組織のデータ活用を促進するにあたって、異なるシステムやツールのデータをスムーズに連携・統合することは、非常に重要な要素となります。
しかし、異なるシステムを手作業で連携しようとすると、データの転記ミスや作業の煩雑化が発生し、ビジネスの成長を妨げる要因になりかねません。
この課題を解決する手段として注目されているのが「API連携」です。
APIを活用すれば、システム間でデータをリアルタイムにやり取りできるため、手作業を削減し、業務の効率化やデータ活用の高度化を実現できるのです。
本記事では、API連携の基本的なしくみや活用するメリット、具体的なステップ、活用事例まで詳しく解説します。 また、データ連携をさらに効率化させる、「ETLツール」についてもご紹介します。
「API連携でできることを知りたい」「どのような手順で進めるのかわからない」という方は、本記事の内容を参考に、API連携についての理解を深めましょう。
API連携とは
ここでは、API連携の具体的なしくみや、汎用性の高い「Web API」について解説します。
APIとは
APIとは、Application Programing Interfaceの頭文字を略した用語であり、異なるソフトウェアどうしをつなぐ役割を果たします。ユーザーは、ITツール・サービスが提供するAPIを利用することで、簡単にデータを連携できます。
APIが存在しない時代では、異なるシステム間でデータを共有する際、手作業でそれらのデータを転記する必要がありました。たとえば、顧客情報の管理においては、まず営業担当者がCRMに入力し、会計ソフトにも同様のデータを転記するといった具合です。このような状況では、入力ミスによるデータの不整合が生じますし、転記作業自体が非効率といえます。
そこで、この問題を解決するため、APIのしくみが登場しました。これより、システム間のデータ連携が自動化され、リアルタイムに情報を共有できるようになったのです。結果として、業務効率化とデータ品質の向上に寄与しました。また、さまざまなデータをシームレスに共有できるようになったことで、各ツール・サービスの本来の価値をより引き出せるようになりました。
WebAPIとは
Web APIとは、Web上で公開されている、インターネット上で使用できるAPIのことです。
Web API以外の一般的なAPIでは、そのAPIが書かれた特定の言語でしか利用できません。たとえば、私たちが日常的に利用するBluetoothのAPIも、「iOS/macOSならSwiftやObjective-C」「WindowsならC++かC#」のように、プラットフォームごとに異なる言語が必要になります。
しかしWeb APIは、HTTP/HTTPSと呼ばれるプロトコルを使用して通信を行うため、どのプログラミング言語からでも利用可能です。これにより、異なるプログラミング言語間での互換性が確保され、クラウドサービスやマイクロサービスとの連携が容易になりました。
たとえば、Google MapのWeb APIを利用すると、開発者は自社のアプリやWebサイトにGoogle Mapの地図機能を埋め込めます。これにより、地図機能を1から開発する手間を省け、本来の開発業務に注力できるのです。
他にも、CRMやグループウェアなど、さまざまなサービスがWeb APIを提供しています。その他のAPIについては、以下のAPI一覧の記事をご覧ください。
また、Web APIの多くは、REST(Representational State Transfer)やSOAP(Simple Object Access Protocol)といった通信規約を採用しています。REST APIはシンプルで柔軟性が高く、SOAP APIはエラー対策やセキュリティ強化に適している特徴を持ちます。
API連携の仕組み
API連携は、「ユーザー側が要求(リクエスト)を送ると、API提供者側が応答(レスポンス)する」しくみです。
リクエストは、使用中のアプリにおいて、API利用が必要とされるたびに行われます。また、期待している結果が得られなかった際も、レスポンスは返却されます。その際、データへのアクセス権限を管理するため、「APIキー」を利用するケースが多いです。
API連携の仕組みを、自動販売機でドリンクを買う仕組みに例えて説明します。
- 「API」=「自動販売機のボタン」
ボタンが自動販売機と購入者の間を仲介するように、APIもシステム間を仲介する役割を担います。自動販売機にボタンがついていないとドリンクを取り出す方法がないのと同様、APIがないとシステムどうしを連携できないのです。 - 「リクエスト」=「入金し、ボタンを押す操作」
