デジタル化が進む現代において、組織のデータ分析の重要性はますます高まっています。データ分析に便利なLooker Studioを使っているものの、パフォーマンスやデータ更新、データ投入などの「活用方法」に課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2024年4月11日に開催されたセミナーをもとに、「Looker Studio×BigQueryで低コストに組織のデータ分析を実現する方法」を説明していきます。また、TROCCO®とLooker Studio、BigQueryを組み合わせた機能と利点などについてもお伝えします。
- Looker Studioを使っているが、パフォーマンス・データ更新・データ投入などの「活用方法」に課題を感じている
- BigQueryやLooker Studioを活用した、データ分析基盤の導入を検討している
- データ活用を始めたいが何から始めたらよいかわからない
- Looker Studioをより効果的に活用するための手法を知りたい
- BigQueryやLooker Studioを活用した、データ分析基盤の導入の具体的な手法と気を付けるポイントとは?
- 低価格なサービスでデータ活用をスタートする具体的な手法を知りたい
社内でデータの利活用を推進していく上で、このような課題を抱えている方はぜひお読みください。
なお、動画でご覧になりたい方は以下よりご視聴ください。
TROCCO®ならあらゆるデータの連携・整備・運用を自動化し、
スピーディーにデータ活用の環境を整備できます。
TROCCO®の利用やLooker Studio、BigQuery等の詳細について知りたい方は、
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講演者紹介
堀川 工望/アンドデジタル株式会社 取締役COO
2016年ソウルドアウト株式会社に入社。SEM・SNS・フィード広告の運用部門を経験。2019年にデジタルオペレーションセンター四万十のセンター長に就任。並行してカシカ事業の立ち上げを担う。2021年にアンドデジタル株式会社に出向後、デジタルオペレーション本部長に就任。2023年1月より現職。
薬丸 信也/株式会社primeNumber Head of buisiness development
株式会社キーエンスにて製造業向けコンサルティングエンジニアとして従事した後、株式会社primeNumberにパートナー営業・エンタープライズ営業としてジョイン。現在は、広告・IT関連から製造・小売りまで業界を問わず、データ活用基盤の構築を支援している。
SECTION 1 BigQuery x Looker Studioで組織のデータ分析を改善する方法
堀川氏より、BigQuery x Looker Studioで組織のデータ分析を改善する方法などについてご説明いただきました。
堀川氏:「Looker StudioはGoogleが無料で提供しているデータ分析、管理、レポート作成が可能なビジネスインテリジェンス(BI)ツールです。
Looker StudioはGoogleアカウントがあれば無料で利用可能で、有料のTableauなどと同等のサービスを利用できます。
主にライトなユーザーが利用しており、多くのユーザーがスプレッドシートのデータを読み込んでダッシュボードを作ったり、Google Analyticsのデータを直接取得して自社サイトのGAデータを確認する、といった使い方をしています。」
堀川氏:「Looker Studio Proは、Looker Studioの有料版で、エンタープライズ向けの機能と技術サポートが追加で提供されるものです。IAM権限管理やチームワークスペース、データソースの暗号化、監査ログを含む組織管理機能が追加されています。
さらに、レポートの管理や、組織内でのフォルダ分けによる管理機能も備わっており、組織的なデータ管理をより一層強化しています。
ただし、現状では急いで有料版に移行する必要はなく、無料版でも十分な機能を享受できます。
プロ版では限定的に提供される新機能が徐々に追加されているため、今後は無料版とプロ版との間で機能の差別化が進む可能性があります。」
堀川氏:「Looker Studioは、とくに以下の方々に有効なツールです。
- データ分析を行っている人
- ビジネス情報を分析する人
- マーケティング担当者
- IT専門家や開発者 など
