課題・問題
各部署が個別最適でツールを導入しており、全社横断でデータを把握できていなかった

primeNumber岡野:はじめに、貴社の事業概要について教えてください。
雲田様(以下、敬称略):当社は1989年に創業して以来、マンションの企画・開発・販売や不動産の売買・仲介事業、不動産の賃貸事業を中心に展開してまいりました。2022年にはグループ経営強化のため、持株会社体制へと移行しています。
現在は、家賃債務保証を行う株式会社トーシンライフサポート、不動産賃貸仲介業の株式会社FINDERS、そして不動産テック開発を担う株式会社LENZ DXなどのグループ会社を持ち、多角的に事業を展開しています。グループ全体では457名が在籍しており、会社全体としてDX推進に強く力を入れているところです。

primeNumber岡野:続いて、皆さまの現在のお役割について教えてください。
雲田:私はトーシンパートナーズホールディングス 情報システム部 システム管理課で課長を務めております。IT統制全般や各システムの導入・運用、ヘルプデスクなどを担当しています。
川島様(以下、敬称略):雲田と同じく情報システム部に所属し、システム推進課で課長を務めております。トーシンパートナーズホールディングスにおけるデータの管理や業務改善の領域を担当しており、本プロジェクトには基盤構築のメンバーとして参加しました。
田村様(以下、敬称略):私はトーシンパートナーズ マーケティングプロモーション部 マーケティング課で係長を務めております。普段はWebマーケティングの戦略・ディレクションを担当しており、今回のプロジェクトでは集客から成約までの可視化に取り組みました。
及川様(以下、敬称略):田村と同じくマーケティングプロモーション部に所属しており、マーケティングセールスサポート課で主任をしております。私はインサイドセールスやフィールドセールスの実務サポートをはじめ、役員会資料の作成や数値の集計などを担当しています。
primeNumber岡野:プロジェクト立ち上げ前、貴社はどのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか?
雲田:当時の担当部長の主導のもと、データドリブン経営を目指す方針が打ち出され、以前よりデータ基盤に近い仕組みを構築していました。しかし、そこにはさまざまなシステムからのデータが混在しており、情報をうまく集約し切れていない状態でした。
各部署からの要望に対しては、用途に合わせてツールを導入しています。しかしツール間でデータ連携できておらず、現場でそれぞれデータを手入力してもらう必要があり、データウェアハウス導入の必要性を強く感じていました。
田村:まず、広告からの流入顧客が営業活動を経て成約に至るまでの一連の流れを一気通貫で可視化できるように取り組みました。そうすることで、業務横断でどこにボトルネックがあるのかを把握して打ち手を打てる状態をつくれるようにしました。
そのうえで、マーケティングプロモーション部内の最適化にも取り組んでいます。当時はWeb広告の専任担当がおらず、媒体ごとの管理画面で個別に数値を確認する作業がボトルネックになっていました。そのため、見やすいダッシュボードを構築して予算からROASに至るまでのチーム内KPIを一元的に追える環境を整えていきました。
及川:私個人としては、役員会に向けたデータ取得に多大な工数がかかっていることに課題を感じていました。当時は各システムが分断されていたため、Excelでの手作業の集計が必要な状況でした。上層部からの緊急度の高い依頼も多く、さらに必要な数字の定義が曖昧で、非効率な状態が続いていました。
なぜprimeNumberを選んだのか
情シスとマーケ。それぞれの部門がたどり着いた知見への期待と、伴走への確信。

primeNumber岡野:primeNumberを知ったきっかけと、最終的にパートナーとして選んでいただいた理由を教えていただけますか?
川島:以前からデータ活用についての情報収集をしており、primeNumber社が主催するイベント「01(zeroONE)」(現:primeNumber DATA SUMMIT)にも足を運んでいました。
パートナー企業の選定にあたっては、primeNumber社を含めて3社ほど比較し、社内で検討を行いました。費用や導入期間といった条件面はもちろん、イベントへの参加を通じて知見を得られたことも理由の一つです。総合的に判断した結果、primeNumber社にお願いすることに決めました。さらに、「primeNumber社となら楽しみながら取り組めそう」というポジティブな印象があったことも、正直大きかったですね。
田村:マーケティングプロモーション部としても、同じ時期に独自でデータ活用のあり方を検討していました。情報システム部とは別々に動いていましたが、偶然にも双方がprimeNumber社に相談しており、目指す方向性も一致していたことから、共同でプロジェクトを進めることになったのです。
primeNumberの支援について
細かなヒアリングにより業務オペレーションを把握し、本当に見たい情報を可視化
primeNumber岡野:マーケティング領域のデータ基盤構築において、特に難しかった部分はどういったところでしたか?

田村:最も難しかったのは、要件定義の作業です。マーケティングの現場ごとに独自のルールや表記の揺れが多く、マーケティング指標の定義が統一されていませんでした。
「レポートの目的に合わせて、特定の指標は除外してほしい」といった現場固有の要望もあり、一つひとつ整理する必要がありました。とても地道な作業でしたが、primeNumber社にも多くの時間を割いてサポートいただき、大変感謝しています。

