昨今、データ活用の重要性が非常に高まっており、特に顧客データプラットフォーム(CDP)の構築を進める企業が増えています。

しかし、デジタルマーケティングでのデータの統合と活用は、個人情報のセキュリティ強化や人的リソースの不足など、多くの課題を抱えています。

とくに2024年は『Cookie廃止元年』とされ、Googleは同年Q3からChromeの3rd party Cookieの段階的な廃止を進めることで、広告配信や顧客分析に大きな影響が予想されます。これにより、1st partyデータの活用が一層重要になりますが、自社データのみではユーザー理解に限界があり、個人情報を活用するための同意管理も難しい現実があります。

本セミナーでは、このような状況においてCDPを効果的に構築し、1st partyデータを活用するための方法と、新しいデータ基盤のあり方について、2024年1月に開催されたセミナーをもとに詳しくご紹介します。

顧客データを活用したいマーケティング担当者や、顧客データ基盤の構築を検討しているIT部門の方はぜひご覧ください。

※本イベントレポートの内容は2024年1月当時のものです。
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講演者紹介

田中 裕章氏 / 株式会社DataCurrent CTO

SIerを経て、株式会社サイバー・コミュニケーションズ(現CARTA COMMUNICATIONS/CCI)入社。広告配信システムの開発や運用支援等を経験した後、データ事業の立ち上げと共に技術領域全般の担当を兼務。2021年より、データビジネスコンサルティング事業を展開している株式会社DataCurrentに異動し、全社の技術戦略立案と実行、エンジニア組織のマネジメント、コンサルティングプロジェクトにおける技術設計等を担い、クライアントのDX実現を支援している。

塚本 翔太 / 株式会社primeNumber カスタマーサクセス本部 ビジネス開発グループ パートナーアライアンス アカウントエグゼクティブ

吉積情報株式会社入社。Google Cloud 専門のSier としてクラウドエース株式会社の立ち上げとGoogle Cloud の技術を使った『Cmosy』の新規事業立ち上げを経験。
2023年株式会社primeNumberに入社。パートナーアライアンスを専門に担当。

SECTION1:データから収益へ~Cookie廃止をみすえたシステム構想~

2024年はCookie廃止元年

田中氏:「早速ですが、皆様Cookie廃止に向けた準備は万全でしょうか?

今回ご参加いただいている皆様はご存知かと思いますが、2024年は本格的なCookie廃止の年です。

しかし、廃止されるのはCookieの中でも3rd party Cookieであり、1st party Cookieは一部制限が強化されるだけで、存続はしていきます。

そこで今回は3rd party Cookie廃止の現状と、それに向けた準備をおもに技術面からご紹介をしていきます。」

個人をクロスドメインで識別する技術の歴史

田中氏:「Cookieの規制が強化される背景として、ユーザーに対して不適切な形で個人をクロスドメイン、つまりサイトを横断して同一人物として識別してきたことが背景にあります。

大きな流れは2017年のSafariのITP1.0のリリースから始まっていると思います。その後、Googleも2020年に3rd party Cookie廃止の計画を発表し、それが今年の3クォーターから4クォーターにかけて実行されることになりました。ここでいう3クォーター、4クォーターは、米国の会計基準であるため、7月から12月を指します。

ここまでの話はブラウザについてですが、アプリにおいても類似した動きが起きています。

2020年には、AppleのIDFAがオプトイン化を開始しました。

2022年にはGoogleが、AndroidのIDであるAdIDについて、個人を識別するのではなく集団として捉える形に変更していくこと(Privacy Sandbox化)を発表しました。2022年2月に現在のAdIDの仕様を2年間は維持することを発表しています。

今年の2月でちょうど2年を迎えるため、間もなく今後の計画について発表があると思います。個人を識別することをやめる趣旨の発表をしているため、どこかのタイミングでAdIDがオプトイン化、もしくは廃止になると思われます。」

Chromeの3rd party Cookie廃止スケジュール

田中氏:「Chromeの3rd party Cookie廃止のスケジュールをより詳しく見ていきたいと思います。2024年1月4日からChromeユーザーの1%で先行して廃止する取り組みがスタートしています。2024年3クォーターから段階的に全ユーザーに拡大されていくため、3rd party Cookie廃止に向けた対応として残された期間は半年を切っている状況です。」

