2023年7月1日にUniversal Analytics(UA)の計測が停止されました。

GA4についてのノウハウがまだ十分とは言えない中で、さらにGA4以外のCRM等の外部データと組み合わせて活用する方法を模索しているご担当者様も多いのではないでしょうか。

本記事では、2023年6月20日に開催されたセミナーをもとに、「GA4データとCRMのデータを繋げて、マーケティング費用対効果を可視化」を説明していきます。

GA4とHubspotを題材として、顧客データの統合/マーケティングレポートの自動化/コンバージョンAPIの活用など、実践的な活用方法について解説いたします。

また、それにあたり、TROCCO®の概要・基本的な機能についてもお伝えします。

  • Google Analytics4(GA4)へ移行したものの、上手く活用できていない方
  • GA4データを外部データと繋げて、マーケティング投資の最適化をする方法を知りたい方

このような方は、ぜひ本記事をご覧ください。

なお、当日のセミナーはこちらからご覧いただけます。

※本イベントレポートの内容は当時のものです。TROCCO®の利用や接続オプション等の利用の詳細について知りたい方はprimeNumberまでお問い合わせください。
https://trocco.io/inquiry/new

講演者紹介

堀川 工望

アンドデジタル株式会社 取締役COO

2016年ソウルドアウト株式会社に入社。SEM・SNS・フィード広告の運用部門を経験。2019年にデジタルオペレーションセンター四万十のセンター長に就任。並行してカシカ事業の立ち上げを担う。2021年にアンドデジタル株式会社に出向後、デジタルオペレーション本部長に就任。2023年1月より現職。

薬丸 信也

株式会社primeNumber カスタマーサクセス本部 Head of Business Development

株式会社キーエンスにて製造業向けコンサルティングエンジニアとして従事した後、株式会社primeNumberにパートナー営業・エンタープライズ営業としてジョイン。現在は、広告・IT関連から製造・小売りまで業界を問わず、データ活用基盤の構築を支援している。

SECTION 1

SECTION1では堀川氏より、「GA4データとCRMのデータを繋げて、マーケティング費用対効果を可視化」ついてご説明いただきました。

GA4移管が必要な状況について

堀川氏:「GA4移管が必要となる状況について解説します。

まず前提として、Googleは現行バージョンのユニバーサルアナリティクスのデータ収集を2023年7月1日に停止しました。それにより、多くの企業が利用しているユニバーサルアナリティクスから最新版のGoogleアナリティクス4への移行が必要な状況となっています。

ちなみにユニバーサルアナリティクスのサポート終了については公式サイトでも確認できます。

現在ほとんどの企業がユニバーサルアナリティクスを利用している中で、まだ新バージョンに切り替えていない企業も多いと思います。そのため、このようなセミナーに参加されている方も多いのではないでしょうか。」

GA4の新しい4つの特徴

堀川氏:「今日のテーマはGoogleアナリティクス4(GA4)について、とくにその新しい4つの特徴について解説します。その中でも、とくに注目すべき点はBigQueryとの連携が無償版でも可能となったことです。

まず、GA4の計測方法は従来のユニバーサルアナリティクスとは大きく異なり、指標の定義が大きく変化しました。また、ウェブサイトとアプリを横断して計測が可能になったのも大きな特徴で、これにより一元的な分析が容易になりました。

さらに、無償版でもBigQueryのログ出力機能が利用できるようになりました。これにより、各種イベントのログデータを詳細に取得し、深い分析を行うことが可能です。

くわえて、GA4では機械学習を活用する機能も提供されています。これにより、より高度な分析や予測が可能となります。

これらの新機能を最大限活用して、マーケティングにおける効果測定をより高度に実践できます。」

Googleアナリティクス4とBigQueryの連携について

堀川氏:「Googleアナリティクス4とBigQueryの連携について説明します。

BigQueryの設定をすでに用意してある場合、管理画面から出力設定が可能です。これによりGoogleアナリティクスから直接データを取得して、BigQueryに送信できます。

この設定を行えば、翌日からデータが自動的に出力されます。管理画面から簡単に設定できるため、これによるデータ連携作業は非常に簡単です。」

BigQueryログの利用難易度は高い

堀川氏:「Googleアナリティクス4(GA4)の新しい機能により、マーケターはBigQueryとGAを連携し、より詳細かつ深いデータ分析が可能となりました。最終的にはマーケティングの効果をさらに高めることが期待されます。

しかし一方で、その実現にはいくつかの課題が存在します。その一つは、BigQueryの使用難度の高さです。それはデータが複雑な構造をしているため、セッションやユーザーデータを抽出するだけでも一定の技術が必要となります。

