを前もって計算する

次に重要なのは、データ連携にかかるコストの見積もりです。これには以下のような項目が含まれます。

初期開発コスト

API連携やカスタムスクリプト作成に必要な開発費用を計算します。たとえば、自社エンジニアによるスクラッチ開発の場合、人月単価×作業月数でコストが算出されますが、iPaaSやETLツールを利用する場合は、その導入費用と設定作業コストが主となります。

ランニングコスト

ツール利用料(iPaaSプラットフォームのサブスクリプション料金)、クラウドサービス費用(AWSやAzure)、保守運用費用を考慮します。たとえば、「TROCCO」のようなノーコードETLツールでは月額料金が発生しますが、その分の運用負担が軽減されます。

エラー対応・メンテナンス費用

データ連携中に発生するエラー対応や仕様変更への対応費用も見込む必要があります。特にAPI仕様変更時には再開発が必要になる場合があり、その際の追加コストも考慮しましょう。

導入前テスト費用

システム間で正確にデータが連携されることを確認するためにはテスト環境構築や検証作業が必要です。この作業にも一定のリソースと費用がかかります。

これらのコスト項目を事前に見積もることで、予算オーバーや計画遅延といったリスクを回避できます。複数の選択肢(API開発、自社開発、iPaaS活用など)の中から最適な方法を選ぶためにも、導入前のテストプロセスは欠かせません。

3. 連携に必要な実装体制を見直す

最後に検討すべきポイントは、データ連携プロジェクトを実現するための実装体制です。この段階では以下の点について確認・調整します。

エンジニアリソースの確保

自社内で十分な技術力とリソースがあるかどうかを確認します。特にAPI開発やカスタムスクリプト作成には専門知識が必要です。もしリソース不足の場合は外部ベンダーへの委託も視野に入れるべきです。

担当者間の役割分担

プロジェクトマネージャーやエンジニアだけでなく、業務部門担当者も巻き込むことでスムーズな進行が可能になります。たとえば、「どのデータ項目が重要か」「どのようなタイミングで連携すべきか」といった要件定義には業務部門からのインプットが不可欠です。

ツール選定とトレーニング

iPaaSツールやETLツールなど外部サービスを利用する場合、それらの操作方法について事前トレーニングを実施します。ノーコードツールの場合でも基本的な設定方法やエラー対応手順について学ぶことは重要です。

運用フェーズへの移行計画

実装完了後も継続的な運用体制が求められます。監視体制やトラブルシューティング手順書の整備、新しいサービス追加時の対応フロー策定などが必要です。

これらの実装体制を整えることでプロジェクト全体の成功率が大幅に向上します。また、一度構築した体制は将来的なプロジェクトにも応用可能であり、中長期的な視点でも有益です。

SaaSデータ連携ツール選びのポイント

SaaS間のデータ連携を成功させるためには、適切なツールを選ぶことが重要です。SaaSデータ連携ツールを選ぶ際に特に注目すべきポイントについて理解し、自社のニーズに最適なツールを選定しましょう。

1. 対応可能なサービス数と拡張性

データ連携ツールを選ぶ際に最も重要なのは、どれだけ多くのサービスと接続できるか、将来的な拡張性があるかという点です。企業が利用するSaaSは、CRMやERP、マーケティングオートメーションなど多岐にわたります。そのため、選択するツールがこれらのサービスに対応しているかどうかを確認する必要があります。

たとえば、あるツールが主要なクラウドサービス(Salesforce、Slackなど)には対応しているが、自社で利用しているニッチな業界特化型ツールには対応していない場合、そのツールは十分な価値を提供できない可能性があります。また、新しいSaaSを導入する際にも柔軟に対応できる拡張性が求められます。

先ほど紹介した「TROCCO」のようなツールは、多数のコネクタを提供しており、新規サービス追加時にも迅速に対応可能です。

2. 操作性と学習コスト

データ連携ツールは、ツールの操作性が高く、学習コストが低いものほど導入後の効率性が高まります。特にノーコードまたはローコード対応のツールは、エンジニア以外の担当者でも簡単に設定・運用できるため、多くの企業で人気があります。

操作性を評価する際には以下のポイントを確認しましょう。

  • 直感的なインターフェース:ツールのUI(ユーザーインターフェース)が分かりやすく設計されているかどうか。たとえばドラッグ&ドロップでワークフローを構築できるツールは操作が簡単です。
  • テンプレートの充実度:よく使われる連携パターン(CRMからマーケティングツールへのデータ送信など)がテンプレートとして用意されている場合、設定作業が大幅に簡略化されます。
  • トレーニングやドキュメント:ツール提供元が分かりやすいマニュアルやトレーニングプログラムを提供しているかどうかも重要です。これによって学習コストを抑えつつ、迅速に運用を開始できます。

3. コストパフォーマンス

コストパフォーマンスもツール選定時に欠かせないポイントです。初期費用だけでなく、ランニングコストや運用効率まで含めて総合的に評価する必要があります。

初期費用についてですが、ETLツールやiPaaSツールでは無料トライアル期間や無料プランがある場合が多いです。無料期間中に実際の使用感を確認し、自社ニーズとの適合度を見極めることがおすすめです。また、月額料金制の場合、自社で必要となる機能だけを選択できるプラン構成になっているかどうかも確認してください。

ランニングコストについては以下のような項目があります。

  • サブスクリプション料金(例:月額または年間契約)
  • データ転送量による追加料金(大量データの場合に注意)
  • メンテナンス費用(仕様変更への対応など)

さらに、「運用効率」という観点からもコストパフォーマンスを評価しましょう。たとえば、高価なツールでも手動作業を大幅に削減できる場合、その分の人件費削減に繋がります。直接的な費用だけでなく間接的な効果も考慮することで、より正確な評価が可能になります。

4. サポート体制

最後に重要なのは、ベンダーによるサポート体制です。特にトラブル発生時や仕様変更時には迅速で的確なサポートが求められます。サポート体制を評価する際には以下の点を確認してください。

  • 問い合わせ対応速度:問題発生時にどれくらい迅速に対応してもらえるか。チャットサポートや専任担当者によるサポート体制がある場合は安心感があります。
  • ドキュメント・FAQの充実度:自力で問題解決できるよう詳細なドキュメントやFAQページが整備されているかどうかも重要です。
  • コミュニティサポート:ユーザーコミュニティ(フォーラムなど)が存在する場合、他社ユーザーから実践的なアドバイスや情報共有を得られることがあります。
  • アップデート頻度:ツール自体が継続的にアップデートされ、新しい機能やセキュリティ強化策が提供されているかどうかもチェックポイントです。

たとえば、「TROCCO」では専任サポートチームによる迅速な対応とともに、多様なドキュメント・チュートリアル動画が提供されています。しっかりしたサポート体制は安心して利用できる要素となります。

まとめ

本記事では、「SaaS間のデータ連携」について、データ連携の必要性から課題、具体的な解決方法まで詳しく解説しました。

API活用やスクラッチ開発、iPaaSツール、ETLツールなど、それぞれ異なる特徴がありますので、自社ニーズに合った手法を選ぶことが重要です。また、高度なノーコードETLツール「TROCCO」のようなサービスは、多くの企業で成功事例として採用されており、その利便性と効率性から今後さらに注目されるでしょう。

自社に最適な方法とツールを選定し、効率的かつ安全なデータ連携基盤を構築していきましょう。