田中氏:「ブラウザのシェアを見てみると、Chromeは全体のおよそ7割強となっています。その他のSafari、Edge、Firefoxは、すでに3rd party Cookieの規制されているところもありますし、その他に含まれているブラウザの中にも規制がされているものがあります。

したがって、このデータから見て取れる通り、今回のChromeの規制によって事実上3rd party Cookieは廃止になるといっても過言ではないでしょう。」

田中氏:「こちらのページはCookieの状況を使用ブラウザごとにまとめた表です。

赤枠が3rd party Cookieの状況で、Chrome以外はすでに制限が始まっている状況です。

一方で右側は、1st party Cookieです。こちらは条件によって一部制限はあるものの、現在のところ引き続き利用できます。」

Cookie廃止による影響

田中氏:「3rd party Cookieが廃止されると、デジタルマーケティングにどのような影響が出るかについて、部分的に言及させていただきます。

たとえば広告主様であれば、ターゲティング配信のボリュームが減ったり、精度が落ちて費用体効果が低下したりする恐れがあるのではないかと思います。

メディア様においては、広告単価の下落や、多くのターゲティング在庫を持つWalled Gardenへの広告集中が懸念されます。」

ここまでのCookie廃止に関するお話しを踏まえ、これからどのようなデータ活用を推進すべきかについてお話ししていただきました。

ユーザー識別子で考えるこれから

田中氏:「データの活用において、3rd party Cookieはユーザーを識別するIDとして使われてきました。そのため、ユーザー識別子の観点から今後どのようになっていくかを整理します。ここでは技術的な観点の整理をしており、プライバシー保護の観点は考慮されていない点をご了承ください。

中央の逆三角形の図は、ユーザー識別子を人・デバイス・ブラウザに分けて簡易的に表しています。

1番下の人の部分は、個人、つまり1人しかいないため、最も面積が小さいです。

その個人に紐づくデータとしては、メールアドレスや会員IDなどがあります。こちらは適切なデータプライバシーの下で引き続き利用できます。

最後はデバイスです。皆さんも複数のデバイスを日常的に扱っていると思います。個人と会社のPC、個人と会社の携帯などが含まれるため、人よりも面積が大きくなっています。

ユーザーを識別するIDとして、モバイルのIDFAとAdIDがあります。しかし、IDFAはすでにオプトイン化済みであり、同意を得たユーザーのIDしか収集できないため、以前よりは随分減少している状況です。一方、AndroidのAdIDもPrivacy Sandboxへの移行が表明されているため、今後数年にかけて大きく減少、もしくは廃止の方向に向かっていくと考えられます。

各デバイスには1つ以上のブラウザがあると思います。ChromeとEdgeのケースもあれば、Chromeに複数のユーザーを登録しているケースもあるでしょう。そのため、ブラウザよりもさらに面積が大きくなっています。また、ブラウザでユーザー識別するIDはCookieが主流ですが、3rd party Cookieは廃止され1st party Cookieが存続します。

こういった整理から、1st party Cookieや個人データなどの自社データを中心に整えていくことが必要になっていると思います。

ただ、『そこには2つの壁がある』と、顧客様からよくお聞きします。

1つは自社データの限界、もう1つは適切なユーザー同意管理です。ここからは、この2つについて深堀していきます。」

自社データ活用のためのデータ基盤の構築とその限界

田中氏:「まず、自社データの限界についてお話しします。

先ほど自社データを中心にデータ関係を整えていく旨の話をしましたが、CDPを構築してそこを起点に各施策を行うことを指しています。CDPは、『統合された顧客データベース』と表現できるでしょう。

自社データの中には、Webサイトのアクセスログや広告データ、購買データ、CRMのデータなど、さまざまなデータが含まれていると思います。それらのデータをただ1箇所に集めるのではなく、それらのデータを共通IDで統合することがCDPのポイントです。

それにより、散在していたユーザーのデータがつながり、顧客の属性や興味・関心、ステージなどが明確になります。その結果、顧客一人一人への最適なコミュニケーションを取れるようになるのです。

たとえば、ライト層の顧客をロイヤル化したい食品メーカーがいらっしゃった場合、ライト層の顧客の好みをCDPで分析し、その分析結果に基づいて、自社製品を使ったレシピをLINEでお届けできます。

