データドリブン経営を推進する上でCFO組織の役割にも変化が生じています。FP&A(Financial Planning & Analysis)はCFO組織に設置され、各事業における財務/非財務の目標設定や分析を行うビジネスパートナーとしての役割・機能を担うという考え方です。そしてこれを実現するために財務/非財務に関わらず必要なデータを収集・分析する基盤の整備が重要になります。そこで本セッションではこの領域の実践者をお招きし、弊社の自社事例もご紹介しながらCFO組織の在るべき姿を考察していきました。
登壇者紹介
石橋 善一郎氏
千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科 教授
一般社団法人日本CFO協会 「FP&Aプログラム運営委員会」 委員長
米国管理会計士協会(IMA) 日本支部 President
坂上 亮介氏
LINEヤフー株式会社 上級執行役員 CFO(最高財務責任者)
株式会社primeNumber 社外取締役
藤井 裕貴氏(開催当時当社在籍)
株式会社primeNumber
コーポレート本部 VP
経営管理(FP&A)組織に求められるスキルセット構築への取り組み
石橋氏:FP&A組織はグローバル企業では1990年代から存在します。近年、日本企業においてもFP&A組織を導入しようという流れが始まっています。グローバル企業はFP&Aにどのように取り組んでいるのでしょうか。今回のセッションでは、グローバル企業においてFP&Aがどのように導入されているかについてお話しします。
まず最初にお伝えしたいのが、FP&Aプロセスは、経営管理の仕組みであるという点です。
米国管理会計士協会(IMA)の手引書、『効果的なFP&Aプロセスの12の原則』を基に、FP&Aプロセスという仕組みはどのような要素から成り立っているのかをご紹介します。これまで日本企業で採用されてきた経営管理プロセスとは内容が異なっています。FP&Aプロセスは、3つの大原則と12の原則で構成されています。
FP&Aプロセス : 3つのPDCAサイクル
まず1つ目の大原則が、「経営管理プロセス」です。キーワードは「事業戦略の実行」です。事業戦略を事業部門レベルで実行することが目的です。経営管理プロセスは、「計画プロセス」と「統制プロセス」という2つのプロセスから成り立っています。計画プロセスにおいて、年度予算を作成します。年度予算で設定した営業利益目標を達成するのが統制プロセスです。このプロセスが、「経営管理プロセスのPDCAサイクル」になります。
今回のセッションで伝えたいメッセージが、FP&Aプロセスの中心にあるのは計画プロセスではなく、統制プロセスであるということです。向こう12ヶ月先、18ヶ月先の営業利益を対象としたローリング予測を毎月、作成し、営業利益目標に対するギャップを分析して迅速にアクションを取ることで、事業戦略を実行するのです。
次に、2つ目の大原則が、「マネジメントコントロールシステム」です。組織構成員の人たちに年度予算で設定した営業利益目標の達成に当事者意識を持ってもらうために、財務上および業務上の業績に対して金銭的な報酬を支払います。「マネジメントコントロールシステムのPDCAサイクル」を回すことによって、「経営管理プロセスのPDCAサイクル」を回すイメージです。
最後に、3つ目の大原則が、「事業戦略を実行するためのドライバーやKPIを設定する」です。事業戦略を実行するために必要なドライバーやKPIを設定し、目標を達成するために投資活動を行ないます。投資活動を行なうと当期の営業利益を減らします。しかし、事業戦略を実行するために投資活動を行なうことで、長期の営業利益を最大化する必要があります。そのために、「投資意思決定のPDCAサイクル」を回すことが大事です。
FP&Aプロセスは、3つのPDCAサイクルから成っているのです。私が上梓した『最先端の経営管理を実践するFP&Aハンドブック』では、この3つのPDCAサイクルの詳細を説明しています。
3つのPDCAサイクルから構成されるFP&Aプロセスにおいて、何が大事なのかをお話させてください。FP&Aプロセスには、①報告・分析、②中期経営計画作成・年度予算編成、③予測作成、および④ドライバーに基づいたモデリングという4つの要素があります。