また、データの抽出自体も自動化が難しく手動で行う必要があるため、工数が増えるという問題があります。また、GAと連携していた外部ツールがGA4に対応していない場合も多く、これによって新たなレポーティング工数が増える可能性があります。

さらに、GA4のAPIを利用する場合でも、課題が存在します。UAは長い間存在していたため、それに対応するツールやレポーティングシステムが充実していました。しかしながら、GA4への対応がまだ進んでおらず、デベロッパーがAPIを利用してデータを抽出し、レポーティングするには、一定のプログラミングスキルと時間が必要となります。

ですが、最近、TROCCO®がGA4のデータ転送先に追加され、今後はデータ抽出やリポーティングを自動化しやすくなることが期待されています。これにより、GA4の使用が、マーケティング効果の向上に繋がる可能性があります。」

GAのデータを確認するだけであれば、Looker Studioがおすすめ

堀川氏:「Googleアナリティクス4(GA4)のデータについて解説します。

データ確認を行う場合は、Looker Studioを推奨します。GA4の管理画面自体も十分使えるのですが、自由度が求められるレポート作成には苦労するかもしれません。

それに比べてLooker Studioは、直感的にレポートを作成できるため手間がかかりません。また、Googleが提供する無料のダッシュボードツールや、自身の業務に必要なデータだけを抽出する場合にも、Looker Studioは適しています。

したがって、とくにデータを確認するという目的がある場合は、Looker Studioが一番の選択肢になると言えるでしょう。」

GA4データを外部で利用する際のベストプラクティス

堀川氏:「Googleアナリティクス4(GA4)のデータを外部で利用する際には、データAPIやLooker Studioがおすすめですが、別途BigQueryのログも活用できます。とくに管理画面のデータをそのまま扱いたい場合は、データAPIとLooker Studioが手頃な選択肢となるでしょう。

Looker StudioのGA4コネクタはGUIを使って簡単にほぼすべてのデータを取得でき、自分だけのダッシュボードを作成することも可能ですが、Looker Studio外での利用ができない制約があります。

そこでData APIを活用すると、ほしいデータをそれぞれ転送し、自分で管理できますが、それぞれのデータを転送設定する手間が発生します。

一方、BigQueryエクスポートでは、データ量が膨大になることでBigQueryのコストがかかるというデメリットがありますが、一方で詳細なユーザーセグメントを作成するなど、高度な分析に活用することが可能です。

それぞれの特性とメリットデメリットを理解して、目的に応じて適切に使用することが重要です。」

GA4 と MA・SFA・CRMで費用対効果を可視化する

堀川氏:「今回の主題である、Google Analytics 4 )GA4)とHubspotやSales Force Automation (SFA)を組み合わせて、マーケティングの費用対効果を可視化する話題に移ります。

本日紹介するのは、GA4(Google Analytics)とマーケティングオートメーション(MA)、SFA(Sales Force Automation)、CRMツールを統合し、その効率的な運用方法についてです。

主に、TROCCO®を活用して、各種サービスから必要なデータを転送し、Google BigQueryで一元化し、加工を行い、それをデータウェアハウスとして構築する手法について解説します。

このデータ活用により、ビジネスインテリジェンス(BI)ダッシュボードの作成、広告の効果分析、組織内の管理表の作成、データの更新など、多様な用途で活用することが可能です。

たとえば、広告のデータやGA、Hubspot、kintoneのデータ、Google SheetsのマスターデータやFTPファイルなどをTROCCO®を使ってBigQueryへ統合します。そして、そのデータを基にダッシュボードを作成したり、各種分析に活用したりします。

これら活用事例は、TROCCO®を使えば実現可能です。まずはこういった仕組みを紹介していきます。」


ユーザーに対する適切なプライバシーポリシーの運用が大切

堀川氏:「本日は、GA4とHubspotやSFAといったCRMツールとの統合を通じてマーケティングの費用対効果を可視化する方法を解説します。

統合したデータをダッシュボードで表示し、費用対効果を一目で把握できるようにするだけでなく、Hubspotのプロパティ値更新や広告のオフラインコンバージョン連携などにも応用可能です。

ただし、ユーザーに対する適切なプライバシーポリシーの運用が必須となります。それぞれの企業がその責任を理解した上で、実行に移してください。」

費用対効果とはなにか

堀川氏:「GA4データとCRMのデータを利用し、HubspotやSFAを用いてマーケティング活動のコスト対効果を可視化する方法について説明します。

まず、費用対効果とは何かというと、これはビジネスにおいて、投資が実際にどれ程の効果をもたらしたかを示す指標のことを指します。ROIやROASとも言われることのあるこの指標は、原因と結果の関係性を明確にするために使われます。

