課題・問題
事業ごとのデータサイロ化と、手作業によるレポーティングからの脱却

内田:まずは、貴社の事業概要とご自身の役割について教えてください。
巣鴨様(以下、敬称略):株式会社ソラストは、医療機関へ事務員を派遣する医療事務の受託事業からスタートした会社です。現在は介護や保育にも領域を広げ、医療・介護・保育という3つの事業を柱に、社会福祉領域における人財の育成と、活躍の場の提供を行っています。
IT戦略本部は、情報システムの運用や開発、保守、導入に向けた検討などを担う部署です。医療・介護・保育のどの事業にも属さない、人事や経理と同じような全社横断の独立した組織です。
私が部長を務めるITソリューション部は、主に企画やプロジェクトマネジメントを担当しています。各事業部の業務改革・改善ニーズに対して、ITを用いた要件定義から導入フェーズにおけるプロジェクトマネジメントまでを一貫して担っています。
内田:今回、貴社では全社横断的なデータ環境を実現するための構想策定プロジェクトを実施されました。プロジェクト開始前に抱えていた、ビジネス上の課題についてお聞かせください。
巣鴨:弊社で展開している医療・介護・保育の3つの事業で、それぞれのデータが分断されていた点が大きな課題となっていました。最終的な会計情報は全社共通のシステムに集約されるものの、その前段階にある売上や契約、見積もりといった情報は各事業でバラバラに管理されていたのです。
全社の状況を正確に把握することが難しく、分析のたびに各所から情報を集めて資料化したり、データをゼロから探したりするといった非効率な運用が続いていました。
内田:データを集約して経営層へレポートする過程で、具体的にどのような問題が発生していたのでしょうか。
巣鴨:例えば、経営層向けのレポートは、Excelで作成したグラフをPDF化して配布するというアナログな手法で作成していました。そのため、経営層が数字の違和感に気づいて深掘りしようとしても、PDFではドリルダウンができなかったのです。
経営層から質問があるたびにデータを持ち帰って再集計していたため、回答までに数日を要する場合もあり、スピーディーな経営判断につながらないことに強い課題感を持っていました。
内田:各事業部内のデータ環境は、どのような状態だったのでしょうか。
巣鴨:事業ごとに独自のデータ基盤で運用していました。
例えば、医療事業ではクラウドデータウェアハウス(DWH)を導入し、BIツールで自動集計を行っていました。他部署に比べるとデータ活用は進んでいるものの、BIツールに寄せる構成になっており、技術的負債になりかねないという課題を抱えていたのです。
その一方で、介護・保育事業では医療事業とは別の専用データベースが使われており、複数の異なるBIツールが混在していました。さらに、M&Aでグループ傘下に入った会社では、Excelへ手入力したデータをメールに添付して本社へ送るという運用手法がとられていました。
このように事業ごとにデータの扱い方が異なるため、全社を横串で見る場合には人力でデータをつなげるしかありませんでした。情報収集だけで多大な労力と時間が消えてしまい、データを経営や企業価値の向上に活かす段階になかなか進めずにいましたね。
なぜprimeNumberを選んだのか
「課題起点」ではなく「理想像起点」でのヒアリングと、経営戦略にまで踏み込む提案が導入の決め手

内田:弊社を知っていただいたきっかけや、導入の決め手について教えてください。
巣鴨:きっかけは、Google Workspaceへの切り替えをサポートしていただいたパートナー企業からの紹介でした。「上流工程の体制構築ならば primeNumber社にお願いするのが良いかも」とご紹介を受け、そのままご相談をいただく形でプロジェクトに着手することになりました。
内田:即決に近い形で弊社にお任せいただいた理由は、どのような点にあったのでしょうか。
巣鴨:最大の理由は、打ち合わせを進めるなかで感じた内田さんの圧倒的な安心感と情報整理の姿勢です。弊社のリクエストに対する誠実な対応やコミュニケーションから、「この人なら信頼できる」と確信しました。
また、primeNumber社のサービスが社内決裁を進めやすい価格設定だったことと、プロジェクトへの早期着手が求められるなかで柔軟なスケジュールを提示してくださったことも導入を後押ししました。
内田:そう言っていただけて光栄です。貴社は、最初の打ち合わせの段階からプロジェクトへの強い意志をお持ちなのが印象的でした。
巣鴨:確かに、トップ層が強い課題感を持っており「迅速にデータ活用の方向性を整理してほしい」という明確な方針があったことは大きかったと思いますね。
それに加えて、primeNumber社のヒアリングの質が非常に高かったことも決め手になりました。単なる現場課題の洗い出しにとどまらず、弊社の中期経営計画や人的資本経営の強化といった将来の方針まで深く踏み込んで提案してくれました。
そのため、会話のズレや手戻りもほとんどなく、認識を揃えながら進められましたね。
内田:あくまでソラスト様の理想の姿を実現するための最適な手段の提案に注力したため、その点を評価いただけて嬉しく思っています。
導入後の効果
部門間の認識を統一し、データ活用に向けた共通言語を醸成