売上を把握したい、営業の分析を行いたいと考えているマネージャーなども対象です。」
堀川氏:「Looker Studioは販売データや顧客の行動、運用データ、財務データといったさまざまなデータの分析に利用されます。
- 販売戦略の最適化
- 顧客エンゲージメントの向上
- 業務プロセスの効率化
- 財務健全性の分析 など
以上のようなデータドリブンな意思決定をサポートします。
昨今、データを活用した意思決定がとても重要になっています。BIの導入やデータウェアハウスの導入など、データ分析を強化する取り組みが急速に進んでいます。
全員が共通のデータを見ることによって意思決定をスムーズに進めたり、議論をファクトベースに進める効果があるためです。」
堀川氏:「今回のセミナーの主題は、Looker Studioを使用していて、スプレッドシートやGAコネクタを使用するユーザーが抱える問題を解決することです。
よくある問題には以下が挙げられます。
- データが重い
- データ更新が面倒
- データソースの統合が難しい など
たとえば、スプレッドシートのデータに毎回アクセスするためにデータが重い、データ更新を自動化できていない、などといった課題がよく挙げられます。
Looker Studioでは単一のデータソースからデータを取得可能ですが、複数のデータソースから取得したデータを統合する高度な機能は限定的です。さらに、Looker Studioの情報自体が少ないため、『この機能を使いたいが実装できるか?』といった疑問を持つユーザーが多いのです。
今回のセミナーでは、Looker StudioとBigQueryを使用して各課題を解消する方法について説明します。」
BigQueryを利用する機能的メリット
堀川氏:「BigQueryは、Googleが提供するエンタープライズ向けのデータウェアハウスサービスで、データの倉庫ともいえるものです。
なぜBigQueryが優れているかというと、大量のデータを高速で処理できるためです。しかもサーバーの管理や運用は不要で、SQLを利用して必要なデータを抽出、加工できるのです。
また、コストパフォーマンスも優れています。データベースの専門知識がなくても利用可能で、Googleの各種サービスとの連携も可能である、という点でも利便性が高いです。」
堀川氏:「BigQueryを利用する際の主なメリットの1つは、課金システムです。課金システムは5種類に分かれていますが、一般的には『ストレージ料金』と『分析料金』が利用されます。
ストレージ料金は、データが保存されている容量に対する料金です。分析料金は、クエリを実行した際のデータ量に対する料金です。
堀川氏:「BigQueryは、一定量のデータ処理や保存を無料でできることに大きなメリットがあります。
無料枠内であれば、たとえば2万行x5列のテーブルを2つ統合しても、データ量はおよそ1.98MBとなり、処理可能なデータ量1TB/月には余裕があります。
さらに、データの保存についても、2万行x 5列のテーブルを保存したと仮定しても、データサイズはおよそ160KBに過ぎず、保存可能なデータサイズ10GB/月の範囲内に収まります。
BigQueryの無料枠はとても大きなメリットといえます。一方で、大量データの処理や、頻繁なデータアクセスには課金が発生する可能性があります。」
堀川氏:「Looker StudioとBigQueryの組み合わせで得られるメリットを紹介します。
データ量がとても多い場合、接続が不安定になる可能性があります。データを読み込んでいる途中で接続が途切れたり、データが正しく読み込まれなかった場合にシステムが落ちてしまうという問題です。
これがLooker Studioを使用する際に発生する問題点です。しかし、BigQueryを組み合わせることで、問題を大幅に改善できます。」
堀川氏:「BigQueryは、大容量のデータを扱うことが簡単で、データ統合もスムーズです。
まずスプレッドシートからBigQueryにデータを外部テーブルとして取り込み、データ統合や加工を行います。その後、データをBigQueryからLooker Studioに連携させ反映するといった流れです。
この手順によって、データ分析にかかる負荷が大幅に軽減できます。レポート作成の処理が遅くてストレスを感じていたり、複数のデータを統合できないという問題も解決できます。Looker Studioから直接クラウドサービスにアクセスするのではなく、BigQueryのデータを利用してデータ処理を行う方式です。これにより、データの読み込みロードが不要になり、とてもスムーズに分析作業が進むのです。