たとえば、Google広告に100万円投資して新しい見込み顧客50件を獲得したとしたら、その投資に対する効果は50件の新規顧客獲得です。

あるいは新規営業マンを年収500万円で採用した結果、既存顧客のアップセルにより1000万円の売上を達成したとすれば、その投資の効果は1000万円の売上達成です。

また、Hubspotを月10万円で導入した結果、社員の残業時間が40時間削減したとするなら、その投資の効果は40時間の労働時間削減です。

これらのような投資とその効果の関係性を明確にすることで、より効果的な投資戦略を立てることが可能になります。」

具体的な費用対効果の計算

堀川氏:「施策ごとの効果を把握するためには直接的なデータの付き合わせ、或いは推計が必要です。

たとえば、Yahoo!広告を50万円、Google広告を50万円配信したとします。全体で受注が8件あった場合、その受注1件あたりのコストは12.5万円ですが、これは広告の種類ごとにどの程度の効果があったかはわかりません。

Yahoo!広告を50万円投下して商談が2件成立し、Google広告を50万円投下して商談が6件成立したとします。この時、Yahoo!広告は一つの商談ごとに25万円、Google広告は一つの商談ごとに約8.3万円という明確な費用対効果が計算できます。

このように具体的なデータによる評価が可能となり、どちらの広告により良い成果があるか、どちらに投資をするべきかといった判断が可能となります。」

Web広告でユーザーが流入してから、受注になるまでのフロー

堀川氏:「インターネット広告からユーザーがサイトに流入し、その後受注に至るまでの過程を解説します。

GA4とHubspotを活用してマーケティングと営業活動の効果を可視化できます。具体的には、広告が配信され、ユーザーがそれをクリックして自社のWebサイトに訪れる流れです。

そこからは特定のLP(ランディングページ)があり、その後ユーザーがサンクスページに遷移します。その情報がHubspotに集約され、どの方向からのユーザーが売り上げ・受注につながったかを把握できます。

広告代理店として、このようなプロセスを多くのケースで対応してきました。広告からの流入、自社での計測、リード獲得などは一通り済むものの、特定のリードがどこから来たかまでを把握するのは難しい部分でもあります。ここでは技術的な不足が見られ、最終的な費用対効果が計算できないケースが多いのです。」

導入元の取得と管理はGoogle アナリティクスの得意分野

堀川氏:「GA4とHubspotやSFAを活用してマーケティングの費用対効果を可視化する方法について解説します。

Googleアナリティクスは、サイトへの流入元の取得と管理を得意としており、リファラーやパラメータ情報から流入経路を記録し、どの経路がコンバージョンに繋がったかを確認できます。

具体的には、流入チャネルごとのユーザー数やセッション数、それらがコンバージョンに至った経路を視覚化することが可能です。

したがって、これらの分析結果をCRMと繋げれば、さらに詳細なマーケティングの費用対効果を計測・分析できます。

このGAとCRMのデータを繋げる作業は非常に重要で、そこにフォーカスを当てて解説していきます。」

Web広告でユーザーが流入してから、受注になるまでのフロー

堀川氏:「Web広告からユーザーが流入し、最終的に受注に至るまでのフローを追跡する手法について説明します。

多くの企業が抱える問題として、リード元、つまりどの広告メディアからユーザーが流入したかが把握できないという課題があります。

GA4のデータとCRMのデータを連携させることで、この問題を解決します。その結果、各広告メディアから自社ウェブサイトに訪れたユーザーが、後にどれだけ受注につながったのかを可視化することが可能になります。

具体的には、Hubspotから問い合わせがあった場合、この問い合わせがどこから来たのかを判別する方法について解説します。」

流入減の取得と管理はGoogleアナリティクスの得意分野

堀川氏:「この流入元の判別が、効果的なマーケティングのための重要なポイントとなります。GA4とHubspot・SFAを連携させることで、マーケティングの費用対効果を明確に可視化する方法を示します。

Googleアナリティクスは、各セッションがどのような経路を通じて流入し、それがコンバージョンに至ったのかを記録します。これにより、リファラーやパラメータなどの情報を用いて流入元を取得・管理することが可能です。

たとえば、それぞれの流入チャネルのユーザー数や、コンバージョンに至るまでの経路を可視化することで、データを基にした効果的なマーケティング戦略を策定することが可能です。