CDPを構築できるサービスとしては、Treasure DataやBigQuery、Snowflakeなどがございます。実際、現時点ですでにCDPを自社で構築されている企業様も増えているでしょう。」

田中氏:「ただ、顧客が全ての社会活動を自社の範囲内で行っている訳ではないと思います。むしろ、自社の範囲内での活動はごく一部ではないでしょうか。

その一部の情報から顧客の全体像を精度高く理解することは、非常に難しいと思います。そのため、顧客とのコミュニケーションを設計しようとしても、その戦略の解像度が上がらないケースが起こりがちです。

田中氏:「そういった際の処方箋として、私たちは外部データの活用をお勧めしています。

外部データとは文字通り社外のデータを指しており、大きく分けて2nd party dataと3rd party dataの形式があります。2nd party dataは特定の企業から提供を受けるデータであり、提供元にとっては1st party dataです。3rd party dataはそれ以外の第3者から提供を受けるデータです。

これらで扱えるデータの種類として、性別や年代などの個人属性、就職や育児などのライフステージがあります。これらのデータをCDPで自社データと連携することにより、自社データを補えるようになります。

DataCurrentの外部データ活用例

田中氏:「弊社でも、大規模なデータエクスチェンジネットワークを運営しています。

2nd party dataであれば、自動車や不動産、購買などの18個のジャンルのデータから任意のデータソースを指定できます。3rd party dataであれば、個人属性・興味関心・ライフステージについてのデータ連携が可能です。

これらのデータで顧客の見えていない部分を可視化し、解像度を上げることによって、顧客とのコミュニケーションの勝率も上げられると考えています。

冒頭で、弊社はデータビジネスコンサルティング会社であることをお伝えしましたが、このようなデータを持っている点がコンサル業におけるユニークな点の1つです。」

田中氏:「こちらはエンタメ企業様での外部データの活用事例です。

こちらの企業様では、一般顧客を有料顧客にロイヤル化するために、一般顧客とのコミュニケーションの最適化を掲げていました。しかし、自社データだけでは有料顧客の解像度が上がらず、施策設計の軸が弱い点が課題でした。

そこで、弊社のデータを使って顧客の解像度を上げ、有料顧客の特徴をクラスタリングしました。その後、クラスタごとに有料顧客への転換可能性を推計いたしました。そして、転換可能性の高い顧客に対して最適なコミュニケーションを設計する形で課題解決を図りました。」

田中氏:「先ほどご紹介したデータエクスチェンジネットワークを提供するために、弊社もデータ基盤を構築しています。

データレイク層はBigQueryとクラウドストレージを採用しており、データウェアハウス層とデータマート層には、BigQueryを採用しています。データ提供元のWebサイトやアプリのログ、会員データなどに加えて、購買データやパネルデータを共通IDで統合し、性別や興味関心などのセグメントを作っています。

その共通IDには、Cookieに加えてID5と呼ばれるIDサービスを採用しており、共通IDを機にさまざまな情報を統合しています。これらの各種データ転送や全体のワークフロー管理にTROCCO®を採用させていただいています。」

ID5の概要

田中氏:「ID5について少しお話ししたので、もう少し補足させていただきます。

ID5はユニバーサルIDの1つで、3rd Party Cookieの代替となるプライバシーに配慮した新しいIDとして活用が進んでいます。世界最大規模の共通IDであり、月間70億デバイスが流通しています。

ID5の特徴としては、プライバシーが最優先された設計とID精度の高さです。」

DataCurrentは、ID5との連携でCookieレスソリューションを強化するリリースを出させていただいております。合わせてコラムも公開しておりますので、もしご興味ございましたらご覧いただければと思います。」

TROCCO®を採用している理由

田中氏:「TROCCO®を採用している理由について、お伝えさせていただきます。

1番のメリットは、データ基盤の構築や維持にかかるリソースを解放してくれる点です。データ基盤は構築するだけでは意味がなく、施策に活用して初めて価値が生まれると考えています。そのため、可能な限り構築は省エネで対応し、施策の方に集中できるTROCCO®を採用しました。