API連携におけるリクエストの送信は、入金し、欲しいドリンクのボタンを押すことと同じといえます。 - 「リクエストの処理」=「自動販売機がドリンクを準備する作業」
自動販売機では、どこかのボタンが押されると、該当するドリンクを取り出す操作が内部で行われます。API連携でも同様に、リクエストを受信するとデータ処理が行われ、必要な情報を取得します。 - 「レスポンス」=「ドリンクの提供」
API連携におけるレスポンスは、自動販売機の取り出し口からドリンクが提供されることと同じといえます。 - 「APIキー」=「お金」
自動販売機では、入金しないとドリンクを購入できないのと同様、API連携においても、APIキーがないとアクセスできないケースが多いです。 - 「API連携に関するルール」=「ドリンクのラインナップ」
自動販売機では、コーヒーやジュース、水など、提供できる商品があらかじめ決まっています。API連携でも同様に、提供できるデータや機能が定められているため、リクエスト可能な内容は仕様に従う必要があります。
イメージ図があるとよいかも
API連携の目的
API連携の目的は、主に2つあります。
アプリ間の自動反映
1つ目は、独立しているシステム同士をシームレスにつなぐことです。これにより、リアルタイムでのデータ共有が可能となり、業務の効率化・自動化を実現できます。
「社員の情報はアプリAで管理しているが、人事評価ではアプリBを使用している」といった場合、それぞれのデータを連携していないと、手動でエクスポート・インポートを行う手間が生じます。一方、APIによってアプリ間を連携していれば、アプリAのデータ変更がアプリBに自動反映されるのです。
既存システムの拡張
2つ目の目的は、既存システムの機能拡張です。APIを活用することで、0から開発するよりもはるかに小さい工数で、欲しい機能を自社アプリやWebサイトに落とし込めます。
たとえば、近年では、カスタマーサポートにおいて、生成AIを利用したチャットボットが普及しています。
このチャットボットに使用するAIを内製しようとした場合、非常に膨大な工数がかかるでしょうし、社内に開発できる人材がいるかもわかりません。しかし、ChatGPTなど既存の生成AIと自社サービスをAPI連携させれば、専門的な知識なく容易にチャットボットを実現できるのです。
API連携の4つのメリット
API連携には、業務の効率化・自動化だけでなく、さまざまなメリットが存在します。ここでは、API連携の主なメリットを4つご紹介します。
開発工数を削減できる
機能拡張が目的の場合、APIを利用することで、「要件定義→設計→開発→テスト」といった開発フローをカットできる可能性があります。
また、多くのAPIは無償で提供されているため、ランニングコストの削減にもつながります。一部、有償のAPIも存在しますが、高度な機能やカスタマイズオプションを提供しているため、開発・保守にかかるコストを鑑みると、総合的なコストパフォーマンスは高いといえるでしょう。
公開ソフトウェアのデータを二次利用できる
API連携の恩恵として、外部ソフトウェアやサービスが持つ公開データを二次利用できる場合があります。
通常、自社のみで分析に必要なデータを1から収集するのは、膨大な時間とコストがかかります。しかし、APIを通じて公開されているデータを取得することで、必要な情報を簡単に取得し、自社の分析に活用できるのです。
たとえば、総務省統計局などの公的機関は、人口統計や消費者動向などのデータをAPIを通じて一般公開しています。これらのデータを利用することで、現在のターゲット市場の規模や特性を容易に把握でき、効果的なマーケティング施策につなげることが可能です。
また、XやFacebookなどのSNS業界でも、APIの積極的な公開が進んでいます。これにより、SNSの口コミなどを活用したユーザーの興味・関心の分析が促進されれば、ターゲットにより適したプロモーションやサービス提供が可能となるでしょう。
UXの向上に寄与する
API連携は、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上にも寄与します。
今までなかった機能やデータが追加されることで、自社サービスやWebサイトにおいてより高い利便性を提供できるようになるためです。とくに、広く利用されているソフトウェアを連携させれば、ユーザーの使い勝手を格段に向上します。
