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デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業の成長戦略において欠かせない要素となっている現代において、Chief Digital Officer(CDO)の役割がますます重要視されています。
CDOはデジタル部門における最高責任者のことを指します。企業のデジタル戦略を統括し、革新的な技術を活用して業務効率や競争力の向上を目指します。
本記事では、日本におけるCDOの設置状況やその必要性、そしてCDOが果たすべき役割について詳しく解説します。また、CDOとChief Information Officer(CIO)との違いや、具体的な役職についても触れ、現代企業においてCDOがいかに重要であるかを探っていきます。
この記事を通じて、企業のデジタル化推進におけるCDOの役割と求められるスキルについて理解を深めていただければ幸いです。
CDOとはデジタル部門における最高責任者のこと
冒頭でも解説した通り、CDO(Chief Digital Officer)とは、デジタル部門における最高責任者のことを指します。この章では、CDOの概要について詳しく解説します。
日本におけるCDOの設置状況
平成30年版情報通信白書『CIO・CDOの設置状況』によると、平成30年時点でCDOの設置について、日本において「設置済み」と回答した国内企業の割合は5.0%でした。この値は、イギリスの5分の1以下、アメリカやドイツの3分の1以下です。
設置済み | 未検討 | わからない | 検討中 | 検討後見送り | |
日本 | 5.0% | 22.4% | 61.8% | 8.4% | 2.4% |
アメリカ | 16.8% | 20.2% | 36.8% | 16.4% | 9.8% |
イギリス | 27.4% | 16.0% | 14.4% | 28.2% | 14.0% |
ドイツ | 16.4% | 22.2% | 19.4% | 26.4% | 15.6% |
一方、CDOの設置について「未検討」「わからない」と回答した割合はそれぞれ22.4%、61.8%であり、4ヵ国の中で最も高い値となっています。この結果は、DXへの関心度の低さ、それによるCDOへの認知度の低さが原因といえるでしょう。
CDOとCIOの違い
CDOと混同されがちな役職として、CIO(Chief Information Officer)があります。CIOは日本語で最高情報責任者と呼ばれ、主な業務はITシステムの保守・運用です。CIOは社内のITセキュリティを確保し、業務プロセスを改善します。
一方CDOのおもな業務は、デジタル部門の最高責任者として、DX推進やそれに伴うビジネス戦略の実施です。マーケティングやオペレーション、IT部門など、組織内の複数部門と連携し、データドリブンな意思決定を促進する役割があります。CDOは3C(Company、Customer、Competitor)全てを視野に入れ、経営目線で活動する必要があります。
近年では、DXの需要増加にともない、それぞれの役割と関係性が見直されつつあります。以前はCIOの設置が一般的でしたが、近年は代わりにCDOを置いたり、両者を置いたりするケースが増えています。もちろん、CDOとCIOの役割は企業によって異なるため、時に重複することもあります。CDOがデータドリブンな意思決定をサポートする役割については、企業によってはCIOも関与するこということもあるでしょう。
CDOが必要とされる理由
CDOが必要とされる理由は、おもに2つあります。
1つ目は、IT環境の最適化です。近年では、業務プロセスを改革し、市場での競争力を向上させるために、DX推進を最重要視している企業も多いでしょう。そこでCDOは、データ統合やデータのサイロ化解消などの指揮を執り、効率的なデータ活用を促進させます。
さらに、データガバナンスの監督やデータ品質の保持など、組織全体のデータマネジメントを統括する役割を果たします。
2つ目は、デジタル市場での競争力向上です。現代におけるデータは、新たなビジネスインサイトを発見するために、もっとも重要な資源といえます。そして、データ活用による予測分析や新ビジネスの創出がその企業の競争力に直結します。
そこで、CDOが組織内でのデータ活用を加速させ、データドリブン経営への舵取りを担う必要があるのです。
CDOと略される他の役職
CDOは、主に「Chief Digital Officer」のことを指すケースが多いですが、ほかにも「CDO」と略されることのある役職もあります。この章では、CDOと略される他の役職について解説します。