これは導入してから分かるメリットですが、サポートが非常に早くて丁寧な点も大きな魅力だと思います。基本的にUIで直感的に分かりますが、権限周りでエラーになった時も、状況をお伝えすると素早く解決方法を提示してくださるため、非常に助かっています。

弊社はTROCCO®の利用者でもありリセラーでもあるため、コンサルのクライアント様に対して、TROCCO®利用のご提案も行っています。」

ユーザーデータ取得・利用への同意の現状と課題

田中氏:「はじめに、日本における個人に関する情報を簡単に整理します。

個人に関する情報とは、生存する個人に関するあらゆる情報を指します。そのうち法律で定義されている語句として、個人情報・個人データ・保有個人データ・個人関連情報・匿名加工情報・仮名加工情報があり、各概念は図のような関係性です。

それぞれの概念について簡単に補足したものをスライド右に記載していますが、本セミナーの趣旨と外れるため、詳細は割愛させていただきます。

要点だけお伝えすると、これまでCDPを中心としたデータ活用の話をしてきましたが、CDPに含まれる個人情報は個人データだと考えられます。個人データは右側に青字で記載されている通り、特定の個人情報を検索できるように体系的にまとめられた『個人情報データベース等』を構成する個人情報のことです。

今後の話はこれを前提に進めてまいります。なお、これらの内容は正確性を担保するものではございませんので、実際には皆様の本部の判断や助言を受けながら進めていただければと思います。」

田中氏:「個人情報を第三者提供する場合、あるいは個人情報でなくても第三者提供先で個人データと紐づく場合、ユーザーからの同意取得が必要になります。

提供とは、『自己以外の者が利用可能な状態に置くこと』とされており、たとえばCDPから広告プラットフォームや外部の施策ツールにデータを連携する行為は提供と見なされるでしょう。

提供には、委託と第三者提供の2種類あります。委託は提供元の業務の一部を代わりに作業してもらうことを指し、顧客からの同意は不要とされています。一方で第三者提供は、提供先のビジネス目的で使うことが想定されており、顧客からの同意が必要です。

これまで委託として整理し、ユーザーからの同意を得ずに良しとされていた行為が、第三者提供に分類され同意が必要になっているケースがあるため、注意が必要です。

実際にどういったケースがあるかを簡単にご紹介します。

Cookieレスにおける広告配信で、カスタマーマッチと呼ばれるGoogle広告の商品が注目されています。これは、自社が持つ個人情報とGoogleが持つ個人情報を突合し、合致したユーザーに対して広告配信する商品です。

カスタマーマッチを行うためには、Google広告に対して自社が持つ個人情報をアップロードする必要があります。この行為は第三者提供と整理でき、ユーザーからの同意が必要です。」

田中氏:「ユーザーからデータ利用の同意を得る手段としては、利用規約への同意があると思います。多くの場合、初めてユーザーが自社サービスを利用する時に規約への同意を求めることになっており、同意が得られれば先ほどのカスタマーマッチなどが可能になります。

ただ実際に運用していくと、『Google以外のプラットフォームでも行いたい』など、利用の用途や範囲を拡大するシチュエーションが出てきます。その際には、ユーザーから再度同意を得る必要があります。」

田中氏:「ただ実際には、初回の同意を得る仕組みはあっても、2回目以降の再同意を取る仕組みまで整っている企業様は少ないのではないでしょうか。また、規約は徐々に変化していくため、それぞれの顧客がどのバージョンに同意しているのかを適切に把握している必要があります。たとえば、最新の規約に同意している顧客と、1つ前のバージョンまでしか同意していない顧客とでは、データ活用の範囲を変える必要がある場合があります。

これらがデータ活用を進めるうえで障壁になっているクライアント様が最近多くいらっしゃいます。」

同意管理ソリューション「Consent Update」

田中氏:「そこで、そういった同意管理の課題へのソリューションが弊社のConsent Updateと呼ばれるサービスです。

このサービスは、規約の改定があった後に初めてサイトに訪問したユーザーに対して、最新規約への同意を促せます。また、個人データを活用するためには顧客からの開示請求に答える必要がありますが、そのための同意状況の確認も可能です。」