1つ目の報告・分析は、日本企業では月次報告において予実差異分析を行なうイメージです。FP&Aプロセスにおける報告・分析で大事なのは、営業利益目標と営業利益予測の差異分析を行なうことです。そのためにダッシュボードやBIツールを活用して、財務上のKPIだけでなく、業務上のKPIをモニタリングします。
2つ目の中期経営計画作成・年度予算編成においても、財務上の計画と一緒に、そのドライバーとなる業務上の計画(販売計画や生産計画など)を作成します。人件費計画のドライバーとなる人員計画は、FP&Aプロセスの中心にあります。
FP&Aプロセスで大事なのは、「年度予算利益目標を達成し、事業戦略を実行するためには、財務データと非財務データ(業務データ、市場データなど)を一緒に使う必要がある」ということです。
重要なのはOODAループの考え方をPDCAサイクルに反映し、FP&Aに取り組むこと
石橋氏:日本企業における経営管理プロセスでは、年度予算の編成に多くの時間をかけます。、予算編成に6ヶ月かかり、漸く作成した年度はあっという間に計画として古くなってしまいます。
PDCAサイクルにおける「Plan」に力と時間を割きすぎて、その後のフォローアップを疎かにしがちです。この問題に対処する方策として、「OODA(Observe、Orient、Decide、Act)ループ」が提案されています。「Plan」をやめて、「アクション」に注力するいう考え方は、米国空軍のジョン・ボイド大佐が考えたもので、限られた情報しかない状況で敵よりも迅速にアクションをとるために編み出されたものです。
この12の原則では、OODAループの考え方がPDCAサイクルに反映されています。FP&Aプロセスの計画プロセスにおいて年度予算編成にあまり力をかけるのではなく、統制プロセスにおいて向こう12ヶ月先、18ヶ月先の営業利益を対象としたローリング予測をぐるぐる回し、アクションをとることに注力することによって、年度予算編成を効率的、効果的に作成することが可能になるのです。
FP&Aプロセスにおいて年度予算とローリング予測にはそれぞれの独自の役割があります。日本企業の経営管理は年度予算の営業利益目標を達成する目的で、年度末に向けて営業利益の着地点を予測しています。グローバル企業ではOODAループ的にローリング予測を回すこと自体がFP&Aプロセスの真ん中にあります。それによって年度予算の営業利益目標を達成するだけでなく、事業戦略を実行しています。
では本当に「Plan」はなくてもいいものなのでしょうか。この問いが大事なポイントです。FP&Aプロセスにおいて、組織構成員に当期の営業利益目標や事業戦略の達成に当事者意識を持ってもらうことが大切です。そのために、P(目標)は必要です。私の考えとして、「P」には大きく2つあります。1つ目のPは、すべての組織構成員が同じ大きな目標を共有し、そこに向かって走っていくことで組織の業績を上げる「大きなP」です。2つ目のPは、組織構成員一人ひとりに管理することが可能な目標に責任を持たせ、その責任を果たすことで組織の業績を上げる「小さなP」です。結論としては、12の原則の2つ目で紹介した、マネジメントコントロールシステムを入れないといけません。OODAループ的にローリング予測を回すことによって、年度予算を効果的・効率的に編成し、2つのPを設定する必要があります。
ローリング予測において大事なのは、統合事業計画のアプローチです。事業部門では販売計画や生産計画・サプライチェーン計画などの業務計画(英語でS&OPと呼ばれる)をローリング予測として作成しています。業務上の計画をベースに毎月、財務計画をローリング予測として作成するのです。つまり、ローリング予測を作成するには、財務データと業務データの活用が重要なのです。
グローバル企業ではFP&Aの歴史は1990年代に始まりました。現在、FP&Aを置き換える概念として、「XP&A」が提唱されています。つまり財務計画 (Financial Planning & Analysis)だけでは不十分で、事業戦略を実行するために非財務計画(業務計画、販売計画や生産計画)から、FP&Aプロセスを設計・運営しようという流れです。FP&Aプロセスの中心には、非財務データを財務データと共に活用することがあります。
国内大手IT企業におけるCFO組織、FP&A業務におけるミッションとは
