課題・問題
手探りの状態から始まったダッシュボード構築

primeNumber岡野:まずは、お二人の自己紹介と今回のお取り組みでの役割について教えてください。
山西:私は、建築事業本部にて、建築企画部企画課の課長を務めています。企画部門として事業の施策立案・推進を担う中で、数年前から本格的なデータ活用に取り組んでいます。
栗本:同じく建築企画部企画課に所属しており、私は課長代理を務めております。私は実務担当として、Tableauを用いたダッシュボードの構築・運用を手がけるほか、社内への定着に向けた研修の企画・運営も担当しています。
primeNumber岡野:データ活用を始める前、現場ではどのような課題があったのでしょうか。
山西:当社の主力事業である建築事業は、数年にわたる長期プロジェクトになることも多いため、常に社員の配員状況を見据えた営業活動が不可欠です。しかし当時は、営業側の目標案件と施工側の管理データが別々のシステムで管理されており、それぞれの数字が一致していませんでした。
当社にとって「人」は最大の資本であり、社員の配置状況を正確に把握することは受注可否の判断に直結します。
案件が増加するなかで、各営業・工事・配員システムのデータを横断した収益と人の配置状況を複合的に捉え、最適なバランスをデータから判断する体制をより推し進めたいと考えていました。営業・工事・配員のデータを横断し、「この案件を受けたら、数年後の収益と人の配置バランスはどう変化するか」といった実務的なシナリオをデータでシミュレーションしながら、より客観的な根拠に基づいた迅速な意思決定を実現することを目指していたのです 。
栗本:当時、社内では毎月の報告資料をExcelで作成することが習慣となっていました。各支店にExcelの様式を配付して修正を依頼し、それらを手作業で集計してグラフを作成するという流れです。その結果、システムに入力している情報を別のExcelでも管理するという「二重管理」の状態に陥っており、このような二度手間は早急に解消する必要があるとも考えていました。
これらの課題に対し、ICT統轄部の一色・primeNumber社とともにデータ基盤の構築に取り組むことになりました。その先の活用のフェーズでも支援いただくことになったのです。
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詳細はこちらからご覧ください。
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primeNumber岡野:弊社がご支援に入る前より、Tableauを導入されていたと伺っています。その当時はどのようにデータを活用していたのでしょうか。
山西:当初は、データプレパレーションツールを用いて視覚的にデータを統合できる状態をつくることを目指していました。営業進捗の可視化など一部の取り組みは進んでいましたが、当時は社内のデータ活用に関する知見も発展途上で、本当に実現したかった「複数システムのデータを統合したシミュレーション」までは、思うように踏み込めていない状態でした 。単純な集計に留まらず、各部門のデータを横断した示唆をデータから導き出し、意思決定をより高い精度で推し進めたいと考えておりました。
栗本:私自身はあまりデータ活用の知識が多くあったわけではなく、Tableauやデータ基盤の知識は全くない状態からのスタートでした。最初は外部のハンズオンセミナーなどで操作方法を学び、その後は専門的なブログなどを参考にしながら、自身で手を動かして実務知識を身につけていきました。
ただ、知見が少ない我々だけでデータ活用を本格的に推進していくのは難しく、思うように進んでいない状態でした。
primeNumberによる支援
綿密なすり合わせから生まれた信頼関係と現場目線の研修

primeNumber岡野:データ活用を現場に定着させるにあたって、どのような取り組みを重視されたのでしょうか。
山西:Tableauを活用し、実際の業務で使える「生きたダッシュボード」をつくりたいと考えていましたが、その部分において技術的な壁にぶつかっていました。そのような状況を乗り越えるために、primeNumber社とは毎日のようにこまめなコミュニケーションを重ね、二人三脚で構築を進めていきました。
私たちはデータ活用の専門家ではありません。そのため、非常に初歩的な内容を質問することもありましたが、primeNumber社の担当の方は常に真摯に、そして丁寧に向き合ってくれました。当社側の意図を汲み取り、専門用語を噛み砕いて分かりやすく説明してくれる姿勢には大きな安心感がありました。
primeNumber社の丁寧な伴走支援があったからこそ、単にシステムが存在するだけの状態から、現場が使いこなせる実用的な状態へと昇華できたのだと感じています。
primeNumber岡野:弊社側は建設業界の知識が十分ではなかったため、まず戸田建設様との対話を重ねることを大切にしました。現場の業務フローや課題をひとつひとつ丁寧にヒアリングしながら、すり合わせを繰り返していきました。
また、業務システムやデータの理解から始め、ベンダーへの問い合わせやマニュアルの確認を通じて理解を深めました。当初は業務を教えていただきながら進めていましたが、私たちが戸田建設様への理解を深め、そして戸田建設様側にデータ活用への理解を深めていただいたことで、次第にプロジェクトは順調に前に進むようになったと感じました。