Chief Data Officer「最高データ責任者」
Chief Data Officer(最高データ責任者)は、データの活用と管理に関して責任を負う役職です。
デジタル領域は非常に広範であり、データのみならず、デジタルマーケティングやAI、IoTなど、さまざまな要素が含まれます。この領域の中でも、データに特化しているのがChief Data Officerです。
データの活用と管理が制限されている状態では、社内のDXを効率的に推進できません。そのため、両者は独立した存在でありつつも、Chief Digital OfficerはChief Data Officerの役割を包含し、その権限の一部を共有するケースがあります。
Chief Design Officer「最高デザイン責任者」
Chief Design Officer(最高デザイン責任者)は、組織内のデザイン全般に責任を負う役職です。このデザイン領域には、製品デザインやUIデザイン、ブランドデザインなど、その企業が提供するあらゆるデザイン要素が含まれます。
Chief Design Officerのおもな役割は、デザイン戦略の視点から、顧客体験の向上やロイヤリティの強化を行い、市場での差別化を図ることです。また、組織内でのデザイン文化の醸成を担い、他の戦略とシナジーを生み出す役割を果たします。
CDOに期待される役割
この章では、CDOに期待される役割として以下の4点を解説します。
- 企業価値の再発見
- デジタルマーケティングの推進
- DXによる企業全体の連携
- セキュリティ強化
- R&Dを促進
企業価値の再発見
データを効果的に分析・活用することで、企業は新たな視点から価値を再発見することができます。
先述したとおり、CDOはデジタル部門の最高責任者として、組織におけるDX推進の舵取りを行います。DXは全社的に行われてこそ意義があり、必然的にその規模も大きくなります。ゆえに、多くの組織において、DXそのものが戦略の中核になりがちです。
しかし、DXによって組織の構造や企業文化を変革する行為は、新たなビジネスインサイトを発見したり、顧客体験を向上させたりするための手段にすぎません。したがって、CDOに求められる本当の役割は「企業価値の再発見」であり、そのために企画や戦略立案を行うのです。
例えば、CDOはデータに基づいた意思決定を支援し、消費者のニーズに迅速に対応する製品開発やサービス提供の最適化を図ることができます。また、顧客の購買パターンを分析し、新たな収益源を見つけ出すなど、ビジネスチャンスの発掘に寄与します。
デジタルマーケティングの推進
CDOは、デジタルマーケティングの戦略を主導し、データに基づいたキャンペーンの最適化を行います。
マーケティングは、「いかにデータドリブンに意志決定できるか」に大きく左右されます。
たとえば、市場調査の際にはトレンドや競合の分析が大切ですし、マーケティング戦略を立案する際にはチャネルのパフォーマンス分析が重要です。デジタルマーケティングが効果的に実施できていない場合、顧客インサイトの喪失やROIの低下などを招くおそれがあります。
そこでCDOは、経営側の視点から、デジタルマーケティングを推進する役割を担います。デジタルプラットフォームを活用し、リアルタイムで消費者の反応や市場動向を把握することで、ターゲット層へのアプローチを改善します。
近年では、CDPやCRM、MAなどのデジタルツールが急速に発達しており、それらの選定は企業の競争優位性を維持する意味合いにおいても非常に重要です。
DXによる企業全体の連携
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進において、CDOは企業内の異なる部門やチーム間の連携を強化する重要な役割を担います。
DXを含むデジタル戦略を実現させるためには、各部門が一体となって機能する必要があります。そこでCDOは、部門間の連携を促進させる潤滑剤として、非常に重要な役割を果たすのです。
具体的な取り組みとしては、共通ビジョンの設定や業務プロセスの標準化、部門間でのコミュニケーション促進などです。また、DX推進にあたっては、データのサイロ化の解消がカギとなります。
この課題を解決するためには、まずデータ基盤の統合を行い、部門間のシームレスな連携を実現する必要があります。そこでCDOは、データ基盤を統合するためのツール/サービスの導入を検討し、最適なIT環境を実現させることが求められます。
セキュリティ強化
CDOは、データの管理と保護を徹底する役割を持ち、サイバー攻撃や情報漏洩から企業を守る責任があります。