坂上氏:私のセッションでは、国内向けに事業を展開しているIT企業におけるCFO組織について紹介させていただきます。そもそもCFOのミッションは「株主価値を向上させること」に尽きます。グローバル企業においては、CFOの報酬はほぼ100%が株式報酬であり、株価、時価総額の向上にコミットすることが、CFOの最大のミッションだと思います。
そのCFO組織において、最も大事な機能であるFP&Aには3つミッションがあると私は考えています。
① 事業の現在地を示す…事業、会社全体、個々の事業の現在地をしっかりと定量的に示すこと
② 意思決定材料の提示…意思決定材料をしっかり定量的に提示し、経営判断に資するものを用意する
③ 社員の行動変化を促す…管理会計において目標制度を含めた仕組みを作ることにより、社員が自発的にその仕組みに乗っ取った行動へ変化していく
FP&A機能で一番大事なことは、”情報”です。企業の情報は、いろいろなところに散らばっています。たとえば、PLの実績は会計システムに蓄積されています。その他のユーザーのKPIや、リサーチ会社などから入手した競合のデータ、社員が何をしているのかといった工数データ、そして株主の声などが大きな情報の塊として重宝され、それらの情報をつなぎこむことが必要になります。
これらの情報をFP&Aのチームは、しっかりと分析しやすいように加工し、経営陣や社員に提示して、タイミングを逃さずに次の行動へつなげることが大事になります。
コーポレートと事業部のバランスで決まる、FP&A組織の3つのパターン
坂上氏:また、企業フェーズによってあると思いますが、よくあるFP&A組織は3つのパターンに分かれます。
① 分権型…本社側と事業部側、それぞれにFP&Aの機能があるパターン。コーポレート担当者は集計や管理するだけになってしまうため、事業への洞察力が養われなかったり、予算を隠してしまったりと問題が起きることがあります。
② コントローラー制…コーポレートからコントローラーの担当者を事業部側に派遣し、全社最適の目線から事業部側のFP&Aをしっかり作っていくパターンです。
③ 集約…コーポレートにFP&Aが一極集中するパターンです。現在のLINEヤフーがこの形式を採用しています。ちょうど1年前に合併したという特殊事情があり、いったんFP&Aのルールや価値観を合わせるために一極集中しています。
一定規模の事業部門がいくつもある会社であれば、コントローラー制が最適解になることもありますし、どのパターンにも正解はありません。
FP&Aの観点から考える、社員が行動する仕組みに必要な3つのポイント
社員が行動する仕組みは、どのように作っていくべきなのでしょうか。FP&Aの観点から、大きく3つのポイントをご紹介します。
① 1人の社員の貢献が可視化される小さなユニットのPL
PLをしっかり分解して作成しないと、社員の一つひとつの行動がどこまで連動して動いているのかが分かりにくくなります。
② ユニット単位の業績に連動した賞与/インセンティブ原資の配分
ユニットの小さなPLに応じ、各社の人事制度に沿って原資を配布します。頑張ったところにはたくさん配布して、頑張らなかったところには優先軸は生じないといったメリハリをきかせることが大事です。
③ Non-profit部門の最適化のために、全社コストを配賦したPL
管理会計として、経理や人事の本社費用をしっかり事業部にチャージします。私も経理部門の費用をさまざまな部門に配賦していますが、往々にして予算編成の時期に「高くないですか?」と言われることもあります。ただ、全社コストをしっかり配賦することで各部門が頑張り、結果として最適化につながると考えています。
石橋さんのセッションでも言及がありましたが「予算をどうしていくのか」は、日々私も考えているところです。予算の課題は、どうしても部門からボトムアップでいくと膨大な調整が必要で、大企業では3〜4ヶ月という予算編成プロセスが毎年繰り返されます。
特に私はIT業界ということもありますが、YoYで評価していきます。投資家も前年と比較して数字を見てきます。「本当にその予算が必要なのか」ということで、予測をしていくこと、それに基づいた行動をスピーディにやっていくことが大事です。また、予算は社員の行動の期待値を示すことにもつながりますので、予算をなくした時に非常に課題になってきますが、チャレンジしたがる、そして予算をしていけば社内工数を減らすということなど、課題を解決できると思っています。