内田:2025年11月から約4ヶ月間という期間で構想策定を進め、最終的にどのような方針が定まったのでしょうか。
巣鴨:Google Cloudをベースとしつつ、分散していたデータ基盤をBigQueryへ集約し、BIツールを一つに統一する方針を決定しました。
弊社ではプロジェクト開始前からGoogle Workspaceへの全社移行を進めていたこともあり、Google Cloudを活用したいと考えていました。その方法が最適かどうかを慎重に見極めるうえでは、ガバナンスやセキュリティ、データ加工時のパフォーマンスといったprimeNumber社からの情報提供が非常に役立ったと思います。
また、既存のDWHを継続利用する場合と比べて、年間約400万円のランニングコストの削減が見込めたことも判断材料の一つになりました。
内田:技術的な面では、既存環境にあるBIツールのレポートが複雑なクレンジング処理を抱え込んでおり、単純な移行では成立しないという難所がありました。また、各事業部門でデータ管理の成熟度が大きく異なり、全社横断型の管理手法をいかに構築していくかという点も検討が必要でしたね。
巣鴨:そうですね。具体的な運用シーンを想定し、現場のメンバーにどういった役割を担ってもらうべきかといった、データ活用を定着させるための組織体制については念入りに議論を重ねました。
弊社は医療・介護・保育の3つの事業が個別に運営されてきた歴史を持ち、それぞれに個別のデータ管理ルールが存在しています。従って、データ基盤を整えるだけではなく、組織体制も含めた推進方法の検討は欠かせませんでした。
かねてからデータ周りの整備に苦労してきた弊社のシステム担当者たちも、全社横断的な旗振りや推進体制の必要性を改めて認識できたようです。
内田:プロジェクトの最終段階では、一部計画の見直しもありましたね。
巣鴨:はい。当初は経営層向けのマネジメントダッシュボードの構築を優先する方針でした。しかし、最終報告の場で「現場への価値提供から着手し、M&Aによってグループ傘下に入った会社も含め、グループ全体でデータ活用できる姿を目指すべきではないか 」というフィードバックをもらいました。
そこでロードマップの優先順位を見直し、より現場での活用を見越した構想へと修正しました。その際も、primeNumber社には柔軟に対応していただき大変助かりました。
内田:納品させていただいた構想策定報告書は、社内でどのように活用されていますか。
巣鴨:この報告書には、データ基盤・組織・推進体制という3つの観点でロードマップが明確にまとめられており、まさに社内の「バイブル」として活用しています。もし自分たちだけで情報を集めて整理していた場合、膨大な時間と人手が必要だったと思います。
弊社が今後進むべき道のイメージや必要な情報が詰まった、質の高いアウトプットになっていると感じています。
今後の展望
全社にまたがるデータ活用構想が、未来の意思決定を変える

内田:最後に、全社的なデータ活用における今後の展望についてお聞かせください。
巣鴨:今回のプロジェクトでは、データ基盤の構築に向けた構想だけでなく、データ活用のあるべき姿や推進体制まで含めて整理できたことが大きな成果でした。
また、専門の知見を持つprimeNumber社と伴走しながら構想を策定したことで、データ活用について全社で共通認識を持つ第一歩を踏み出せたと感じています。
今後は、策定したデータ活用構想を全社横断で推進しながら、より良い意思決定や業務改善につなげていきたいです。
内田:データ活用を目指す読者の皆様に向けたメッセージをお願いします。
巣鴨:今回、primeNumber社からは、データ活用に必要なノウハウや考え方を多く提示していただきました。現状を正確に把握し、物事を前に進めるための道具や考え方を提供してくれたことに感謝しています。
データ活用を効率的に進める近道は、ノウハウと知見を持つパートナー企業との協業です。外部の知見をうまく活用しながら、今回いただいたベースの情報を活かし、今後の計画をしっかりと練り上げていきたいです。
内田:本日は貴重なお話をありがとうございました。