組織のDXが進んでいくということは、それだけデータやデジタルツールに依存していくということです。自社の社会的信用を保持するために、CDOはセキュリティ強化にも真摯に取り組む必要があります。
データセキュリティを強化するための最初のステップは、データガバナンスの確立です。そのためにCDOは、データセキュリティポリシーの策定と実施の役割を担います。これには、データ漏洩対策やアクセス制御、データ暗号化などに関する規定が含まれ、セキュリティを包括的に管理できます。
DX推進の中で、新たなセキュリティリスクの発生はつきものです。CDOは、DXの各ステージにおいて、同時にセキュリティ対策を講じる必要があります。
R&Dを促進
CDOは研究開発(R&D)の分野においても、重要な役割を果たします。
企業が市場での競争力を維持するためには、継続的なイノベーションが欠かせません。そこでCDOは、既存の業務プロセスを改革するだけでなく、R&Dの推進を通じて、新たなビジネスモデルやデジタル技術を開発にも貢献するのです。
最近では、とくにAI・機械学習の領域が急激に発達しており、これらを活用したソリューションの研究開発も進んでいます。そのほかにも、AI・機械学習のR&D推進により、業務プロセスの効率化や顧客体験の向上、リアルタイムの市場対応が可能です。
CDOに求められる要素
CDO(Chief Data Officer)の役割は、データを活用して企業の成長を促進するために重要なポジションであるため、従来の役割と比べても多面的なスキルセットが求められます。
ここでは、CDOに求められる要素について掘り下げていきます。
積極性が高い
CDOには、対人関係において、高い積極性が求められます。DX推進には、新しいデジタル技術の導入が欠かせないため、それらに対する自身のビジョンを明確に伝え、チームメンバーへの理解を促す必要があります。DXに対して意欲的でないメンバーがいる場合でも、高いコミュニケーション能力で巻き込む力が必要です。
先述した通り、DX推進には全社的な協力が欠かせません。そこでCDOは、社内外のさまざまなメンバーとの橋渡しを行い、強固な協力関係を築いていく必要があります。そのためには、ステークホルダーとの対話や意思決定プロセスへの参加を積極的に行っていくことが大切です。
IT知識が豊富である
CDOは組織のDX推進の旗振り役であるため、当然、IT領域への専門性が求められます。IT領域はCIOなどに任せるケースも多いですが、ビジネスと技術をつなぐ役割を果たすためには、IT領域にも精通していることが求められます。
具体的には、新しいデジタル技術を選定、評価し、その企業に最適なソリューションを見極める力が必要です。とくに、AIや機械学習などを導入する際は、それらが単なる技術的負債とならないよう、動作原理やビジネス上の利点・欠点を深く理解しておくことが重要です。
リーダーとしての資質や豊富な経験
DX推進によって組織全体が変革する際、CDOは全ステークホルダーを統括する立場となります。ゆえに、チーム全体をまとめるリーダーとしての資質が求められます。また、チームをけん引するにあたって、これまでの豊富な経験に基づいた判断ができることも重要です。
新しいデジタル技術を導入したり、ビジネスモデルを転換する際には、自らが指揮を執り、その方向性を明確に示す必要があります。時には、DXに対して抵抗感を持つメンバーに対して、それを軽減するためのアプローチをとる必要性もあるでしょう。
経営についても造詣が深い
CDOは、ITだけでなく経営についても深く理解しておく必要があります。DX推進を実施した後には、新規事業の創出や顧客体験の向上など、いかに企業価値に還元するかが求められます。
また、DXは全社的に行う取り組みであり、その工数は必然的に高くなります。そこでCDOは、企業の財務状況やリソース配分を正確に把握し、効率的にその価値を最大化することが求められます。さらに、既存の組織文化や体制に適応させるために、経営の視点からメンバーをリードすることも重要です。
まとめ
本記事では、CDOの必要性や果たすべき役割、求められる資質について詳しく解説しました。
CDOは組織のDX推進や、それによる企業価値の創出を実現するうえで、非常に重要な役割を果たします。現在の業務プロセスに課題を抱いている方は、CDOの役割と求められる資質・経験を考慮したうえで、設置を検討してみてはいかがでしょうか。
しかし、DX推進に取り組む際には、データのサイロ化やレガシーシステムへの依存など、いくつかの課題に直面する企業も多いでしょう。
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