そもそもLooker StudioはBigQueryをソースにできるため、データをBigQueryに入れておけば直ぐにBIにてレポート作成できます。
また、SQLを使用することにより、複雑なデータ加工や処理も可能です。BigQueryを使用すれば、スプレッドシートが壊れてデータが失われたり、誤ってデータが貼り付けられた際に発生するエラーを避けることも可能です。
つまり、ユーザーが意図せずにデータを壊すというリスクが大幅に減るのです。BigQueryを活用することで、データの保護や整合性を担保するデータガバナンスの観点からもメリットがあるのです。」
データを分析するカスタムクエリ機能について
堀川氏:「Looker StudioとBigQueryを使って、データを分析するカスタムクエリ機能について説明します。
カスタムクエリ機能は、Looker StudioのBigQueryコネクタでのみ利用可能です。カスタムクエリ機能を用いると、BigQueryに保存されているデータをそのまま読み込むのではなく、SQLを用いてデータを加工して取り込むことが可能になります。
ビューを作成すれば可能な処理ですが、パラメータ機能を利用することで、さらに多機能性が増します。
たとえば、ユーザーの情報に基づいて取得するデータを動的に変更することや、レポートから入力を提供し、それに基づいて取得するデータを変更するなどが可能です。
カスタムクエリを利用することで、レポートの表現力が飛躍的に向上し、これまで困難だった分析を実現できます。」
堀川氏:「BigQueryを利用すると、一定の期間を選びたい、いわゆる任意期間比較の機能を実現できます。任意期間比較の機能は、Google Analyticsのようなツール上で見かけるもので、特定の期間と別の期間の比較が可能です。
しかし、Looker Studioは一度に1つの期間しか指定できないため、任意期間比較が難しいのです。そこで、以前説明したパラメータ機能を使用することで、任意の期間を選択でき、各期間で収集したデータを並べて比較できます。
BigQueryの活用によって、Looker Studioでも任意期間比較が可能になるわけです。」
堀川氏:「BigQueryの機能的なメリットについてご説明します。期間軸が2つ存在するデータ分析のケースについてです。
たとえば、売上や粗利の計上時期とデータのまとめられた時点、つまり『いつのデータなのか』についての情報がある場合です。
これは、商談データなどでよく見られます。先週までのデータと今週のデータについて、各期間でどれだけデータが増加したかを分析したいというニーズです。しかし、2つの期間軸を持つデータの分析は、Looker Studioだけでは難しい場合が多いのです。
先ほど紹介したパラメータの有効利用により、2つの期間軸を用いた分析が可能となります。」
堀川氏:「たとえば、先週と今週のデータを参照し、今月の見込みがどの程度増減したかを分析する場合や、特定の商談の成果を別の時間枠と比較するなどが可能です。」
堀川氏:「BigQueryを用いることで、現在閲覧しているアカウントをパラメータとして受け取ることができます。閲覧アカウントによって、データを表示するか非表示にするかが選択できるのです。
たとえば一部の人に表示を制限したい情報がある場合、情報の表示を制御できます。カスタムクエリを使って、閲覧アカウントのメールアドレスや任意のテキストパラメータで与えられる文字列に基づいた条件を設定できます。その条件に合致する場合にはデータを表示し、合致しない場合にはデータを非表示にします。
このようなカスタムクエリを作成するには、SQLの知識が必要です。しかし、SQLの知識があれば、今までカスタムできないと感じていた分析も可能になります。
この柔軟なデータの表示制御が、BigQueryとLooker Studioを組み合わせて導入する1つの大きなメリットです。」
BigQueryでデータを管理する
堀川氏:「BigQueryを使用してデータを管理するには、いくつかのスキルが必要です。
1つ目は、データ分析の知識です。どういうデータが必要で、その目的は何か、そして必要に応じてデータが利用できるかを理解することが大切です。
データ分析の手法には集計分析、比較分析、トレンド分析などがあります。それぞれの手法で、分析対象となる数値や指標を分類する属性を選択し、適切なグラフ、チャート、または表を使用してデータを可視化します。
