課題・問題
営業活動に必要なデータが部門別で分散。属人的なデータ管理が抱えていた構造的な課題とは

岡野:貴社における主なデータ活用シーンについて教えてください。
大泉 順様(以下、敬称略):データ活用の需要が最も強いのは営業部門です。全国62,000店以上のアットホームの不動産情報ネットワークにご入会いたただき、不動産事業者向けのシステムをご契約いただくことが営業部門のミッションの1つです。また昨今では、アットホームの加盟店を継続していただくための定着支援も重要になっており、これらの営業部門の活動にデータを活用したいという要望がありました。
伊計:加盟店は、アットホームの各種商品・サービスの利用状況を踏まえ継続するかどうかを判断します。そのため、社内の複数データから「離脱しにくい加盟店」の特徴や利用状況の傾向を掴み、営業活動に反映したいと考えていました。そのために部門横断でデータを統合することが不可欠でした。
岡野:社内のデータ基盤について、以前はどのような構成だったのでしょうか。また、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
大泉:社内にデータが分散していました。データを集計・参照するための環境が源泉や利用者の都合に応じて設けられた結果、データの集約も部分的なものに留まり、全社として共通使用するにはどこも十分では無い状況でした。
こうした環境は、作業の長時間化、作業の属人化、集計基準や手法の標準化の障壁、不具合発生時の調査長期化といったことの要因にもなっていたように思います。
岡野:どのようなきっかけから、今回のデータ基盤の構築プロジェクトがスタートしたのでしょうか。
伊計 智之様(以下、敬称略):各部署の「データに強い社員」で何とかデータ活用をしてきた体制は、データ活用のコスト増加やリードタイム長期化、そしてノウハウの属人化につながり、社内でもみなが認識する課題になっていました。
大泉:そして決定打となったのは、営業戦略を立案する部門にて十数年かけてデータ活用環境を作り込んできたベテラン社員が退職したことです。最も困ったのは営業部門の社員でした。今まで出来ていた営業活動に必要なデータ活用が出来なくなり 一気に危機意識が高まりました。
なぜ「プロフェッショナルサービス」を選んだのか
組織課題に即した柔軟なデータ基盤の提案と、的を射た回答が信頼感の決め手に

岡野:当社のプロフェッショナルサービスは、どのようなきっかけでお知りになりましたか。
大泉:私自身、データベース構築の経験はある一方で、データ基盤やデータウェアハウスの「あるべき姿」やデータフロー設計に確信が持てず、導いてくれる立場がないと迷走しかねないという危機感がありました。そこでツール導入だけでなく、データ活用のプロによる支援を含めたサービス導入の検討を進める中で、primeNumber社のプロフェッショナルサービスを知りました。
岡野:他社サービスとの比較検討はどのように実施されましたか。
大泉:自社ツールの押し出しがあまりに強い会社はそのツール導入が目的となってしまい、構築できるデータ基盤の可能性が狭まるため、意図的に避けていました。そのうえで複数社からご提案いただき、最終的に「この会社に依頼したい」と社内の認識が揃ったのがprimeNumber社でした。
既存のデータ基盤の運用においては、データ量の増加に伴ったコスト増加が大きな課題となっていました。将来的に利用方法の多様化やデータ量・利用者が増加した場合にも、適切なコストコントロールができることを重視したいとお伝えさせていただきました。
このようなコスト観点も踏まえながら、データ基盤としてデータウェアハウスにSnowflake、ETLツールとしてTROCCO、データ加工専用のdbt Cloudの採用可否までを一つひとつ検討いただきました。
比較検討後に受け取った資料をもとに、単体製品の良し悪しではなく「いかにツール同士を有機的につなぎ、業務に有効なデータ基盤を構築するか」を重視して、弊社として意思決定を下しました。
岡野:初回のお打ち合わせでは、全社展開を見据えた拡張性と将来的な内製化に向けて、システム構成を決定するプロセスの透明性と手触り感を重視されていると感じました。そこで構成の検討にあたっては、幅広く候補をご提示し、丁寧にご検討いただきました。さらに段階的にアットホーム様側でも構築いただき、最終的なデータ基盤の内製につなげることを意識する形で、ご提案させていただきました。
大泉:primeNumber社とのお打ち合わせでは、こちらの問いにピンポイントで答えが返ってくることに信頼感がありました。こちらの業務フローやデータ構造を踏まえてご提案いただけたことで、結果として社内の合意形成もスムーズになり、「primeNumber社なら任せられる」という納得感が生まれ、ご依頼に至りました。
導入までのスケジュール・過程
データウェアハウスの設計指針と目的から逆算してのツール選定。将来的なインハウス化を見据えた構成とは

岡野:今回の取り組みでは、社内のデータ基盤としてSnowflakeを採用し、データを加工するツールとしてdbt Cloudを、そしてデータを集約するツールとしてTROCCOを導入させていただきました。