田中氏:「より詳細に動作イメージをお伝えします。

規約に変更があった後に初めてユーザーがサイトに訪問すると、同意を促すポップアップを表示します。この同意のボタンを押すと、次回以降はポップアップは表示されません。

同意状況は同意管理データベースに記録されており、このデータはCSVでエクスポートできます。そのため、CDPに連携することで、それぞれのユーザーがどこまでのデータ活用に同意しているか、容易に把握・管理できます。」

田中氏:「Consent UpdateはSony Music様に採用いただいています。当企業様は、アーティストのファンクラブ会員データをグループ全体で共同利用することになりましたが、ファンからの規約への再同意を得る仕組みがありませんでした。そこで、Consent Updateを導入していただき、グループ内でのデータ流通を加速させていただいています。

スライドの画像は歌手のLisaさんのファンクラブサイトで、左側がPCサイト、真ん中がスマホサイトです。そして右側は、ポップアップで規約変更の内容をファンの方にご説明して、同意を促している画像です。画面上の『こちら』をクリックすると、プライバシーポリシーの詳細ページに遷移し、具体的にどういった変更があるのか確認できます。」

SECTION1のまとめ

田中氏:「最後に、本日の内容を簡単にラップアップさせていただきます。

まず、今年はCookie廃止元年です。Cookieに依存して実現してきたデータ活用ができなくなるため、自社データを中心とした活用に移行する流れになっていきます。ただ、そこにはデータ不足と同意取得の2つの壁があります。それらは外部データと同意管理ソリューションによって乗り越えましょう。」

田中氏:「これまでお話しした内容をデータ分析基盤の全体像にすると、この図のようなイメージになります。

外部データをCDPと連携することで自社データをリッチ化しつつ、適切な同意管理をすることで、安心安全なデータ活用ができるデータ分析基盤になります。

これからのシステムとしては、Cookieで失われてしまうデータの部分は外部データをうまく使っていき、なおかつ、より個人情報に近い情報を活用していくことが望ましいです。

ゆえに、適切に同意データを管理していく必要があるのです。」

データは活用して初めて価値に変わると思っております。

そのため、データ基盤の構築については、TROCCO®のような外部サービスを積極的に採用してスピーディーに終わらせ、データ活用の効果を早期に実感していきましょう。」

SECTION2:データ基盤構築のメリットとTROCCO®のご紹介

多くの企業が直面している『2025の壁』とその対策

塚本:「前半のパートにて説明されていたCookieの問題は2024年の出来事ですが、実は『2025年の壁』の問題も潜んでいます。

こちらのスライドは経済産業省のDXレポートを参照した図です。このレポートによると、2025年までにデータのサイロ化によって引き起こされる問題点がいくつか報告されております。具体的に言うと、

  • データ管理のコスト
  • ビジネスにおけるま意思決定ができないま鈍化
  • 売上機会の損失

が予想されています。

またレポートによると、12兆円の損失額が見込まれるとされています。」

塚本:「実際に現場でExcelでマクロを組んでいる方もいらっしゃると思いますが、データを収集する工程は非常に地味な作業です。そのため、データを収集する仕組みが存在しなければ、継続されずに終わってしまうケースが非常に多いです。

ゆえに、データを自動的に収集できる仕組みを構築する必要があるのです。迅速なPDCAの回転やデータを使ったビジネス推進は、データ基盤が構築されて初めてできるようになります。

CDPの構築にあたって、まずデータのサイロ化などの問題を洗い出していく作業になると思います。そこで、データの収集にTROCCO®を用いるのです。」

データ基盤を構築するメリット

塚本:「『データ活用できる仕組みを作るための基盤』であるため、管理コストの軽減や迅速な意思決定、売上機会の創出などが改善できると思っております。」

データ活用のベストプラクティス

塚本:「データ活用のベストプラクティスを簡単にお伝えさせていただきます。

弊社のご提案はこの図のようになります。まず、データクレンジングをして、データウェアハウスにデータを入れます。その後、BIツールを使って可視化したり、最近ホットなLLMや機械学習系を利用したりしていきます。

そして、1つの統合・蓄積サービスとして、TROCCO®をご紹介をさせていただきます。」

TROCCO®とは?