primeNumber朝賀:今回、マーケティング施策から営業の成約に至るまでの業務とKPIに必要なデータの整理および可視化設計を行いました。
まず、現状の業務プロセス全体を洗い出し、それぞれの工程で「追うべきKPI」と「それに必要なデータ」をセットで整理する作業からスタートしています。利用されているシステムやサービスも多岐にわたっていたため、業務フローに沿ってデータの扱い方を検討し、どこまでを自動化してどこを手作業として残すかも含めて丁寧に紐解いていきました。
そのうえで、データフローを図に落とし込んで関係者間の共通認識を作りました。ダッシュボード構築においても「見たい情報」のヒアリングだけでなく、業務整理から見えた仮説をもとに叩き台を提示しながら、レビューを重ねて形にしていきました。
トーシンパートナーズ様側に「誰が見るかによって表示コンテンツを変えたい」という明確な意図があったからこそ、視点に応じた要件のすり合わせも非常にスムーズに進められたと感じています。
primeNumber岡野:マーケティング領域は今回のプロジェクトにおける最初のユースケースだったこともあり、2025年6月から約1年をかけて、弊社の朝賀を中心に情報システム部側との連携も取りながら進めていきました。
基盤の全体設計を担う情報システム部と、実際にデータを使う現場であるマーケティングプロモーション部、双方の目線を合わせながら進める必要があった点は、私たちも強く意識していました。
導入後の効果
全社的なデータ活用の土台が整い、部署全体の視座が向上
primeNumber岡野:今回のプロジェクトを経て、情報システム部門としてどのような変化がありましたか?
川島:一番の変化は「自分の手でデータ基盤を動かせる」という実感を持てたことです。初めて自分でパイプラインを作り、データが集まっているのを見た時の感動は忘れられません。地味な瞬間ではありますが、それまでは触れられなかった領域に、自分たちの手が届くようになったと感じています。
雲田:情報システム部としては、これまでバラバラに存在していたデータを、一つの基盤にまとめる土台ができたことが大きな変化です。primeNumber社にはこちらの状況や想いを非常によく汲み取っていただき、期待以上の対応をしていただきました。現在では内製化に向けた支援や教育もお願いしており、大変助かっています。
ただし、現状はまだデータ活用のための土台、いわゆる「箱」が完成した段階です。これから各部署にデータを公開し、本格的な運用に乗せていくことが次のステップだと考えています。
primeNumber岡野:マーケティングプロモーション部の皆さまの業務にも良い変化はありましたか?
田村:私個人の意見ですが、部署全体の視座が上がったように感じています。これまではデータが一元的に可視化できていなかったため、議論の土台が整備されていませんでしたが、ダッシュボードの完成後は可視化されたデータを共有できるようになりました。
役員会などでも「このような数値が見えるなら、実際の営業活動にもっと活かせるのではないか」といった前向きな意見が出るようになっています。

及川:私個人として効果を強く感じられたのは、役員会で報告するデータ取得までの時間が大幅に短縮されたことです。以前は他業務と並行しながら、月次の資料作成に丸1週間ほどかかっていました。今回の支援により、この集計・作成の工数が体感で月15時間ほど削減されています。
経営層向けの月次レポート作成時間が大幅に短縮されたことで、メインの業務であるインサイドセールスやフィールドセールスのサポート業務にしっかりと時間をあてられるようになりました。
今後の展望
成功事例を全社へ展開。内製化とデータ民主化に向けた次のステップ

primeNumber岡野:今後の展望について教えてください。
川島:現在は、内製化に向けた社内教育に力を入れている段階です。情報システム部だけでなく、マーケティングプロモーション部や別部門のメンバーにも研修に参加してもらっています。今後は、社員が自分たちの手でデータ分析やダッシュボードの修正を行える体制をつくりたいと考えています。
雲田:ホールディングス全体としては、今回のマーケティングプロモーション部での成功事例を足掛かりに、他部門やグループ会社への展開も進めていく予定です。今後は、さらに全社的なデータの民主化を推進していきたいと考えています。
また、プログラミングなどの専門スキルがなくても、AIを活用し、自然言語で必要なデータを引き出せる環境づくりも目指していきたいと考えています。
田村:マーケティングプロモーション部としては、マーケティングや営業など収益に関わる部門を横断して、データやオペレーションを最適化していく、いわゆる「レベニューオペレーション」を今後さらに推進していきたいです。
その一方で、営業現場には単に「ダッシュボードを見て、自ら課題を見つけてください」と伝えるだけでは、活用を定着させるのは難しいと感じています。
そこで今後は、AIを活用してトップセールスのトークや商談データを分析し、成果につながる営業手法を組織全体に展開していきたいと考えています。まだ実現には至っていませんが、より大きな効果が期待できる施策として、次のステップに向けて動き出していきたいです。
primeNumber岡野:最後に、同じようにデータ活用で悩んでいる企業の方へメッセージをお願いします。
川島:今回の経験から、データ基盤は完璧な設計より、「まずは動かして学ぶこと」に価値があると学びました。効果が見えにくいものほど、焦らず一つずつ手を動かして理解していくしかないと思います。この事例が、当社と同じように「データ活用を進めたいが、どこから手をつけていいか分からない」という方々の参考になれば幸いです。
田村:弊社の事例が、マーケ施策だけでなく、営業領域も業務スコープに入る管理職や担当者の方々の参考に少しでもなれば幸いです。これからデータ活用を進めるにあたっては、まずは定性的なデータも含め、データソースの整備や蓄積の型化から着実に進めていくことが大切だと思います。
雲田:データの民主化まで到達できている企業は、世間を見渡してもまだまだ少ないと思います。多くの企業には、社内に眠っているデータが大量にあるはずです。それをいかに使いこなしていくかが、今後の成長を左右します。データの活用を進めるうえで、primeNumber社のような信頼できるパートナーと協力することは、一つのベストプラクティスだと考えています。
primeNumber岡野:本日は貴重なお話をありがとうございました。皆さまのさらなるデータ活用と内製化に向けて、引き続き全力でサポートさせていただきます。