大泉:既存データをSnowflakeへ載せ替えるだけでは、データ重複や不安定な運用、最新値に偏り、履歴が残らないといった課題は解消されません。だからこそ、データウェアハウスの考え方そのものを導入する必要がありました。
具体的には、データをどこに・どう格納するのか、レイヤー設計を検討し、適切なデータモデリングに落とし込む設計指針が求められていたのです。Snowflakeの機能や選択肢についても、岡野さんとの議論を通じて可能性を認識できました。
岡野:提案からは大まかに以下のフェーズで進行させていただきました。
- 提案~キックオフ:2ヶ月
- 要件定義:3ヶ月
- 技術検証(PoC):4ヶ月
- 運用検証:3ヶ月
- 実際の帳票を稼働させて検証
- 引き継ぎ/スキトラ(複数回の勉強会)を実施
- 開発プロセス強化/dbt導入:2ヶ月
- アドバイザリー支援
アットホーム様に納得感と自走するイメージを持っていただくことを最重視して構築させていただきました。ゼロからデータ基盤を構築することよりも、すでに走っている各部署のデータ活用を加速する土台を整えることを目指しています。そのため当初から高度な運用ツールを入れるのではなく、PoCや運用検証で「このデータ基盤の構成だと、こういう課題が生じる」という共通認識を重ねていき、その課題を潰す解としてツールを導入していきました。
アットホーム様のデータ基盤は、将来の拡張性の考慮として、データソース・活用共に関係部署が多岐にわたることを前提として設計しております。データの取り込みと活用を密結合にせず、できるだけ疎結合な構造にすることで、変更や拡張に強いデータ基盤を実現しました。機能追加やワークフローの見直しが生じても局所的な影響で収まるように配慮しています。
大泉:内製化を前提に、データ基盤の構築と平行して採用も順調に進めていきました。宮田の採用も、今回の取り組み期間中のことです。
宮田 大地様(以下、敬称略):primeNumber社とのお打ち合わせでは、「TROCCO」の新機能追加に対して作り手の目線と、アドバイザリーの目線、双方からの情報を共有いただけたことが印象的です。おかげで「新機能をどう生かすか」という議論が活発になっています。
大泉:TROCCOはアップデートのスピードが速く、直近でもワークフローでの条件分岐機能や、環境定義を切り替えてチューニングできる環境管理機能など、実務に効果的な機能拡張が続いています。そうした“イケてる”機能は積極的に取り込み、運用現場の生産性向上につなげています。
導入後の効果
単なる外部支援ではなく、チーム目線で技術力の向上とデータ基盤の構築に貢献

岡野:当社のプロフェッショナルサービスによって、どのような成果が得られましたか。
大泉:今回のデータ基盤の構築を、内製でゼロから着手していた場合、迷走しながら時間だけが過ぎるか、いびつな構成に落ち着くかの二択になった可能性が高いです。今回実装できたデータ基盤の構成にある程度自信を持てていること、技術的なあるべき姿を踏まえた構成にできたこと自体が大きな成果だと思います。
宮田:primeNumber社の伴走によって、Snowflake、dbt、そしてTROCCOといった技術のキャッチアップが着実に進み、現場のエンジニアにとって大きな支えになっています。日々追加される新機能のキャッチアップだけでなく、自社システムでは想定と異なるケースに直面した際の判断についても、適切な助言を得られたことが高評価でした。結果として、大きな方向転換に至る前に重要な論点を整理でき、現在のデータ基盤構築に生かせていると実感しています。
岡野:今回の取り組みでは、特定の技術を押し付けないスタンスを徹底し、既存ロジックの解析をこちらで進めつつも「アットホーム様のシステム環境では何が最適か」をチームの皆さんと同じ目線で考えること大事にしました。外部知見を持ち込みながらも、あくまでひとつのチームとして意思決定を支える、といったイメージです。
大泉:ご提案の段階から複数の構成案を丁寧に比較し、「技術としてのあるべき」と「自社の事情として譲れない点」の落としどころを一緒に探ってくれた点はありがたかったです。どちらかに偏ると、数年後にメンテナンス不能か、逆にガチガチでやりたいことができない自体に陥ってしまいますが、このあたりのバランスを強く配慮して進めてもらえたのが大きかったです。
今後の展望
目指すは現場に使われるデータ。華やかな技術より、まずは土台を整えることが重要

岡野:データ基盤の構築は現在も進行中です。今後、どのような成果を期待していますか。
伊計:データ基盤に加えて業務フローが整えば、これまで課題だった点や営業現場のデータ活用が大きく変わると考えています。ただ、データ基盤を構築してリリースすれば自然と使われるわけではありません。今は各部署が個別にデータを取りにいっていますが、それがデータウェアハウスを介することでどのように変わるかといった点を丁寧に伝えていかないと、活用される環境にはなりません。データ基盤の構築はまだまだ道半ばですが、ユーザー側と対話しながら活用まで導くことが、プロジェクトの本当の意味でのゴールだと思っています。
岡野:定量的な成果としては、工数削減が重要な指標になりますか。
伊計:そうですね。ただ、対象のユーザーは多岐にわたるので、厳密な数字で語るのは難しい部分もあります。私自身も以前は営業側にいたのですが、部署によって取得するデータや加工の仕方が異なり、会話がかみ合わないことが頻繁にありました。データ基盤が整うことで、共通のデータをもとに同じ目線で議論できるようになること、定性的ではありますが大きな成果になると感じています。
岡野:最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。
大泉:BIやAIといったトレンドをキャッチアップすることも大切ですが、それを活かすには土台となるデータがしっかり整備されていることが大前提です。弊社で取り組んでいるのは、すぐに成果が出るものではなく、長期的なアプローチかもしれません。地味ではありますが、必ず通らなければならない道だと思っていますので、今後も地道に取り組んでいきます。
プロフェッショナルサービスにご興味がある方は、是非お気軽にお問い合わせください。