たとえば、自社のECサイトと既存の決済システム(PayPalやStripeなど)をAPI連携させることで、自社サイトにおいてそのシステムの決済機能を導入できます。これによりユーザーは、クレジットカード情報を都度入力する手間を省略できるようになるのです。ECサイトでは、スムーズな決済体験が購買率の向上に直結するため、API連携によるUX改善の効果は大きいといえるでしょう。
セキュリティを確保しやすい
アプリ開発においては、セキュリティを高い状態で維持することも、非常に重要な要素です。この点においても、API連携は大きなメリットを提供します。
社内で開発を行おうとすると、社内にセキュリティに関する知見を持った人材がいる必要があります。しかし、中小企業やベンチャー企業では、そういった人材の確保が追いついていないケースもあるでしょう。
その場合、API連携により、セキュリティレベルが高い外部サービスを利用することが効果的です。たとえば、FacebookやX(旧Twitter)、Googleなどのサービスを認証システムとして利用することで、自社サービスのセキュリティを確保できます。
Open API(外部API、パブリックAPI)では、開発者のデータへのアクセス容易性を重視し、セキュリティ対策が緩和されていることが一般的です。したがって、APIを通じて機密情報が漏洩したり、APIの脆弱性を突いた攻撃に遭ったりするリスクがあります。
しかし、これらの認証システムでは、OAuthなどの標準的な認証プロトコルに基づいており、一般的なAPIよりセキュリティは強固です。また、定期的にセキュリティ対策を更新しており、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えるように努めています。
APIを利用する際の4つの注意点
さまざまな活用メリットが存在するAPI連携ですが、利用にあたって注意すべき点も存在します。API連携を実施する際は、以下で説明する4つの注意点を頭に入れておきましょう。
料金体系を把握しておく
APIは、無償で提供されている場合が多いですが、一部有償なものも存在します。APIを利用する際は、そのAPIの課金モデルを正確に把握しておき、予想外のコスト発生がないようにしましょう。
有償のAPIでは、コスト効率やスケーラビリティに優れている点から、従量課金制が採用されるケースが多いです。API利用においては、リクエスト数やデータ転送量に応じて料金が加算されます。
例として、Amazon API Gatewayでは、新規契約者を対象に、「REST API 月間コール受信数100万件」「月間接続時間750,000分」などの無料利用枠を設けています。(最大12ヶ月)
一方、無料利用の有効期限外となった場合、もしくは利用量が無料利用枠を超えた場合は、従量課金制となるため注意が必要です。たとえば、東京リージョンでHTTP APIを利用する場合、APIコールの受信数に応じて、以下のように料金が発生します。(2025年1月現在)
月間リクエスト数 | 価格(100万件あたり) |
〜3億 | USD 1.29 |
3億〜 | USD 1.18 |
Amazon API Gatewayの詳しい料金体系はこちら
利用制限に気をつける
APIにはしばしば、APIの利用制限(レートリミット)が設けられています。これは、大量のリクエストが同時に送信されることによるサーバーへの過剰な負荷や、不正アクセスを未然に防ぐためです。
たとえば、kintoneのデータ連携に利用するkintone REST APIでは、以下のような利用制限が設けられています。
- 1日あたりのリクエスト数:1アプリにつき10,000件まで(スタンダードコースの場合)
- 同時アクセス数:1ドメインにつき100件まで
ユーザー側は、この利用制限を超えると、エラーメッセージが返されたり、一時的にアクセスが停止されたりします。API連携を行う際には、事前に利用制限を考慮して、計画を立てておくことが大切です。
API提供元のトラブルへの対応策を考えておく
API連携は、場合によって開発の手間を大きく削減できる点が大きなメリットです。しかし裏を返せば、APIの提供元に強く依存してしまいます。そのため、API提供元のサーバー障害やサービス停止など、予期せぬトラブルが生じた場合、自社システムにも大きな影響が及ぶと想定されます。
API連携を実施する場合は、それらのリスクを理解しておき、BCP(事業継続計画)を策定しておくなど、何らかの対応策を用意しておくことが大切です。
セキュリティ管理を徹底する