塚本:「TROCCO®は、データ統合を自動化してデータエンジニアにかかる工数を削減する、フルマネージドのETL/ELTサービスとご紹介させていただいています。

元々ETLとして導入されるケースが多い状況でした。しかし、さまざまなお客様のニーズに沿って、ワークフローやデータマート、リバースETL、データカタログなどの機能を備え、より幅広い領域をカバーできるようになりました。現在では、データ転送した後のデータウェアハウスの管理としてもご利用いただけます。」

塚本:「多くのお客様に選ばれる理由の1つは拡張性です。とくに外資系のサービスと比べられることが多いのですが、国内に対してローカライズできる点が強みだと思っております。

データソースは、LINEやYahoo!、kintoneをはじめとした、国内で広く使われているサービスに対応しています。

また、先ほど田中さんにもおっしゃっていただいた通り、日本語サポートにも力を入れています。とくに、日本人のエンジニアサポートやドキュメントに非常に力を入れています。この辺りが国内のお客様に対して刺さりやすいポイントだと思っております。」

TROCCO®の導入事例

塚本:「TROCCO®の活用事例でイメージ像を掴んでいただければと思います。

こちらは非公開事例ですが、CDPシステムからの移行についての相談を多くいただいております。CDPシステムを使いこなせていなかったり、大容量データが発生した時にボトルネックになっていたりすることが理由です。

また、そもそもランニングコストがかなり高くなっているケースもあります。そのケースに対しては、たとえばTROCCO®とSnowflakeとの構成やBigQueryとの構成に切り替えていただいています。」

塚本:「ユナイテッドアローズ様では、OMO戦略にTROCCO®を使っていただいております。

元々オンプレミスのデータウェアハウスを構築していたところ、データソースの拡張性や処理能力、保守・運用コストが課題となり、クラウド化に切り替えたそうです。データソースのつぎ込みにTROCCO®を使っていただいています。」

塚本:「メリカリ様の事例に関しては、どちらかというとマーケターよりはシステムインテグレーター向けのご紹介です。

今回参加されているお客様の中には、自社にエンジニアの方がいて、データ基盤も自社で保守・運用している方もいらっしゃると思います。パイプラインを自前でプログラムを作って、データソースごとに構築していくと、それだけ開発コスト・保守コストが同時にかかります。

そこで、TROCCO®を使っていただきたいです。TROCCO®は基本的にはGUIで操作し、細部をSQLで書いていただくだけで済むため、今まで数ヶ月かかっていたものが数時間、数週間で実現できるようになります。そして、開発コスト・保守コストの削減にもつながります。」

TROCCO®を用いたBIダッシュボードの例

塚本:「さいごに最終的な成果物をお見せします。

よくあるのは、マーケティング系の施策を確認したいケースです。たとえば、広告運用などでMAツールを使ってデータを貯めて営業活動し、どのような結果になったかを広告データごとに識別したいといった相談がよくあります。

しかしこのケースは、部署をまたいで複雑になりやすいため、データを収集して瞬時に返すことが難しいと思います。そういったケースも、データ基盤を使って適切にデータを出すお手伝いをさせていただいています。

広告のダッシュボードはクイックのコンバージョンレートが出せると思いますが、その後のLTVやROIに関しては、売上や営業の受注の金額などを加味しないと、意思決定に必要なデータを出すことが難しいです。

しかし、そういったケースもTROCCO®を活用すれば、部署を横断したデータ分析によって、BIダッシュボードを出せます。

これらはあくまで一例ですが、このような使い方もできることをご紹介させていただきました。」

まとめ

本記事では、Cookie に依存しない新しいデータ基盤のあり方と 1st party データの拡充方法、ユーザーの同意を適切に管理しながらデータを活用するポイントについて解説しました。

顧客データをうまく活用できず困っているマーケティングの方や、顧客データ基盤の構築を検討されているIT部門の方などは、本記事で紹介された内容を参考にしてみてはいかがでしょうか。

本記事内でも紹介いたしましたが、弊社の提供しているデータ分析基盤総合支援サービス「TROCCO®」は、データのETL機能を中心としたSaaSのサービスです。ETL機能以外にも先述した、メタデータ機能やデータカタログ機能、ワークフロー機能などデータ運用を総合的にサポートする機能を提供しています。

データの連携・整備・運用を効率的に進めていきたいとお考えの方や、プロダクトにご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。