2つ目に、SQLの知識も必要です。データ取得、加工、更新にはSQLが必須です。最近ではChatGPTなどの技術が進化しており、必要な情報と目的さえ与えれば、自動的にSQLクエリを作成してくれるツールがあります。
ツールも積極的に活用していくことで、データ分析全般の作業効率を向上できます。」
堀川氏:「BigQueryを効果的に操作するには、各スキルの理解が必要です。データベース自体の知識はそれほど必要ないと説明しましたが、たとえばデータ型の知識など、特有の言葉を理解する必要があります。
専門知識を有するデータエンジニアが理想的ですが、自分自身で操作する場合には、ある程度の知識が備わっていることが望ましいです。」
堀川氏:「BigQueryでは、たとえば広告やGoogle Analytics、HubspotやKintoneなどからのさまざまなデータを集約できます。
各種データを一元化し、データウェアハウスとして管理できます。データウェアハウスでは必要なデータを必要なときに取り出せるように保存しておくことで、組織の課題に対応できます。
各データはLooker Studioを使用して可視化するだけでなく、Googleスプレッドシートで予算管理表を作成するなど、各種の用途に使用できます。
加えて、APIを活用してKintoneのデータをHubspotに移行するなど、各種ツール間でデータを連携できます。さらに、広告に関連するデータや、最近のトレンドであるオフラインコンバージョンに関するデータを送信できます。
BigQueryとETLツールを活用すれば、必要なデータを効率よく集めて、適切に加工し、活用できます。」
BigQuery x Looker Studioで組織のデータ分析を改善
堀川氏:「BigQueryとLooker Studioを組み合わせることで、組織のデータ分析を大幅に進化できます。
アンドデジタル株式会社が提供する『カシカ』というデータ可視化サービスでは、マーケティング領域でのさまざまなデータを可視化する環境を整備しています。
たとえば、不動産向けの分析であれば、『カシカ不動産』というツールでお客様から提供いただいた資料請求や来場予約のログデータをもとに、不動産ポータルサイトなどから資料請求や来場予約までの経路を一目で確認できます。
EC向けには、『カシカ多品目EC』というツールでお客様から提供いただいたカートASPの実績ログデータをもとに、流入経路別の売上、粗利、購入数や継続率、LTVなどを一目で確認できます。
『Google Analytics CV統合レポート』では、GAアカウントの閲覧権限を付与いただいた上で、媒体CV実績と並びに広告カテゴリ別、各媒体別のGACV実績が確認できます。」
堀川氏:「BigQueryとLooker Studioを組み合わせて、組織のデータ分析を大幅に改善する方法を紹介します。データ環境構築は、データの可視化を実現する『カシカ』サービスを用います。
具体的なダッシュボードの例として、新築分譲マンション企業様のケースを取り上げています。データ分析を通じて、セールス・マーケティング領域のKPIのボトルネックを定量的に特定し、これによって判断や分析が可能になります。
また、MAデータとGAの広告データを連携させることで、経路ごとの費用対効果を可視化し、ROIベースの予算配分をサポートします。
さらに、ユーザー属性や営業担当者別データなど、貴社のKPIに合わせて、データ取得、マッチング、可視化範囲のサポートも行っています。広告データやメディアへの投資データを組み合わせることで、より詳細な分析を行います。
これを実現するためにはさまざまなデータを統合し、BigQuery上で加工する必要があります。構築することで、具体的な分析データを確認できます。期間変更や過去データの分析など、データ抽出に時間がかかっていた問題を改善し、意思決定の頻度を引き上げ、PDCAが早く回転します。」
堀川氏:「『カシカ』シリーズには、データ環境の要件定義を行い、バラバラのデータを一元化し、可視化するサービスが含まれています。このサービスでは、BigQueryとLooker Studioを活用したデータ分析が可能です。パッケージレポートとカスタマイズレポート、コンサルティングの3つの方法で支援を提供しています。
パッケージレポートでは事前に定義したダッシュボードを提供し、広告、Googleアナリティクス、Instagramのレポートなどをまとめて表現します。
