デジタル時代、膨大なデータが生成され続けています。このデータから価値のある情報をリアルタイムで抽出し、迅速に意思決定を行うことが企業の競争力を左右します。そこで注目されているのが「複合イベント処理(CEP)」です。CEPは異なるデータソースからのイベントをリアルタイムで監視・解析し、意味のあるパターンや異常を検出する技術です。

この記事では、まず複合イベント処理の基本概念を解説し、そのメリットや具体的なユースケースを紹介します。

複合イベント処理(CEP)とは?

複合イベント処理(Complex Event Processing:CEP)とは、刻々と発生する膨大なデータをリアルタイムで処理し、そのデータの中から有益な情報だけを分析する工程のことを指します。イベント処理、イベントストリーム処理、ストリーム処理とも呼ばれることもあります。

一般的なシステムだと、データベースにデータを保存してからSQLなどでクエリーによる抽出・分析をします。しかし、多数のユーザーが同じシステムで処理を試みる場合には、数秒遅延しただけでシステムの整合性が取れなくなることも想定されます。

この数秒単位の遅延が発生しないように、膨大なデータをより短時間で処理できるのがCEPです。CEPでは、データベースにデータを格納する前に、または格納せずにデータの参照をします。

外部から取得したデータをメモリ上でそのまま抽出・集計・分析するため、よりリアルタイム性の求められるシステムに有用です。CEPは、毎秒数万〜数百万イベントをルールにしたがってスループットします。

複合イベント処理(CEP)を使うメリット

前述した通り、CEPは、データをメモリ上でそのまま扱うことができます。リアルタイム性の高い、数秒数分単位で変化するシステムに用いることができるため、より柔軟にデータを扱えるメリットがあります。

とくに、組織で複数部門にまたがってデータを扱う際には、CEPが有用です。

CEPを用いることで、変化の激しい、誤りがあってはいけないデータをリアルタイムでパターン分析をすることができるようになります。これによって、より正確な意思決定が可能となります。

また、CEPが各イベントに対してどのような処理をするかはルールに準拠するため、イベントパターン変更の際にもルールを変更すれば問題ありません。そのため、システム全体を改修するなどの、大規模なプログラミングは不要です。

昨今では、ConfluentがCEPをApache Flink®に取り入れ、よりコストパフォーマンスの高いシステムをサポートしています。

複合イベント処理(CEP)のユースケース

CEPのユースケースとしては、下記のパターンが当てはまります。

リアルタイムマーケティング

リアルタイムマーケティングでは、CEPを活用して消費者の行動データをリアルタイムで分析し、個々の消費者に対してタイムリーかつ適切なマーケティングメッセージを配信します。

たとえば、オンラインショッピングサイトでユーザーの閲覧履歴やカート内のアイテムを即座に分析し、そのユーザーに関連する商品を推薦可能です。これにより、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、コンバージョン率を高められます。

銀行での不正行為の発見

銀行でのキャッシュカードを用いた不審な出金や、クレジットカードでの不正な決済などを検知する際にも、CEPは用いられます。

たとえば、大量の小額取引や異常な時間帯での取引など、不正行為の兆候となるパターンを識別し、迅速に対応可能です。これにより、金融機関はリスクを最小限に抑え、顧客の資産を守ることができます。

よりリアルタイムに顧客の利用履歴を分析することで、顧客の資産の安全を確保します。

IoT センサーを使った検知と対策

CEPは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を用いてビッグデータを分析することにより、より緻密な異常検知が可能です。

たとえば、サイバー攻撃であるDoS(Denial of Serviceサービス拒否)攻撃は、過剰なトラフィックでシステムをダウンさせる悪質な手法です。CEPを用いることによって、正常なトラフィックのパターンを確立し、IoTデバイスからのトラフィックが設定したベースラインを超えると異常検知により警告を出します。

また、不審なIPアドレスからのアクセスがあった場合、そのアドレスからのトラフィックをブロックするように設定することで、システムの安定性が保たれます。

実例として、Amazon EMR および IoT センサーネットワークで Apache Flinkを用いることによって、山火事の素早い検出に役立っているケースもあります。

株式市場取引での売買の決定

株式市場取引のような、分単位で価格が変動するような、流転の激しいサービスの場合にも、CEPが用いられます。

たとえば、市場の動向や特定の銘柄の取引パターンを即座に解析するのに有用です。これにより、適切な売買指示を出せるようになり、投資リターンを最大化できます。トレーダーが株価の変動イベントを追跡し、株式市場の売り買いを判定することで、資産増大の機会、資産減少の脅威の判断・予測に役立ちます。

まとめ

今回は、CEPの特徴やメリット、ユースケースについて解説しました。
よりリアルタイムなデータの解析をするためには、TROCCOが有用です。

TROCCOは、データ統合と管理を簡素化するプラットフォームであり、CEPでのデータ処理にも有効です。TROCCOを活用することで、多様なデータソースを簡単に連携させ、CEPの導入や運用を効率的に進められます。
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