API連携では、機密情報や個人情報を扱うケースがあります。不正アクセスやデータの漏えいが発生しないよう、徹底したセキュリティ管理を心がけましょう。
たとえば、以下のようなセキュリティ管理が有効です。
- APIキーとシークレットキーを厳重に管理する
APIキーとシークレットキーは、ログインIDとパスワードに相当するものです。第三者に伝えたり複数部署で使い回したりするのは控えましょう。 - 適切な権限付与を行う
API利用時の権限付与も最低限の範囲にとどめておくべきです。 - マスキング処理を活用する
個人が特定されないように、マスキング処理を行うことが重要です。たとえば、氏名や住所の一部を伏せたり、生年月日を年代に変換したりすることで、個人情報保護を強化できます。
また、リスク防止の観点では、API連携を行う前に、APIの挙動(どのようにデータが送受信されるかなど)を事前に確認しておくことも重要です。
海外APIの利用時は時差を考慮する
海外のAPIを利用する際は、提供元のタイムゾーンや国別の祝日を考慮する必要があります。
たとえば、APIのメンテナンスが提供元の現地時間で深夜に行われる場合、日本時間では業務時間にその影響が出る場合があります。提供元のメンテナンス時間やサポート対応時間を事前に確認しておきましょう。
また、データ取得時の時間(タイムスタンプ)が現地時間で記録される場合があります。APIのレスポンスにタイムゾーン情報が含まれていたら、時間での差分が生まれてしまうのかを確認し、発生してしまう場合は一度データベース上などで、日本時刻への変換をさせる必要性があります。
API連携の5ステップ
「API連携の仕組みやメリット、注意点は理解したが、具体的な実施手順がわからない」という方も多いでしょう。ここでは、API連携を実施するための5つのステップをご説明します。
1. 要件をまとめ実装目的を明確にしておく
まずは、API連携で何を実現したいのかを明確にしましょう。
たとえばAPI連携では、以下のような目的が考えられます。
- SNSとAPI連携することで、投稿やいいね数、トレンドなどのデータを収集し、自社サービスに対する顧客の反響を調査・分析する
- POSレジと自社アプリをAPI連携することで、POSレジの詳細なデータを活かした販売促進を行う
- 決済サービスと自社アプリをAPI連携することで、簡単なオンライン決済を可能にし、顧客体験を向上させる
また、上記のような目的をもとに、実際に実現可能なAPIを調査し、「どうすれば実装できるか」を要件定義書などでまとめておくことも必要です。
2. API提供元を選定する
次に、事前に調査したAPIで、目的が達成できそうなAPIを選定します。たとえば、顧客データの同期が目的の場合、APIにデータの取得・更新・削除などの必要な機能が含まれている必要があります。
また、このタイミングで利用制限や料金体系についてもシミュレーションしておき、自社の要件に合致しているか確認しておきましょう。実装後に「想定よりもコストがかかっている」といった状況に陥らないよう、事前に予算内で運用可能かを判断しておくことが大切です。
3. ユーザー登録を行う
APIを活用する場合、何も登録せずに利用できるサービスもありますが、一部サービスでは事前に利用者のユーザー登録が必要になります。その場合は、個々の担当者で行うのではなく、情報システムやエンジニアなど、システムを管理している部門と連携して登録するようにコミュニケーションをとることも重要です。各部門がそれぞれで登録することで情報漏洩のリスクも高まるため、システム連携をする際には注意がとくに必要になります。
ユーザー登録で入力が求められる項目は、おおむね以下の通りです。
- APIの利用目的
- ソフトウェアの名称
- ソフトウェアの概要
- トップページ(公式サイト)URL
- 戻り先(認証処理後にユーザーを戻す)URL
- 現在の居住地
APIの利用審査には、1、2日を要する場合があります。時間に余裕を持って、登録を行いましょう。
4. APIキー・シークレットキーを取得する
ユーザー登録を終えたら、APIキーを取得しましょう。APIキーは、アプリやユーザーの識別・認証に用いられるコードで、不正利用を防ぐために必要なものです。APIのキーが発行されるサービスもありますが、ターミナルでキーを発行する場合もあるため、取得方法に関してはサービスごとに確認をしていきましょう。
APIキーとシークレットキーは、ログインIDやパスワードに該当するものです。複数部署での使い回しを避けたり、適切な権限付与を行ったりして、セキュリティ管理を徹底しましょう。