カスタマイズレポートでは、お客様のご要望に合わせた要件定義を行い、それに基づいてBigQueryのデータ環境とダッシュボードを提供します。データ取得や導入支援なども提供しています。
コンサルティングでは、Looker Studioの活用や、データ環境構築に関するアドバイスなど、お客様のインハウス運用を支援しています。
データ活用や運用に課題がある場合、組織のデータ分析を劇的に改善するためにはアンドデジタルにご相談ください。セミナーの後にもご相談をお待ちしております。」
SECTION 2 TROCCO®×Looker Studio×BigQueryで叶えるデータ分析環境
株式会社primeNumberの薬丸より、TROCCO®の導入とLooker Studio、BigQueryの組み合わせ効果などについて説明しました。
TROCCO®について
薬丸:「TROCCO®は、データエンジニアリングやモダンデータスタックに必要な技術スタックを提供するサービスです。データ転送やETLの手続き、複数のソースからのデータ統合と加工をGUIから設定し実行できます。
SQLを使用してデータウェアハウス内のデータを分析に適した形に加工するデータマート生成や、モデリングも可能です。
さらに、ジョブの依存関係やスケジュールなどを有向非巡回グラフ(Directed Acyclic Graph、DAG)で設定し、自動化するワークフローの管理機能も提供しています。メタデータ管理やデータの関係性を把握して分析を容易にするデータカタログという機能も持っています。
TROCCO®の各機能により、ビジネスにおけるデータの意味をより容易に理解し、有効活用できます。」
薬丸:「TROCCO®は、フルマネージドのETL/ELTサービスで、データ統合に必要な各種機能を提供します。TROCCO®とクラウドDWHを組み合わせて使用することで、迅速にデータ分析基盤を構築できます。
さらに、外部サービスへの連携を通じてデータ活用を促進します。
データアーキテクチャのイメージでは、TROCCO®が担う役割がオレンジの部分に示されています。データウェアハウスやBIツールとの関係性も示されています。
データウェアハウス内には、原始のデータ(データレイク)や整理されたデータ(データウェアハウス層、データマート層)があり、BIツールは最終的には整理され加工されたデータマートのテーブルを視覚化します。
しかし、テーブルを作成する前の段階で、さまざまなデータベースやGoogleアナリティクス、HubSpotなどからデータを収集する必要があります。TROCCO®を使用してデータを送信、加工し、必要に応じてさらに加工したデータを他のシステムに返し、全ての流れをワークフローとして管理できます。
アーキテクチャ図は一見シンプルに見えますが、細部には複雑な作業が含まれています。」
データ分析基盤の構築・運用でよくある課題
薬丸:「データ分析基盤の構築と運用には、さまざまな課題があります。
まず、使用する技術の適応と理解、技術のキャッチアップに時間と労力が必要です。各基盤を維持し、アップデートやトラブル対応するエンジニアの労働力も必要です。
また、必要な技術スタックが多いため、学習するのに時間とコストがかかります。データ分析基盤の必要性は理解しているものの、実際に導入しようとすると、どれだけの工数やコストがかかるか具体的に把握するのが難しい場合が多いのです。その結果、リソースを割くのをためらってしまい、手をつけられないという事態もしばしばあります。
さらに、データの拡大に伴うコストも問題です。新しいデータ連携を構築する要件定義や技術的な調査、開発には1ヶ月以上かかる場合があり、これがデータ活用のスピードを遅くしています。
一度データ連携を確立した後も、APIの仕様が変わるといったさまざまな要望に対応する個別のコストが増えてしまう場合があります。」
薬丸:「データ活用のアーキテクチャとして、フルマネージドのETL/ELTサービスであるTROCCO®が有用です。
TROCCO®はさまざまなデータ統合機能を提供し、クラウドのデータウェアハウスと組み合わせることで、迅速にデータ分析の基盤を築くことが可能です。さらに、外部サービスと連携させることでデータの活用範囲を拡大できます。
フリープランを利用すれば、月額料金はゼロで、開発なしにデータ分析基盤が構築できます。リソースを気にせずに、まずは『どのようなものか』を試してみることができます。オープンソフトウェアのバージョンアップの自動対応や、エラー対応など運用保守面の機能も充実していますので、学習コストを抑えて運用が可能です。