最後に評価の部分に関しても、社員が頑張ったからボーナスを多くもらえることが一般的だと思いますが、そもそも予算は社内調整の結果で作っていので、いくらそれを上回ったからといって競合と比較した時に正しいのかを考え、評価という観点においてもYoYで、大企業においてはやっていくべきだと考えています。
primeNumberのFP&Aにおけるデータ基盤の活用とメリット
藤井氏(開催当時当社在籍):私からはprimeNumberにおいて実際にどのようにFP&Aの業務をやっているのかをご紹介します。FP&Aは予算を作る、作った予算をモニタリングして、アクションにつなげていく、そのPDCAサイクルが大切だというお話がありました。また、石橋さんのお話では経営企画のデータ分析では、非財務データが重要というお話もありました。では、いざFP&A業務をやろうと思うと、特に非財務データの収集では、いろいろな部署の方に問い合わせ、その部署の方からデータをもらうことが往々にしてあると思います。
また部署ごとに、システムやデータ、データベースが異なるため、経営企画やFP&Aに携わっている皆さんは、さまざまな環境の中で横断的に複数部署のデータを取り扱っていると思います。
私自身、自社で予算を作成するにしても非財務データがないと、作成する予算の信憑性や根拠を示すことができないため、多くの労力を割いて点在しているデータを収集する業務が発生してしまっています。また、データが点在していることで、データをつなげて分析しようと思った時にスプレッドシートやExcelの数式やマクロをこねくり回した結果、よく分からない数字になってしまったという経験があるかもしれません。部署に視点を移すと、各部署にデータがあることからデータ活用の範囲が部署に留まってしまうこともあると思います。
こうしたデータ収集の課題を、規模や業種問わず多くの企業は抱えていると思います。こうした課題に対するあるべき姿として、必要なデータをしっかりと一元化することで必要な時に必要なデータを取得、活用するためのデータ収集・処理のプロセスを平準化が必要です。そして、部署内の限られた範囲のみのデータ活用ではなく、横断的に活用していける環境を目指すべきでしょう。
「TROCCO」を活用した予実管理と非財務データの活用
藤井氏(開催当時当社在籍):ここからは弊社で進めているFP&A業務のあるべき姿に向け、およそ半年前くらいから経営管理や経理と一緒に進めているデータをひとつに集めて活用していく取り組みについてご紹介します。予実管理のツールとして、他社からもさまざまなツールがリリースされていると思いますが、弊社ではダッシュボード上にクラウド会計ソフトから持ってきた財務データをまとめていますが、ここで重要になってくるのが非財務データの活用です。
事業計画の立案、モニタリングの実施、次のアクションプランの検討などに非財務データを、具体的にはビジネス側でどのようなKPIが設定され、設定されたKPIがどのように推移し、計画に対してどのように現在進行形でビジネスが動いているのか、しっかりデータを収集しなければ次のアクションプランには結びつきません。そのため、弊社でも非財務データの活用を特に重視しています。
具体的な非財務データの例として、Salesforce上から集められる営業担当者の商談件数や受注件数、マーケティングでは各広告媒体から確認できるFacebookやGoogleの広告のコンバージョン数などのデータが挙げられます。
こうしたFP&A業務や、日本企業における経営企画の業務では、非財務データやKPIの数値を活用していくことが重要であると考えています。データの活用に重点を置くためにも、データの収集にはなるべく労力を割かないことが重要であり、クラウドETLの「TROCCO」をぜひご活用いただいて非財務データの収集などに役立て、日々の経営企画の業務に取り組んでいただければと思います。
事務的資本や環境といった非財務データも監査を受ける時代を前に、FP&Aにデータ基盤の力を
坂上氏:石橋さんにお聞きしたいのですが、12の原則をしっかり体現している企業はやはりグローバル企業が多いのでしょうか。
石橋氏:FP&Aの12の原則は「あるべき姿」を提示するものであり、日本語で言うところの「北極星(the North Star)です。あくまで「あるべき姿」なので、すべてのグローバル企業ができているわけではありません。それぞれの企業が直ちに「あるべき姿」を目指すべきかと言うと、必ずしもそうとは言えません。