具体的な可視化例としては、スライドに示す通りです。」

リード単位の流入元がわからない場合

堀川氏:「Web広告から流入したユーザーが最終的にどのように受注に繋がったかというフローを追いかけます。

しかし、一般的な問題の一つに、”リード単位の流入元”、つまりどの広告媒体からユーザーが来たのかを特定できないという点があります。これが原因で、各広告の費用対効果を正確に評価し、次のマーケティング戦略に反映することが難しくなります。

図のとおり、広告メディアからユーザーが自社ウェブサイトに流入し、そこで行われるGA4の計測や広告媒体の計測などのデータはHubspotに集約されます。そして最終的にそのデータがSFAを通じて受注、つまりコンバージョンにつながるのです。

しかし、この全体のフローの中で「広告媒体から受注まで」を一貫して追跡、評価できていない部分が存在します。それが正確にはどこからウェブサイトにユーザーが入ってきたのか、という情報の欠落です。

それぞれのユーザーが具体的にどの広告からアクセスしたのかを特定して追跡することで、それぞれの広告の費用対効果を正確に測定することが可能となります。」

Googleアナリティクスはコンバージョンに至るまでの追跡が可能

堀川氏:「Googleアナリティクスは流入元の取得と管理に優れています。具体的には、サイトへの流入時に直前のドメイン情報やパラメータ情報からどの経路でユーザーが訪れ、どのコンバージョンに繋がったかを記録します。

流入チャネルごとのユーザー数やコンバージョンに至った経路を、デフォルトチャネルグループや参照元メディアといった単位で分析できます。どのマーケティング活動が効果的であったのか、コンバージョンに至るまでのユーザー行動を追跡することが可能です。」

Hubspotにも流入を計測する機能自体は存在する

堀川氏:「Hubspotには元々アクセス解析機能が存在し、ユーザーの流入元を記録できるのですが、その機能はマーケティング現場で使いづらいと感じる方も多いようです。その主な理由として、流入元情報の生成方法がラストクリックアトリビューション(リードが送信されたセッションの流入元)に対応できない点が挙げられます。

これは、ユーザーが最初にウェブサイトを訪れたときの流入元情報と、最後に訪れたときの流入元情報がどちらも記録されていて、どちらを評価すべきかが明確ではないためです。

そのため、ウェブサイトの流入元情報をもっと精度高く取得し、Googleアナリティクスと連携してマーケティングの効果を把握しようと考えている企業が増えています。」

広告媒体単位の直接的な費用対効果を算出するためには

堀川氏:「HubspotやSFAを活用して、マーケティングの費用対効果を可視化するためには、広告媒体別の直接的な費用対効果を算出する必要があります。これは、GA4のコンバージョンイベントデータとHubspotのフォームプロパティに共通の値(キー情報)を持つことで、GA4とHubspotの間の対応関係を確立することで可能になります。

つまり、GA4から取得したデータを、Hubspotと連携させるためには何らかのキーアイテムが必要になります。

たとえば、利用者がGoogleからアクセスした場合、Google広告のタグ情報が、マーケティング活動の成果と結び付けられます。そして、コンバージョンが起きた際には、特定のキーを発行してHubspotがそれを保持するように設定します。

それにより、Hubspotのリードはどの媒体からやって来たのか、そしてそのリード取得のためにどれだけの投資がなされたのかが明らかになり、その結果を元に効果的なマーケティング戦略を検討することが可能になります。」

GA4の参照元/メディアなどの流入元ディメンションには3種類ある

堀川氏:「HubspotやSFAを使って、マーケティングの費用対効果を可視化するためにGA4の参照元/メディアなどの流入元ディメンションが大切です。

具体的には、流入元ディメンションにはセッションの参照、ユーザーの参照元/メディア、そしてアトリビューションの3種類があります。

セッションの参照はセッション開始時の流入元を定義し、多くの指標と組み合わせることが可能ですが、UAの参照元/メディアとは異なる定義を持つため、注意が必要です。

その一方でユーザーの最初の参照元/メディアはユーザーが初めて流入した時の情報を持つディメンションで、ユーザー単位での分析が可能です。ただし、組み合わせる指標やディメンションが限られます。

一方、アトリビューションはコンバージョン計測の「アトリビューションモデル」が適用されたCV数を返し、セッションの流入元ではなくイベント単位の流入元を定義します。

これらのディメンションを上手く利用し、どのコンバージョンがどこから来たのかを評価することが重要です。とくにユーザーの初回参照元/メディアを使うと、複数のパターンを試すことができ、効果的なレポート作成に役立つと考えています。」

Looker Studioのレポートイメージ(サンプルデータ)