5. 実装する
実際にAPIの実装内容と連携に必要な情報の取得が完了したら、各サービスで設定を行います。
しかし、多くのサービスでは、実装には管理者権限やオーナー権限が必要になります。そのため、情報システム部門やエンジニア部門以外の担当者では、個人での実装が許可されていないケースが多いです。その場合は各部門間で連携し、定められたスケジュールに沿って実装を進めていきましょう。
また、実装後の調整が必要になる場合もあります。たとえば、JSONやJavaScriptの配列関数に変更が生じる場合は、実装担当部門への連携依頼が必要です。長期的に安定した運用を実現するためには、事前に部門間で認識をすり合わせておきましょう。
API連携の活用事例
API連携には、さまざまな活用方法が存在します。ここでは、カテゴリー別に3つの活用事例をご紹介します。
社内システム
API連携により、社内の異なるシステム間を連携することで、データを一元的に管理できるようになり、業務効率化を実現できます。
たとえば、営業に関するデータをSFAやCRMで別々に管理している場合、毎回同じデータをそれぞれのツールに手動で入力する必要があります。これにより、ヒューマンエラーの発生リスクが高まり、データの整合性も低下するのです。
しかし、API連携により、それぞれのツールで管理しているデータを自動同期させれば、手動の入力作業を削減できるのです。これにより、データの整合性は保持され、業務効率化や分析精度の向上に寄与します。また、データの一元管理が実現されることで、部門間の情報共有もスムーズになり、迅速な意思決定が可能となります。
SNS
API連携により、SNSと自社で使用しているデータ分析システムを連携させることで、SNSに寄せられる顧客の生の声を収集し、顧客体験の向上に活かせます。
今や、X(旧Twitter)やInstagramなどに寄せられる自社サービスへの投稿や口コミの収集は、顧客のリアルな声を聞くうえで欠かせない要素となりました。しかし、それらの情報を手動で収集するのは、手間も時間もかかる作業です。また、SNSに寄せられる情報はリアルタイム性が高いため、収集に時間がかかってしまうと、顧客対応や改善施策への反映が遅れてしまいます。
そこで、 SNSと自社のデータ分析システムをAPI連携させることで、顧客の投稿や口コミをリアルタイムで自動収集できるようにします。これにより、自社サービスに対する顧客の反応を即座にキャッチし、迅速に次の施策へつなげられるのです。
DWHとSaaSアプリケーションの連携
組織内において、顧客管理やマーケティング活動、営業において、さまざまなSaaSアプリケーションが利用されているでしょう。それらに蓄積されている多種多様なデータをAPIを通じてDWHに統合することで、部門やシステムを横断した包括的な分析が可能になります。
たとえば、顧客情報や営業データ、マーケティングデータなどをDWHに取り込むことで、顧客の購買行動や解約リスクなどを分析できます。これにより、顧客満足度向上や売上向上につなげることが可能です。
また、API連携を行うことで、SaaSアプリケーションのデータをほぼリアルタイムでDWHに取り込めるようになります。これにより、常に最新の情報を基にした分析や意思決定が可能になり、変化の激しいビジネス環境でも柔軟に対応できるようになるでしょう。
ETLツールを用いたデータ連携
API連携は、おもに「異なるシステム間のデータ連携」「機能拡張」の2つの目的で広く活用されています。APIを活用すれば、開発工数を大幅に削減しつつ、さまざまなサービスやアプリをシームレスに連携可能です。
しかしAPI連携には、以下のような課題も存在します。
- データを整形する機能がない
API連携では、取得したデータをそのまま受け取るケースが多いです。そのため、データの変換・加工を行いたいときは、別途データ整形のロジックを実装する必要があります。 - 大規模なデータ処理に向いていない
API連携は、都度リクエストを送信してデータを取得するしくみです。そのため、大規模なデータだとリクエスト数が膨大になり、パフォーマンスが低下する場合があります。 - プログラミングスキルを要する
APIは、仕様書(ドキュメント)に沿って、リクエストを送信し、データを取得するしくみです。この過程で、HTTPリクエストの構築や認証の実装、レスポンスの解析(JSON、XMLなどの処理)が必要になります。また、エラー処理やリトライの際にもプログラミングスキルが求められます。