FP&Aの12の原則が伝えたいのは、企業価値創造の核心には事業戦略を実行するための仕組み、FP&Aプロセスがあるということです。仕組みの設計・運営において目指すべき「あるべき姿」とその大事な要素を示すことによって、それぞれの企業が与えられた環境においてどこから始めるべきかを考えましょうという趣旨です。従って、グローバル企業ができていて、日本企業ができていない、という話ではありません。
坂上氏:個々の会社にとって、大事なポイントから着手していくことが大事なのですね。
石橋氏:そうですね。12の原則が示す大きなビジョンとその要素を念頭に置いて、それそれの企業にとって大事なポイントから着手していくことが大事だと思います。大きなビジョンとは、ローリング予測をぐるぐる回すことを中心に置くことであり、財務上のデータおよび非財務上のデータを一緒に活用する統合事業計画をベースにローリング予測を行なうことです。
そのためには、テクノロジーおよびデータを整備しないと非財務上のデータを活用することができません。統合事業計画に基づいたローリング予測を実施するためには、テクノロジーとデータの整備が必要です。
坂上氏:primeNumberの事例でも紹介がありましたが、非財務データを「TROCCO」を介して集めていく際にエンジニア工数がかかったり、そこまでデータに強くない人でも収集できますか。
藤井氏(開催当時当社在籍):従来であれば、データ収集を人海戦術のようなイメージで、さまざまなツールにアクセスしてデータを集めてきました。「TROCCO」というプロダクトはデータエンジニアのリソースを割かないようにするために開発されたもので、若干のクエリを書くことが必要となってきますが、エンジニアの工数は割かず、自動でアップデートされたデータを収集できるようになっています。そのデータをダッシュボードやBIに流すことで可視化し、分析できるようになります。
坂上氏:日本企業の経営陣はまだまだBIに馴染みがなく、「きれいに成形されたPowerPointの資料を持ってこい」というのがまだまだ一般的でしょう。しかし最終のアウトプットがPowerPointであっても、ETLやBIを介してデータを落とし込んでいかないと、十分な分析ができる資料にはなかなかできないと思います。
時価総額にもよりますが、2027年から上場企業では有価証券報告書に財務的なデータだけではなく、事務的資本や環境といったデータもすべて有価証券報告書に載せないといけず、その載せた数字も監査法人による監査を受けなければなりません。つまり、データの正しさについても監査されなければならない環境が、あと数年で始まります。水の量までしっかり有価証券報告書に載せないといけない時代になるのです。
当社も数年前から把握し、さまざまな場所からデータを集め、そのデータが正しいことを証明するための仕組み作りに取り組んでいます。人がデータを集めるとどこかで間違いが起こるので、データは今後も増えていく一方ですので、しっかりとシステムを活用していくことに企業の力量が問われていると思います。
セッションの最後に、皆さんから一言ずつメッセージをお願いします。
藤井氏(開催当時当社在籍):本日お話ししたことは触りの部分で、すぐにうまくいったわけではありません。データを集めるにしても、まずどういうデータがあるのかを調べるところから始まり、きちんと活用できるようにしっかりとデータのフォーマットを揃えることもやってきました。本来であればマインドシェアの分析、次のアクションプランの検討につなげていきたいところを、前工程のデータ収集で時間と手間を取られてしまうのは、非常にもったいないと思います。
石橋氏:今回のセッションで私が皆さんに持ち帰っていただきたい概念は、PDCAサイクルに対するOODAループというアプローチです。事業部レベルの現場でPDCAサイクルではなくローリング予測をぐるぐる回すためには、財務計画のドライバーとなる業務上のデータを集め、そこか業務上のドライバーに基づいて財務計画を作成する必要があります。そのためにも、データとテクノロジーの整備が必要不可欠です。
坂上氏:FP&Aの仕組みは、その会社の社風や強みになっていくと私は考えています。社長が変わると会社の方針も変わるように、FP&Aの考え方が企業の土壌になることで自社独自のFP&Aの型を作れる会社は強いと思います。まずは自社はどういう強みを持ち、どういう社風にしていきたいのか、何を残していきたいのかを考えることが、FP&Aに取り組む上で大事だと考えています。