堀川氏:「Looker Studioを使用してレポートを作成するイメージをご紹介します。

例としてあげているサンプルデータでは、獲得単価や総獲得単価などが具体的に示されています。これらのデータは、広告による成果だけでなく、自然検索からの成果も含めて統合的に分析・評価することが可能です。

このようにGA4とCRMのデータを活用することで、マーケティングの効果を正確に把握し、効率的な戦略を立てることが可能になります。

具体的には、問い合わせが来た際に、今回の報告と自然由来のもの、そしてその他というふうにリードを区分します。お問い合わせの発信源がわかることにより、費用対効果の内訳が理解できるということです。」

堀川氏:「各商品カテゴリーに対するマーケティングのパフォーマンスを評価できます。

たとえば、ダッシュボードの数値、広告の表示回数やクリック数のような広告費用などです。そして、それがどの程度問い合わせや提案、注文などの結果につながったのかといったデータを分析します。

これにより、具体的なセールスや収益に貢献したマーケティング活動の効果を確認できます。これらのデータを統一的に管理し、適切に分析を進めることが重要です。」

ダッシュボードだけでなく、ツール間連携や広告コンバージョン送信などにも展開できる

堀川氏:「この可視化はダッシュボード表示だけでなく、ツール間のデータ連携や広告のコンバージョン送信にも広がっています。

近年、データの活用方法として、SaaSツール間のデータ連携や広告媒体APIを利用したコンバージョン送信が進んでいます。

これらの設定や管理も、TROCCO®を用いて可能です。使用するデータソースは、広告データ、Google Analytics、Hubspot、kintone、Google sheet、FTPファイルなど多岐にわたります。

たとえばHubspotなどで集計されたデータが更新されると、その情報をHubspot側に返して、マーケティングオートメーションのメール送信に利用できます。

また広告代理店によく利用される方法として、企業ごとの売上データや注文データをコンバージョン情報として媒体側に返し、その上で機械学習による最適化が行われます。

これらのデータ連携は、データ環境そのものを強化すると同時に、広範な活用が可能となります。データを連携させることにより、企業ごとの費用対効果を高める期待ができます。」

GA4とHubspotを紐付けるための設定方法

堀川氏:「GA4とHubspotを連携させる設定方法について説明します。

まずは、キーとなる情報の取得に追加設定が要求されます。その後、GA4のコンバージョンイベントデータとHubspotのフォームプロパティが同じ一意の値(つまり、キー情報)を持つことで、両者の連携が可能になります。

具体的には、GA4の各イベントデータやHubspotのコンタクト情報、媒体やキャンペーンの詳細など、全てのデータを連携することがポイントとなります。そのため、Googleアナリティクスがコンバージョンした時に保持する情報とHubspotが保持する情報が同じであることが重要です。

これがデータの紐付けにおける主要なポイントであり、これによりマーケティングの費用効果を可視化することが可能になります。」

Hubspot以外も含む一般的な作業フロー

堀川氏:「一般的な作業フローでは、ウェブサイトの問い合わせフォームや注文システムで取引IDが発行される場合、これを活用することで比較的スムーズに対応できます。

エレクトロニックコマースのウェブサイトなどでは、ウェブサイト制作会社やベンダーに依頼して取引IDパラメータを追加したGA4イベント設定を行います。

また、Hubspotのようなツールでは、Googleタグマネージャ(GTM)を利用してフォームの隠し要素に任意値を追加します。そして、個人情報ではないフォームの入力項目を取引IDパラメータとして設定したGA4コンバージョンイベントを送信します。

ただし、Googleアナリティクスの利用規約では、個人情報として扱われるデータを直接送信することは禁止されているため、注意が必要です。」

GA4側でも同じ取引が可能

堀川氏:「ある特定の取引に対して一意のID(トランザクションID)を付与し、それをパラメータとしてGA4に送信することで、GA4側でも同じ取引を特定することが可能になります。

この手法は、直接データを送信する時にも応用が効きます。具体的にはJavaScriptのライブラリを使って、購入された商品の情報と一緒にトランザクションIDも送信できます。