また、広告やSaaSを含む約100種のコネクタと連携が可能で、データ分析基盤の拡張を迅速かつ低コストで進めることが可能です。」
TROCCO®の導入による効果
薬丸:「TROCCO®の導入によって、手作業で行っていたデータ統合の工程の大半が自動化され、作業工数が90%以上削減することが可能です。
データ分析や可視化のための時間が大幅に増え、より高度な分析が可能となったことを意味します。TROCCO®は、企業のデータ分析効率を大きく向上させるツールです。」
TROCCO® x Looker Studio x BigQuery
薬丸:「TROCCO®の主な特徴は、簡単なデータパイプラインの構築、高いユーザビリティを持つデータマート機能、一連の流れを完全自動化することです。
TROCCO®は、データを転送し、加工し、全体の流れを管理するワークフロー機能という、三つの核となる機能を提供しています。」
薬丸:「Looker StudioとBigQueryを使用することで、シンプルなユーザーインターフェースを通じて、データパイプラインを効率的に構築できます。
まず、データの送信元と送信先を選択します。次に、各データソースに対する接続情報を入力します。最後に、具体的なデータの加工がどのように行われるかをプレビュー画面で確認しながら設定を行うという簡単な3ステップでデータの送信と受信が可能になります。」
薬丸:「セミナーの前半では、Looker StudioとBigQueryを用いて、効率的かつ低コストで組織のデータ分析を実現する方法について解説しました。
各操作は全てUI上のフォームやプルダウンメニューを使用して設定可能であり、データ加工にかかる工数を大幅に削減できます。
また、個人情報の送信時にはマスキング機能を用いてデータ保護を行うことも可能です。」
薬丸:「通常、MySQLやSalesforceなどのデータソースが複数のテーブルやオブジェクトを持っている場合、それぞれのテーブルをデータウェアハウスに送る設定を個々に作成する必要があります。
しかし、我々が提供する一部のデータソースでは、一括でテーブルを転送する機能を使用できます。たとえば、200のテーブルやオブジェクトを一括設定で転送できます。この機能により、簡単にBigQueryにデータを送ることができます。
また、各種設定項目を一覧化でき、変更時にすぐに反映できます。
転送に失敗した場合の再試行回数を指定したり、通知設定を行うことも可能です。データ転送の管理が簡単になります。」
薬丸:「Looker StudioとBigQueryの組み合わせでとくに注目すべきは、『データマート機能』のユーザビリティの高さです。
クエリ実行モードと、分析用テーブルの自動生成が実装されています。ユーザーは適切なクエリと出力先テーブルを指定するだけで、テーブルへのデータ更新や追記を容易に行うことができます。出力先テーブルが新規の場合でも、TROCCO®側での処理だけで自動生成が可能です。
さらに、自由記述モードも装備されており、データウェアハウス側が許容する範囲で自由なクエリを記述し実行可能です。
ユーザー別に最適な転送モードを選んで使用できるので、テーブル作成の工数を大幅に削減できます。
また、データをデータウェアハウスに送信した後は、SQLを柔軟に実装できるユーザーインターフェースが用意されています。
各機能により、データ分析を低コストで実現できます。」
薬丸:「TROCCO®のワークフロー機能では、プログラミング言語を用いずに、ドラッグ&ドロップでデータ分析のフローを構築できます。
このワークフローには、データを取得するソースの選択から、データの加工方法、最終的な分析テーブルの作成まで全てのプロセスが含まれます。
マーケティングの効果測定やROIの算出など、組織全体で必要なデータ分析を効率化できます。」
薬丸:「TROCCO®は、ワークフロー機能を利用し、dbtというツールと連携することでデータの加工を自動化します。
具体的には、GitHubリポジトリと連携して、TROCCO®上でdbtジョブを設定可能で、外部データソースと連携しながら定期的な実行を可能にします。
たとえば、Salesforce売上データのETL作業やGoogle広告データ、Facebook広告データなどの複雑なクエリ作成やテストをdbt側で実行します。