primeNumber岡野:あまり知見がない状態からキャッチアップするのは大変だったかと思いますが、お二人はどのようにしてデータ基盤やデータ活用の知識を習得されていったのでしょうか。
栗本:データ基盤周辺の知識については、Tableauでダッシュボードを作りながら少しずつ学んでいきました。その際、primeNumber社が提供するAIデータプラットフォーム「COMETA(コメタ)」の導入により、理解が格段に早まりました。
馴染みのないテーブル名やカラム名がすべて論理名で表記されており、テーブル定義書を見るよりも直感的に把握できました。システム内でデータが分かれていることでさえも把握できていなかったのですが、自身でデータの所在を検索できた点が非常に分かりやすかったです。
primeNumber岡野:2024年4月からは、社員向けの研修も本格的にスタートしました。システムを構築して終わりではなく、あえて「教育」というステップを重視された背景を教えてください。
山西:本部のデータ活用の体制が整うだけでは不十分で、全国各地にある支店のメンバーがデータを活用して意思決定ができる状態を目指していました。ただ、支店側ではまだまだデータ活用に関する知見が不足しており、その状態を打破したいと考えたのです。
そこで、primeNumber社に協力してもらい、2024年4月から9月にかけて本社企画部門向けにTableau基礎・応用講習やBIエンジニア講習を実施し、さらに2025年10月から12月にかけて支店部門向けにTableau基礎研修を行いました。
primeNumber岡野:研修の開催を呼びかけた際の各支店のメンバーの反応はいかがでしたか。
栗本:支店向けの研修を案内した際、予想を上回る反応がありました。当初は各支店から2名程度の参加を見込んでいたのですが、想定以上に多くのメンバーに参加希望を出してもらいました。
現場の担当者たちも、これまでのExcelによる管理手法には限界があり、何らかの改善が必要だと感じていたのではないかと思います。
当初の予定よりも参加者が大幅に増えましたが、primeNumber社にもご協力いただき、規模を拡大して対応しました。結果的には、全国から60〜70名がオンラインで参加する大規模な研修となりました。
primeNumber岡野:研修の実施にあたって、特にこだわった点はありますか?
栗本:ツールの操作方法を淡々と説明するのではなく、当社の「実際の業務データ」を用いた実習形式にこだわりました。
その理由は、自分たちが普段入力している数字がグラフ化されることで、「入力の不備がどう分析を狂わせるか」を肌で感じてほしかったためです。機密性の高い売上情報などは加工が必要でしたが、リアル感を損なわないデータを用意したことで、受講者の「自分ごと化」が一気に進んだと感じています。
primeNumber岡野:研修を受けた社員の方々の反応はいかがでしたか。
栗本:さまざまな意見がありましたが、ポジティブな反応も多かったですね。特にExcel管理に課題感を持っていた支店の社員からは、「このような分析ができるのであれば、新しいダッシュボードを作ってみたい」といった具体的な前向きなリアクションが多く寄せられるようになりました。
山西:研修後のアンケート結果で顕著だったのは、データ入力に対する意識の変化です。実際のデータを可視化したことで、入力するデータの不備がいかに後々の分析を困難にするかを体感してもらうことができました。
正確な一次データを入力することの重要性を理解してもらい、データに対する責任感が高まった社員が増えたことは大きな成果だと感じています。
導入後の成果
データに基づく意思決定が定着し、業務プロセスが大きく変化

primeNumber岡野:データ活用が現場に浸透したことで、どのような成果が得られましたか。
山西:本部としては、データに基づいて判断する流れが定着しました。毎月の会議でも、データに不備があれば上層部がその場で支店へ指摘するようになりましたね。
常にデータが確認される意識が生まれ、精度も着実に向上していると感じています。
栗本:以前は手作業でデータをExcelに集約していたため、月に1回しかデータ更新ができませんでした。上長からの問い合わせに対し、企画部門が都度調べて回答するような運用だったのです。
現在は、データマネジメント基盤からダッシュボードが自動で更新され、上長自身がデータにアクセスして詳細を確認できるようになりました。システムの制約を理解しつつ、効果的に活用する社員が増加していると感じています。
primeNumber岡野:各部門でデータが日常的に使われるようになったことで、支援している我々としても大きな手応えを感じています。
ダッシュボードを構築しても使われなくなるケースは多々ありますが、戸田建設様は会議の運用にデータ活用を組み込み、意思決定という具体的なアクションにつなげています。
どれだけ支援をしても、最終的に現場で活用されなければ意味がありません。山西様や栗本様が実際に会議の運用にダッシュボードを組み込み、意思決定のアクションにデータを活用していったこと、そしてその推進力があったからこそ、最後までやり切ることができたのだと思います。
今後の展望
データ活用人材を増やし、さらなるデータドリブン経営を目指す

primeNumber岡野:今後の展望についてお聞かせください。
山西:まだ十分に取り組めていない分野が多く残っていますので、今後は部門ごとに「サイロ化」してしまっているシステムを丁寧につなぎ合わせ、可視化できる領域をさらに広げていきたいと考えています。
その一方で、これまでのシステムは独自に開発されたものが多く、今後の方向性をすぐに判断できる担当者がいない点も課題です。各部門長の理解を深めながら、時間をかけて着実にデータ利活用を進めていきたいと思います。
栗本:全社的なシステムの整理と並行して、データ活用を推進できる人材の育成を加速させたいです。
ただし、各支店が独自の見せ方を追求しすぎると、似たようなダッシュボードが乱立して効率が悪くなってしまいます。今後は役割分担と標準化を徹底し、より効率的な形でダッシュボードを増やしていきたいです。
primeNumber岡野:データ活用に悩んでいる企業の担当者へ向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
栗本:私自身、最初はデータに関する細かい部分に関してはエンジニアの方の専門領域だと思い込んでいました。しかし、実際に触れてみると、データの構造や流れが少しずつ見えてくる部分もありました。
完璧に理解してから使おうとする必要はなく、わからないままでも踏み込んでみることが大切だと思います。非エンジニアの方であっても、少し知識を持つだけで現場でできることは大きく広がると思いますので、ぜひ取り組んでみてほしいです。
山西:私たちもデータもツールも何もわからない状態からのスタートでしたが、それでも「とりあえずやってみる」を繰り返した結果、今のような形まで持ってくることができたのだと感じています。
最初は完璧な状態ではなくてもいいので、まずは実際に手を動かしながら、データ活用に向けたチャレンジをしてみてほしいです。
プロフェッショナルサービスにご興味がある方は、是非お気軽にお問い合わせください。