この仕組みがあれば、後日CRMシステム上のデータとGA4のデータを紐づけることが可能となります。

また、Google Tag Managerを使用してGA4のイベント設定を行う場合も、イベント名とパラメータ名を設定することで取引IDを送信することが可能です。

今回の方法を利用することで、具体的な取引データを用いた分析が可能となり、より効果的なマーケティング活動が行えます。

GA4とHubspotを紐付けるためのキー情報の取得には、追加の設定が必要となります。

GA4のコンバージョンイベントデータとHubspotのフォームプロパティに同じ意味を持つ値を設定することで、GA4とHubspot間の連携が可能になります。

具体的には、GA4からはユーザーの行動データを、Hubspotからはそのユーザーのコンタクト情報を取得します。

さらに、原稿メディアとキャンペーン情報も取得し、これらの情報を使って個々のユーザーがどのメディアやキャンペーンから来たのかを特定します。

結果として、どのメディアやキャンペーンがどの程度効果的だったのかを把握できます。」

Hubspotで非表示のフォームフィールドを作成する方法

堀川氏:「Hubspotでは、ユーザーには見えない非表示のフォームフィールドを作成することが可能です。そして、その非表示フィールドにGoogle Tag Manager(GTM)から取引IDと同じ値を挿入することで、Hubspot上でその値を受け取ることができます。

これにより、ユーザー行動の追跡が可能になり、より精度高くマーケティングの効果を分析できます。詳細な設定方法はHubspotの公式ヘルプを参照していただくと理解が深まるでしょう。

一般的な作業フローにおいては、Hubspotだけでなく他のCRMシステムも含まれます。具体的には、”transaction_id”というパラメータでキー情報を送信し、GA4側ではそれを「取引ID」というディメンションで受け取ることができます。

Google Tag Manager(GTM)を用いてGA4イベントを設定する例も紹介します。スクリプトを設置して、”purchase”というイベントで、情報や商品に関するデータを送信します。

また、取引IDをHubspotのノートにも同一の値として登録することで、データの一元管理が可能となります。

以上の設定を行った上で、TROCCO®がどのような設定を行うかは、状況により変化します。」

TROCCO®のGA4転送設定例

堀川氏:「GA4とHubspotの紐付け設定方法、とくにTROCCO®のGA4転送設定例を説明いたします。

最初に基本的な設定、結果のタイムスタンプの形式を解説します。

BigQueryの出力結果は、日付、取引ID、参照元/メディアの情報、及びコンバージョン数が入ったJSON形式のデータとなっています。

具体的には、たとえばgoogle/cpcから来た顧客が何回トランザクションを行ったか、といった情報が取得できます。これにより具体的なマーケティング費用対効果を可視化できるようになります。

また、とくに最近TROCCO®に追加された機能で、トランザクションIDや参照元/メディア情報などを設定し、そのデータをBigQueryへ転送できるようになりました。

これにより、参照元メディアからどのようなトランザクションが行われたかといった詳細な情報が取得できるようになります。」

堀川氏:「まず、TROCCO®を使ってHubspotのデータをBigQueryに転送します。次に、「取引ID」を受け取るようにカラム定義を設定します。この設定により、新規リードが作成されるたびに関連する取引IDを取得できます。

さらに、GA4のデータと結合することで、各コンタクトがどの媒体から獲得されたかを明らかにできます。この手続きを通じて、リードの参照元を追跡し、全体的にマーケティングの効果を見ることができます。

具体的な手段を用いてGAとHubspotを組み合わせることで、全てをつなげるような環境を構築することが、今回のプレゼンテーションで伝えたかったポイントです。」

堀川氏:「GA4とHubspotを連携させ、TROCCO®の設定を用いてデータをBigQueryに転送する設定方法を解説します。

この設定例では、タイムスタンプやトランザクションIDなどを含む各種情報がBigQueryに出力されます。右のスライドでは管理画面からアトリビューションモデルの選択が可能です。

たとえば「ラストクリック」や「データドリブン」等を選ぶことが可能です。これにより、コンタクト点ごとにデータを割り振ることができます。

とくに「データドリブン」を選択した場合、一つのコンバージョンに対して複数の参照元が割り当てられる形となります。これはデータの扱いがやや複雑になりますが、それに対応するための設定も可能です。

最後に、どのモデルを使用すべきかについては、それぞれのビジネス状況などを考慮して決定することが重要です。その選択と設定方法がマーケティングの効果測定の一つのキーポイントになると考えています。」

データ環境構築のお困りごとはぜひアンドデジタルにご相談ください!