また、dbtを用いて行うデータモデリングや売上データの正規化、広告統合レポートなどのタスクをスケジュール設定し、自動的にジョブ完了通知を受け取ることも可能です。
組織全体のデータ分析を効率化し、コストを低減できます。」
TROCCO® ユースケース
薬丸:「データ分析基盤を構築すると、営業やマーケティングのKPIといったさまざまな項目を一元管理できるダッシュボードを作成できます。
各チャネルのコストやビジネスの効果を正確に見ることができます。これをマーケティングダッシュボードと呼んでいます。
最終的には、前半で堀川さんが紹介したダッシュボードととても近いものが作成できます。」
薬丸:「データ分析基盤を導入すると、ダッシュボードを利用したデータ分析が可能になります。
マーケティングに関するデータでは、各リードソースから得られるリードの数やマーケティングコストなど、マーケティングに関連したKPIを確認できます。
営業に関するデータの部分では、商談数、受注数、売上といった営業活動に関連するKPIを確認できます。各データを統合することで、リード獲得から売上までの過程を一貫して視覚化できます。
マーケティング活動の投資対利益、顧客獲得にかかるマーケティングコスト、1回の訪問にかかるマーケティングコストなど、マーケティング活動の実質的な成果を視覚化します。
結果を迅速に把握することで、適切な戦略を素早く実行し、マーケティングと営業の活動を最大限に活用できます。
ダッシュボードでは、マーケティングデータと営業データの両方を掛け合わせ、得られたリードから算出される投資対効果を視覚化しています。
マーケティングデータや営業データだけでは実現できない、投資対効果を視覚化できるのです。」
薬丸:「従来のマーケティング活動は、個人に依存していたり、データの信頼性に問題がありました。さらに、広告効果を数量的に測れない問題や、データを集めるのが難しく、方法によって結果が変わる問題もあります。
この問題を解決するために、
- Google広告
- Facebook広告
- Yahoo!広告
- X Ads (旧Twitter Ads)
- LINE広告
などの広告データや、Salesforceやログデータ、購買データを1つにまとめて見えるようにし、リアルタイムでの監視を提案します。
具体的には、TROCCO®を使って、各データをBigQueryに送ります。BigQueryでデータを加工して、キャンペーンデータや売上データを作成します。これにより、各広告やキャンペーンのROI(投資収益率)を出したり、お客様の状況を分析できるようになります。
TROCCO®はLooker Studioと連携して、分析結果を確認できます。広告のROI改善を早期に実現し、広告コストを適切に配分する判断が可能です。
さらに、Amazon SageMakerを使えば、機械学習(ML)を活用して顧客の推奨分析を行い、分析にかかる時間を減らすことができます。
各プロセスを通じて、マーケティングコストの適正化とROIの改善が可能です。」
薬丸:「TROCCO®は、データの統合や分析といったプロセスをとても簡単に実現できます。データ基盤の拡張も容易にでき、既存システムとの連携も可能です。
まずはフリープランから利用し、小規模な試行を行いつつTROCCO®の可能性を探ってみてはいかがでしょうか。」
まとめ
本セミナーでは、Looker StudioとBigQueryを組み合わせて、低コストで効率的なデータ分析を実現する方法について詳しく解説しました。
BigQueryは大容量のデータ処理を高速かつコスト効率良く行えるデータウェアハウスサービスであり、Looker Studioとの連携でデータ統合や加工がスムーズに行えます。データの重さや更新の非効率性といった課題を解決し、組織全体のデータ分析を劇的に改善します。
さらに、データ統合ツールTROCCO®を用いることで、データエンジニアリングのプロセスを自動化し、工数削減やデータ分析基盤の迅速な構築が可能です。TROCCO®は多くのデータソースと連携でき、さまざまなデータを統合・加工し、Looker Studioでの分析をサポートします。
Looker StudioとBigQuery、TROCCO®を活用して組織のデータ分析基盤を強化し、データドリブンな意思決定を実現しましょう。
TROCCO®には無料で始められるフリープランがあります。クレジットカードの登録は不要です。どのようなことが出来るのか知りたいという方はぜひ一度お試しください。