そこで、「ETLツール」が有用です。ETLツールは、異なるシステムやフォーマットのデータを統合し、そのデータを分析や意思決定に適した形に整える役割を果たします。
データの変換・加工のための機能が提供されているため、容易に目的に応じたデータ整形を実施できます。また、データウェアハウス(DWH)などの分析に特化したデータベースと接続することで、ビッグデータにも対応可能です。さらに、さまざまなデータソースとの連携機能を標準で備えており、ノーコード/ローコードでデータ連携を実現できるサービスも多く存在します。
データ連携においてETLツールが担う役割は、以下のとおりです。
- データの抽出
多様なデータソース(データベース、ファイル、APIなど)から必要なデータを取り出します。スケジューリング機能を活用することで、抽出を自動化できます。 - データの変換・加工
抽出したデータを、目的のフォーマットに整形します。具体的には、欠損値や誤りを修正するデータクレンジングや、日付形式・通貨単位を統一するデータの正規化などです。 - データの書き出し
整形されたデータを、次のターゲットシステム(データウェアハウスなど)に格納します。
このプロセスを経ることで、API連携だけでは難しかった大規模データの処理や複雑なデータ変換も容易に実現できるのです。
ETLツールならTROCCOがおすすめ
ETLツールの中にもさまざまなサービスがあり、それぞれが異なる特徴を持ちます。ここでは、クラウドETLツールである「TROCCO」の特徴を3つご紹介します。
ノーコード/ローコードでデータ連携できる
TROCCOでは、ノーコード/ローコードでデータ連携が実現できます。画面上の操作のみで完結するため、プログラミング言語やデータ設計の領域に明るくない方でも簡単にロジックを実装できます。
一方、必要に応じて、柔軟にカスタマイズを行うことも可能です。
ETLツールによっては、複雑な構築や直接SQLなどの言語を記述できないケースも多々あります。しかしTROCCOでは、エンジニア向けにSQLなどによる記述にも対応しており、データ抽出や変換・加工に詳細な条件を設けることも可能です。
100種類以上のデータ接続先を保有している
TROCCOでは、100種類以上の接続先をご用意しています。この豊富なコネクタにより、部門ごとに分散しているさまざまなデータを統合でき、社内のデータ利活用の幅を大きく広げることが可能です。
たとえば、マーケティング部門では広告データとWeb解析データを組み合わせた効果分析ができ、営業部門ではSFAとCRMを連携して顧客管理の効率化が可能です。また、経理部門においては、会計システムと販売データを統合し、リアルタイムな売上レポートを作成できます。
このように、各部門の業務プロセスを横断したデータ活用が実現します。業務の自動化や分析の高度化を促進し、企業全体のデータ活用をサポートするツールとなるでしょう。
日本発のサービスである
TROCCOは、弊社primeNumberが提供する、日本発のETLツールです。
海外ツールでは、言語の壁やサポート対応の遅さがしばしば課題となります。しかし、TROCCOは日本語でのサポート体制を整えており、平日の日中帯であれば、Slackやメールでご対応が可能です。
また、導入後のオンボーディングMTGやTROCCOの仕様問合せ対応、エラー要因分析も実施しております。これらの伴走型サポートの費用は、TROCCOの基本プラン内に含まれているため、追加料金なしでご利用いただくことが可能です。
まとめ
本記事では、API連携のしくみや活用メリット、利用開始の具体的なステップ、活用事例を解説しました。
API連携は、異なるシステム間をつないだり、既存システムの機能を拡張したりするうえで、非常に有効な手段です。とくに、開発工程の一部を省略でき、工数削減に大きく寄与します。
一方、異なるシステムのデータ連携を実現したいと考えている方には、ETLツールの活用もおすすめです。ETLツールは、「データの整形作業が大変」「大規模なデータを扱えない」「プログラミングスキルが必要」といったAPI連携の課題を解決します。
記事内でもご紹介した「TROCCO」は、ETL/データ転送・データマート生成・ジョブ管理・データガバナンスなどのデータエンジニアリング領域をカバーした、SaaS型のETLツールです。プロダクトに興味がある方や自社のデータ連携のお困りの方は、ぜひ一度primeNumberにご相談ください。めていきたいとお考えの方や、プロダクトにご興味のある方は、ぜひ以下の資料をご覧ください。。