堀川氏:「アンドデジタルでは、データ環境構築における課題解決をお手伝いいたします。

「カシカシリーズ」というサービスでは、データ環境の要件定義からデータ収集、統合、そして可視化まで一貫して提供します。

サービス内容は大きく3つあります。第一に「パッケージレポート」では、事前にこちらで定義したダッシュボードを提供します。広告やGA、Instagramレポートなどが含まれます。

第二に「カスタマイズレポート」では、お客様のご要望に合わせて要件定義から始め、BigQueryのデータ環境とダッシュボードを提供します。

第三に「コンサルティング」では、データ環境構築に関するアドバイスやLooker Studioの活用など、お客様のインハウス運用を支援いたします。

今回は一部を紹介しましたが、他にも経営データなどのダッシュボード構築や、スタジオの制作、運用支援など、お客様の具体的な課題に合わせて支援することが可能です。

お困りの点やご要望がありましたら、ぜひご相談ください。以上が私からの解説となります。次は薬丸さんからの紹介に移ります。ありがとうございました。」

SECTION 2

SECTION 2では、primeNumber薬丸より、TROCCO®の概要とhogehogeについてお話ししました。

データ統合を高速に実現するTROCCO®とは

薬丸:「TROCCO®はデータ統合を高速に実現するツールであり、これを利用すればGA4データとCRMのデータをつなげて効率的にマーケティング費用対効果を可視化できます。

TROCCO®は、データエンジニアリングやモダンデータスタック領域に必要な技術スタックを提供するサービスです。

その提供する機能として四つ大きな柱があります。

一つ目は、複数ソースからのデータを統合し、適切に加工することが可能な、データ転送・ETL機能です。

二つ目はデータマート生成・モデリング機能です。こちらで、データウェアハウス内のデータを分析に適した形に加工できます。

三つ目の機能はワークフローです。これにより、ジョブの依存関係やスケジューリングをDAGで設定し、自動化することが可能です。

最後に、メタデータ管理・データの関係性把握を行うデータカタログ機能です。これにより、分析作業を容易に行うことが可能になります。

各機能はデータエンジニアリングやデータ統合といった通常は複雑な作業を、できるだけ簡単に行えるように設計されています。」

データ分析基盤にビジネスデータを統合すると…

薬丸:「TROCCO®では、Googleアナリティクス4(GA4)データとCRM(顧客管理システム)のデータをリンクさせ、マーケティングの効果を明確に可視化することができます。マーケティングの投資対効果を評価するために活用できます。

このセミナーでは、Google AnalyticsとCRM(顧客管理システム)のデータを統合し、それをビジネスデータ分析基盤として活用する方法について解説しました。とくにツールの一つであるGoogle Analytics 4とそのデータウェアハウス(DWH)や他の広告媒体などから得たデータとを一箇所に集めて管理し、それらを活用しやすい形に加工する方法について説明しました。

また、このようにして統合された信頼性の高いデータをベースに、さまざまな角度から分析を行うことが可能になります。具体的にはHubSpotやkintoneなどのツールのデータも統合し、全体のマーケティング費用対効果を可視化できます。

ただし、ここで重要なのはツールの選択だけでなく、そのデータベース構築や分析モデリング、ワークフロー管理なども適切に行うことです。なぜなら、それらも全体のデータ分析に大きく影響を与えるからです。その際にはデータ収集部分で課題を感じている方にとっても有用なアドバイスが含まれています。」

データ分析基盤の構築・運用でよくある課題

薬丸:「データ分析基盤の運用や構築には一般的に多くの課題が存在します。

たとえば技術のキャッチアップや運用維持に時間がかかること、必要な技術スタックが多いため学習コストが高いこと、それによりエンジニアのバージョンアップ対応や予測できない障害対応といった工数負担が増大する問題などです。

データ分析基盤の必要性は理解していても、構築に必要な工数やコスト、技術や知識の要求に見通しを立てるのが困難で、適切なリソースの配分が難しいという問題もあります。

さらに、データ活用のための新規連携に多くの時間を必要とし、そのためにデータの活用スピードが遅くなってしまう問題もあります。

これらのような課題は、各ツールの取り扱いにおいても共通して見られるもので、それぞれがプロジェクトのスピード感を阻害し、データ活用を遅らせてしまう可能性があります。」

TROCCO®はデータ分析基盤の運用や構築に関する課題を解決

薬丸:「TROCCO®のマネージドサービスを活用することで、低い学習コストで設定やデプロイをGUI上で簡単に行え、構築・運用が可能となります。

また、OSSのバージョンアップの自動対応やエラー対応など、運用保守面の機能も充実しています。

TROCCO®は初期費用が0円で、最短1日で構築可能なため、小規模トライが可能です。また、フリープランも存在し、データ分析基盤が開発なしで構築できます。

データ分析を最初に試してみるためのハードルを低くしています。広告やSaaSを含む約100種のコネクタと連携が可能で、データ分析基盤の拡張をすばやく、そして低コストで進めることができます。」

データ分析基盤構築でTROCCO®の役割

薬丸:「TROCCO®はデータ分析基盤の構築を迅速に行います。これにより、Google AnalyticsやGoogle Analytics 4、BigQuery、Hubspotなど、さまざまなデータソースから収集したデータを統合、加工、管理し、その全体の流れを自動化できます。

一例として、Hubspotから出力されたデータを取得し、それを加工して可視化できるようにするといった管理作業を行います。その結果、システム全体が高速に動作し、データベースの効率的な組み立てが可能になります。

これらの作業は、データレイク、データウェアハウス、データマートなどといった概念とも連携して行われます。」

データ転送の設定について

薬丸:「データ転送の設定について説明します。

まず、転送元と転送先を選択します。これは、たとえば、GA4からCRMにデータを送るといったケースを想定しています。

次に、これらの転送元・転送先に関する詳細情報を入力します。TROCCO®のユーザーインターフェースはシンプルなため、データパイプラインの構築が非常にスピーディーに行えます。

最終的には、自分が望む形式にデータを加工でき、プレビューを見ながら改善できます。これにより、必要なデータを効率的に送ることが可能になります。」

豊富なコネクタ

薬丸:「TROCCO®では、100種類以上のコネクタを利用してデータパイプラインを作成できます。その中には広告系のデータソースだけではなく、たとえばこのセミナーで取り上げているHubspotや、各種コンバージョンAPI、さらにはさまざまなデータベースといったものが含まれます。

これらの幅広いコネクタを利用することで、非常に多様なデータを組み合わせて分析することが可能になります。」

データマート生成(SQLによるデータ変換)

薬丸:「TROCCO®では、データウェアハウス(DWH)内のデータを変換・集計するカスタム機能を提供します。それだけでなく、BigQuery / Redshift / Snowflakeといった各種プラットフォームに対応しています。

また、レポート作成を自動化することも可能で、分析用のレポート生成や、名寄せ処理、不要なデータの排除などを定義し、それらを任意のDWHにて定期実行できます。

加えて、TROCCO®のマート生成定期実行・カスタム変数・Slack通知機能も利用可能です。

たとえば、BigQueryでデータを転送した後、データの変換や、特定のトランザクションIDのコピーを行う処理をSQLで記述できます。

そして、これらの処理をワークフローに組み込むことでスケジュール化し、自動実行できます。

このようなデータマートの構築からデータの連携まで一連のフローを自動化します。たとえばデータ取得が失敗した際のリトライや通知を行うことで、マーケティングの効果分析をよりスムーズに行えるようになります。」

基本料金

薬丸:「TROCCO®にはいくつかのプランがあり、それぞれのニーズや分析基盤の運用フェーズに合わせて選択できます。初めての方は無料のフリープランから始めて、データ連携先が増えるにつれてStandardプランに移行する、などの利用が可能です。

紹介したTROCCO®のフリープランでは、Google Analytics 4(GA4)のデータ連携が無償で可能で、2コネクタ・10時間/月まで利用できます。それを活用して、たとえばGoogle AnalyticsのデータとHubspotのデータを一度に抽出し、それらを突合せて結果を可視化できます。

また、それ以上の種類のデータコネクタが必要な場合は、有料プランも紹介しました。これにより、たとえばHubspot等のさまざまなデータを容易に集めて、広告効果などを分析できます。」

※2023年6月時点での料金プランです。詳しい料金プランを知りたい方はこちらよりお問い合わせください。

本日のまとめ

薬丸:「本日のセミナーでは、GA4データとCRMのデータを繋げて、マーケティング費用対効果を可視化する手法について解説しました。

TROCCO®では、移行データのパイプラインを簡単に作成できます。その他、UAやGA4以外のサービス、たとえば今回紹介したHubSpotなどとデータの連携も可能です。拡張性があるため、各々のニーズに合わせて使用できます。

ぜひ一度、このサービスを試してみてください。今日のセッションが、皆様にとって有益な情報であれば幸いです。」

まとめ

本セミナーでは、GA4データとCRMのデータを繋げて、マーケティング費用対効果を可視化する方法についてを詳しく解説しました。

さらに、データ分析ツール「TROCCO®」との組み合わせにより、GA4のデータを効率的に活用する方法も紹介しました。TROCCO®を使用することで、GAデータのさらなる活用が可能となります。

データ分析に関する課題を抱えている方、またはGA4データとCRMのデータを繋げることに興味がある方は、本内容を参考に、データ分析の更なる効果的な活用を目指してみてください。

データ基盤の総合支援サービス「TROCCO®」は、データの統合や分析をサポートする多機能なツールです。データの連携・整備・運用を効率的に進めていきたいとお考えの方や、プロダクトにご興味のある方は以下よりぜひ資料をご覧ください。